☆1☆ 王女(幼女。俺にとったら14歳は幼女。)と仲間と執事で教育係な俺。
他人の本音を5秒間だけ引き出す魔法のみを使う事ができる主人公。一見使えそうな魔法だが、周りの者達が使う事の出来る魔法と比べたら大層地味な魔法である。だか、剣だけは結構まともに扱える。
そんな主人公が聖カタリアナ王国の第3王女メロアの教育係兼執事から、聖カタリアナ王国の敵国に等しいザナディア帝国の皇帝に成り上がる?堕ちる?物語である。
聖カタリアナ王国。そこは剣、宗教、魔法、そして、”聖獣”で栄えてきた王国である。その隣にはザナディア帝国という、何か裏のありそうな帝国が盛えている。
”聖獣”とは…
”お前いきなり話し始めたけど誰だよ?”
えっ?そりゃ、お前ぇ,あれだよあれ。神だよ神。I.m God。なんか良くじゃん?世界観は初めに話しときますよ的な?あれだよあれ。Are you understand?僕の頭が柔軟でflexibleすぎるから、君にはわかんないかも知れないね。(^ω^)じゃあもう一度説明するよ。君は理解能力がluckしているようだし。ホント人間ってのは愚かな生き物だよ…仕方ない、I'll explain again for you!
アルシュレット=マクレアス君♪
”ちっ,やたらとウぜぇなこの神”
”聖獣”とは…おいっ!?今小声で
”ちっ,やたらとウぜぇなこの神”って言っただろごらっ!?
”地獄耳……”
あーもー、いーわ?勝ってに世界観把握してろ?っていうか?マジ、もー俺知んねーから?どーなっても知んねーから?マジ知んねーマキリングだわ〜?
”違うベクトルでうぜぇな…”
心の声でてますけど?!
仕方ねぇなぁ。じゃあ方向性をかえて、
別にお兄ちゃんのために教える訳じゃないんだからね!?
”見た目中年のオッさんのあんたがやるとマジでキモいな。あんた神だからそのキも‥汚い顔とか変えられるんじゃねぇの?”
傷つけない為に言い直したと思ってるかもしんないけど言ってる事変わんないから!ていうか何で家の娘の口癖知ってんの!?神にも出来る事と出来ない事があるんですぅぅぅ!ばーか、うんこ!
あ、そうだ!俺神だから服の自動生成だけは出来んだよ!
”出来る事がショボすぎて悲しい…。”
ほらっ!まずはメイド服着てみた!
ご主人様☆萌え萌えキュン♪
どお?ふへへっ!萌える?
”いぃやァぁァぁぁ!うっ!おぇぇぇぇっっっ!?”
マジで…………喪える……。
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・
…………
「…きろ…」
「起…き…ろ…」
「起きぬかバカ者!!!!」
「グギィァァァァァァ!!?目がぁぁぁぁ!オァァァァァァァ!!!」
朝一番に飛び膝蹴りでなく目潰しを食らい、爽快に目が覚めた。起きる時位は、テンプレである
「ゲボァ…!」
とか
「ごふっ※・★!」
とか言って馬乗りされながら、ツンデレの幼馴染に起こされてみたい今日この頃である。幼馴染とかは別にいないのだが。それにしても、もの凄くキモい上に軽く衝撃的な夢を見た気がするのだが、何も思い出せない。
それでもなお、まだぼやっとした頭を俺は振り起こして、(目潰しで)起こしてくれた王女に、
「今日も良い感じに(目潰しで)起こしてくださってありがとうございます殿下」
と、(目潰しで)起こしてくれた事に対して礼を言うと、
