星祭り!
「よし、じゃあ今年は例年無い告白イベントとライブをやる、ということで」
委員長が言い放つ。
星祭り委員会は順調に進んでいた。
高林の告白イベントは意外にもすんなり通った。
それと他にも、高林からライブイベントが出たのも意外だった。
「それじゃ、今日はここまで。星祭りを皆に楽しんでもらえるよう、そして俺たちも楽しめるよう頑張ろう!」
ウオオオオオオオオ!!!
なんだこの委員会。やる気に道溢れてるな…
「おつかれー」
左隣に座っていた高林が話しかけてくる。
「うん。私たちの担当業務は…」
「ライブと告白イベント。企画とスケジュール作成。それに生徒からの要望担当」
右隣に座っていた兄貴に言われる。
「そうだね」
「へぇぇ…強心君もちゃんと聞いてたんだー…」
高林が意外そうに言う。
「まぁな。てか同級生なのに君付けはやめてくれ。呼び捨てでいい」
「そっか、改めてよろしく、強心」
「あぁ。よろしく…高林」
こんなことを今時するのもいないだろう。
2人は笑いあって手を繋ぎ合う。
その二人を見て、なぜか私は嬉しかった。
「あ、それと、文太。あのな…」
兄貴がこっちを見てなにか言いたげにしている。
「ん?」
「あっ、いいわ。また、うちで言うわ」
「そう?」
何だかちょっとだけ様子がおかしい気がしたが兄貴がそういうなら言いにくいことなのだろう。話せるようになるまで寛大な私の心で許してやろう。
「んじゃ、ライブメンバー募集の告知を作ろう。それに、もう既に一つのメンバーは参加が決まっているんだ。告知作りが終わったらそのメンバーに挨拶に行こう」
「うん」
「そーだな」
こうして私たちは告知を作ることとなった。
「よっしゃできた!」
「俺もだ」
「私も終わったよ」
それぞれが描いた下書きを見せ合う。
ポスターを作り告知する作戦だ。
「それじゃ、まずは俺から見せるよ」
高林は描いた下書きを持ち上げこちらに見せる。
「おぉ…」
兄貴はそれを見て少し感激している。
確かに告知ポスターらしい。学園祭内のポスターとしては上出来だろう。
「んじゃ、次に文太頼むよ」
「ん?私かい?フフ、こう見えて自信はあるんだよ」
そう。私の完璧な芸術センスを持っていれば最高の告知ポスターができたと言っていい。
「おー、それは楽しみだね」
「フフ。じゃあ、ご覧あれ!!」
私は勢い良く描いた紙を見せる。
フフフ。この天才と言える私が描いた絵を見れば即決でこれだろう?ふふん、どうだ。
「あ、あぁ…い、いいんじゃないかな…」
あれ?
「文太。人には得意不得意があるんだ。気にしなくていい」
なぜか兄貴に肩を掴まれ慰められる。
「ところでこれ、なんでこいつは武器みたいなのを持っているんだ?よっぽど危ないロックなのか?」
「ちげーよ!!ギターだよ!!分かったよ!!私には絵のセンスなんてなかったよ!!ごめんなさいでしたぁぁぁ!!」
ううう…自分でもなんとなくは気づいていた気がするが!!これ程とは…くそぅ…
「それじゃ、強心。よろしく」
「ん?あぁ…俺はあんま自信ないんだけどな、ほれ」
「「!?!?!?!?!?!?!?」」
上手い…!!上手過ぎる…!!
けど…これは…!
「ベートーヴェン?」
高林が苦笑いしながらも言う。
目の前に描いてある絵にはよく音楽室とかでよく見る人物が描かれていた。
「あぁ。こいつベートーヴェンって言ったっけ」
思い出した様に言う兄貴。
てかベートーヴェンって分かってなかったのかよ。
「兄貴…なぜに、ベートーヴェン…」
「いやほら、ライブの告知なんて作ったことなかったからよ…とりあえず音楽関連の奴を考えたらそいつが頭に浮かんだんだよ」
「それでベートーヴェンって…兄貴…」
思わず笑ってしまう。
「おいおい文太。流石に失礼だよ」
「いやいいよ。俺に絵のセンスが無ぇのは分かってたから。とりあえず高林の絵でいこう」
「そ、そう?じゃあ、そうしよっか」
告知ポスターは高林の絵で決まった。
「ういーっす」
「おお、高林!!」
告知ポスターを作り終えた私たちは既に決まっているというライブメンバーの元に来ていた。
「佐藤、ライブ決定だ。問題なくでれそうか?」
「いや、ちょっとは問題が出てきてるけどな…まぁ、絶対になんとかして見せる」
「今年は他にも告白イベントもある。その前にライブの時間だから精一杯盛り上げてくれよな」
「おぉー!良い時間をとってくれたな!」
「期待してるぜ?佐藤」
「おう!任せとけ!」
高林とライブメンバーの佐藤は2人で笑いあって話していた。ちょっと問題…か。まぁいいか。個人的に解決することだろう。
「それじゃ、俺たちは行くよ」
「あぁ、またな」
高林が手を上げ、それにならい俺と兄貴も手を振ってその場を後にした。
「兄貴」
「ん?」
学校からの帰り道、委員会の時に言おうとしてきた事を聞こうと思ったが…
「いや、やっぱりいいよ。それより夕飯はなんだい?」
「ん?まぁ今日は…っ!」
携帯をチラッと見たかと思うと突如兄貴の表情が変わる。
「わり、今日は約束があったんだ。夕飯は作れそうにないわ。俺の分はいらねぇからテキトーに食っててくれ」
言い始めると兄貴は走り出して行った。
「全く…約束を忘れるなんて兄貴らしいな…」
ボソリと言うと、ラムが姿を表した。
「わりぃ、文太。このままお家に帰るのは無しだ。兄さんもいなくなってちょうどいい。いくぞ!!」
結界が張られ目の前に霊体が現れる。
「了解。じゃ、やろうか。ラム」
「ぐはぁぁぁ…つ、疲れたぁぁぁ…」
姿勢など気にする余裕がないほど疲労が体を襲い、1人家の中ソファにぐったり倒れ込んでいた。
「いや…まさかあんな数になるなんてな」
ラムが申し訳なさそうに言う。
あの戦いはその後5匹相手になった。
「聞いてないよ私は!!」
「いやはや…まさか仲間を呼ぶタイプだったなんて…ボクもびっくりだ」
「はぁ…」
思わずため息をついてしまう。
「でも…数は確実に減ってきている。もう少しで…もう少しで奴らを滅ぼしきれるんだ…」
睨みつけるように強い眼差しで静かな声でラムは言う。
「そうだね…私たちの約束ももう少しで終わるね」
約束。私が孤独で苦しんでいた時にラムが言ってきたこと。それは日本にいる霊体を全て抹消することだった。それを終えれば1つ願いを叶えてくれると言っていたが…
「ま、なんでもないラムの為さ。私も頑張るよ」
「文太ぁ…!」
「ラム…!」
こうしてまたもラムを抱きしめる。
疲れなんて、忘れてしまった。