「別に礼には及ばん。それとよせ。そんな堅苦しい呼び名は。空気が重々しくなるわい。も、もっとかわいい呼び名で…」
と言われたので、
「サンキュ,メロアっち♪今日もちっパイね!(おっぱいが小さいの意)」
と返答すると、
「ゲボァ!!!」
飛び膝蹴りを食らった。
「全く、お主は…」
と、呆れ半分の半分の半分、怒り九割で、
「しかも、妾の執事のくせに寝坊するとはどういう事なのだ?」
と、王女は飛び膝蹴りをした余韻で鼻息荒く、透き通ったピンクでツインテールにした髪を揺らしながら言った。
ちなみに胸は揺れない。
「今、失礼な事を思わなかったか?」
王女がこちらをジト目で見つめてくる。
勘のお鋭いことで…。
「いえ、滅相もない!思っておりませんよ、姫様が貧乳だなんて…!」
あっ…
「ゴフッ…!!」
ラリアットを喰らった。
いつも通りの感触だ。14歳の幼女のしなやかな腕が俺の首に激しく食い込む。良い感じだ。
「はぁ、はぁ…ふぅ」
我が王女様は早くも息切れを起こしているようだ。基本的に運動神経は良いのだが、体力が無さ過ぎるのが玉に瑕だ。
「もう良い!妾は疲れた!アルシュレットのバーカグフっ!痛ッ!バーカ!」
後、結構すぐに拗ねるのも玉に瑕だ。
今回の件では完全に俺が悪いのだが。
今、この瞬間に
”王女様、グフって言ってましたけど舌噛んでませんか?大丈夫ですか?”
とか言ってしまった暁には恐らく…とても怒るだろう。
「王女様、グフって言ってましたけど舌噛んでませんか?大丈夫ですか?」
Oh、つい言ってしまった……。ついつい考えた事を口走ってしまうのが、俺の玉に瑕だ。ちなみに俺のタマタマに傷はついてない。
聖カタリアナ王国第3王女メロア様のお顔が真っ赤に染まって行く。この王国の国民はこんな王女の顔は見たことが無いだろう。直属の部下の前では隙だらけな王女様だ。
「かっ、噛んでないもん!こっ、こっ、このポンコツ執事!おたんこなす!ジャガイモ!ナス!トマト!ピーマン!ばれいしょ!
パイパン!」
俺の悪口を言うつもりだろうが途中から野菜の名前を連呼するのみとなり、最後に至ってはただの下ネタだ。後、ジャガイモとばれいしょは同じ野菜です。ちなみに俺はパイパンでは無い。断固としてパイパンではない。
本当に俺はパイパンではないが、王女がパイパンと口にしてしまうのは少々問題だ。
「王女様、”パイパン”と言う言葉は誰から聞きましたか?」
俺が真剣な眼差しでそう聞くと、王女は戸惑いながらも答えてくれた。
「?昨日の夜にルシアが、”パイパン(なネェちゃん)に騙されちゃったぜ!ウッヒョー!だが、それが良い!”って言っていたのを聞いたのだが、”パイパン”とは悪口ではないのか?」
…………………。
なんて事、公衆の面前で口走ってんだ。あの馬鹿騎士。後何が良いのかさっぱり分からない。
「王女様、パイパンとは、ただの美味しい
”つるつる”な野菜の事です。悪口には使いません。あと、パイパンとはあまり良い言葉では無いので特に人前では決して使わないように為さって下さい」
「言ってる事が矛盾してないか?アルシュレット?」
「王女様の教育係としても申させて頂きます、その言葉は今後使われる事の無き様、お願いします。
い、い、で、す、ね?王女様!」
「ひゃい!」
素直に分かっていただけたようだ。
素直で純粋な所が王女様の長所だ。
「そんなに怒らなくても良いではないか…」
王女様がまたシュンとなってしまった。
「全く怒ってないですよ、王女様」
「本当か?」
王女様が上目遣いでこちらを見てくる。王女と自分の身長差のせいで王女が上目遣いになるのは仕方のない事なのだが。
「えぇ。それでは自分は今から市場へ昼食を買いに行くので」
「あぁ。気をつけて行ってこいよ!」
王女が少し元気になったのを見計らって、俺は王女に頭を下げてからゆっくりと部屋を出た。
*・*・*・*・*・*・*・*・*
空が蒼い。辺りには聖獣がぽつぽつと飛び交っている。
城の出口は長い階段の先に位置しており、そこから見る景色はとても壮大だ。活気溢れる市場の様子も此処から窺える。
もう見慣れた光景だが、10年前にはとても新鮮かつ神聖にみえた。俺は10年前に記憶喪失を一度起こしているからである。
あの時は周りの者達からは相当心配され、気を使われたものだ。
当時俺は11歳だったが、記憶喪失をした同時期に王女メロアの母親である女王陛下が何者かの手によって殺されたらしく、城の中は大混乱していた。
今俺が教育係かつリーダーを務めさせて貰っている俺の今のギルドの仲間達(と言っても年はあまり離れていない)は幼いながらも、陛下をとても尊敬し敬愛していたので、陛下の死んだ時は皆意気消沈してはいたものの、陛下を殺した奴を探し出し復讐を遂げる気だった。
彼らは皆、孤児だったところを陛下に拾われたので、母親を亡くしたも同然だったのだ。
しかし当然、たかが当時7、8才程度の子達には誰が何の為に女王陛下を殺したのかは何も分からず、結局何もできなかった。
上層部の者達も躍起になって状況を探ろうと手を尽くしたが、結局、
”隣国のザナディア帝国が王女殺害に絡んでいるだろう”という曖昧な推測がなされるだけに終わった。
陛下が殺されたとされる時には俺はベットに寝ており、そして気がつくと記憶喪失をしていた。
その時は、”何も分からない” 何も知らない”という状態だったが、1年程かけ、王女達のお陰でなんとかある程度は記憶を取り戻せた。王女もあいつらも内心はとても辛かっただろうに。
あの愉快な仲間達と王女に,実は頭が上がらないのだ、俺は。
そんな色々な事を、多少シリアスになりながら頭に廻らしていると、いつの間にか俺は市場に着いていた。
さてと、王女の昼食の材料買って早めに帰るか…そう思った矢先に、
見知った顔が、見るからに怪しい屋台のおっさんと話しているのが目に入った。
「ほ、…ほんとにこの薬を飲めば巨乳になれるの?」
「当たり前じゃないっすかっネェちゃんかっかっ!yeah?ヒック?アヘグヘアへへへへ!」
「じゃ、じゃあ1つもらおうかな?」
………。
物凄く怪しく、物凄くラリってる奴に物凄い勢いで騙されていく俺の仲間がそこに居た。
どうすればあの黄色い怪しい物体を俺の仲間が購入してしまう事を避けられる?
その薬?の値札には、10000セインと書かれており、財産を共有している俺達にとっては10000セインを無駄な事で消費してしまうのはとても痛手になる。(セインとは、この国の通貨の事だ。)
よって今月は赤字になり、また王女に迷惑をかける事となる。(以前に迷惑をお掛けした事が有るのだ。)これは避けたい。
かといって間に入って行って俺が止めたとしても、
”あんたのせいで巨乳になれなかったぁぁぁぁ!!”
とかなんとか言われて後々の生活に支障をきたしそうだし……あっ、俺の魔法を使えば全て解決じゃないか。
「マイドアリー。これでお客さんも晴れて巨にゅ@/☀︎♪★あり?_そんな女装した男の娘みたいな奴が巨乳になれる訳ねぇじゃねぇか,アハハ、アハハハ、ただの犬のションベンだぜ?その黄色薬。女装変態少年♪ダハハハハッ!」
やべぇ。ヤバイぞ…こんな事思ってたのか…この商人…。ホントにこいつの本音を引き出してよかったか?ロクな事になりそうにないんだが…。久し振りに俺の魔法が密かに活躍したのに…。
さっき血管がブチ切れた音がした気がするし……。
「ちょっ、ちょっと、ネェさんどうしたんだいィ?そんな怖い顔して鉄パイプなんて持って〜…。物騒ダヨ?」
そして、その少女はゆらゆらと商人の元へ近づいて行った。鉄パイプを持ったまま。
「えっ!ウソだろ!?うそっちょっ待っ!!」
〜ブォン〜
次の瞬間鉄パイプの先は商人の顔スレスレを横切り、そのショックで商人は泡を吹いて気絶した。
「……。流石にやりすぎじゃねぇのか?」
一応話しかけてはみたものの、一向にこちらに気がつかない。
全くこの娘は…
「おーーい、フレイア〜」
…やっと振り返ったか。
「!?なんでアルシュレットが此処に!?はっ!?私の醜態を見られてしまった!?……殺さないと」
「何でそうなるんだよ!?」
”皆知ってるから。お前が異常に巨乳に執着する事ぐらい…。”
「今たぶん失礼な事思ったぁ!!」
やばい!飛び膝蹴りがくるっ!
しかも、俺がこの攻撃を避けてしまったら軌道的に通行人に当たってしまう!!
ゴスッっっ!!
理不尽…だ…確かに失礼な事思ったけれども…本当に…俺の周りには…勘の鋭い人が多い…そう思いながら俺は気絶した…。い程痛かったが、
別に気絶はしなかった。
「別に思って,ゴボァッ,ねぇけど」
やばい…口から血が…。
「別に思ってないならいいけど。まっ、許しあげる。私、胸も心も大きくて広いから」
”何を許すんだ?このド貧乳が!! 胸も心も狭いですケドね?このド貧乳が!!”
とか言ってみたい。
ドカァッッ!
「グボァァぁ!?」
クソっ!油断した!
「ほら、また失礼な事思った」
エスパーかコイツッッ?!
「で、市場に何しに来たの?死ににきたの?」
「なんでわざわざ自分から殺されに行くんだよ…。そうじゃなくて王女の昼食の食材買いに来たんだよ。専属のシェフがどうしても今日だけは昼飯が作れないらしい」
婚活のせいで。
”今日が人生最後の幸せを掴むチャンスかもしれないんだ…。”と、王女専属シェフ(56歳男性)がそう言ってわざわざ俺の前で黄昏れていて、あざといと思いながらも…割と深刻な問題だな。と思ったので、替わりに王女達のお昼ご飯は今日限り自分が作ると言ってしまった。
「そっ、じゃあ私先に城に帰っとくね」
「おう。また後でな」
結局あいつは市場に何しに来てたんだ?流石に偽巨乳化薬の為に来た訳じゃなさそうだったけど…。
まぁいっか…さぁ、さっさと買っ…
ゴスっっ
「ごめんなしゃ!」
バキっ
「いやあぁぁぁぁぁ!」
ドゴッッッッ!!
「ケツの穴の青い餓鬼がっっ!!
出直してこい!!チンカスパイパン野郎!ファック❗️」
若く、金髪碧眼のイケメンが80歳程に見えるおばぁちゃんにボロクソに言われながらボロクソに殴られるというシュールな光景が約10メリ先で繰り広げられていた。
そして、そのカオスな状況を、通行人の幼女Aが唖然としながら見ており、そのお母さんらしき人がその幼女Aの両目を塞ぎながら、”こんなばっちぃもの見ちゃいけません!”と言っている、という光景を、俺は目の当たりにしてしまった。
それにしても、
今日はやけにパイパンという言葉を耳にしたり、口にする状況に陥ってしまう。俺に対する当て付けかごらっ?
まぁいいや。…さっさと買って帰ろう。
「すみません、ここにある卵と野菜と、後あそこにある鶏肉下さい」
「毎度あり〜♪」
俺は金を渡してお釣りをもらってから心に決めた。
さっきおばぁちゃんに殴られていた俺のあほ仲間である、どうせまた何かやらかしたのであろう、ルシアには俺がリーダーとして後で説教しておこうと。
はぁ、俺のギルドには問題児が多い…。
そんな事を思いながら、俺は城に帰った。