尋問2
こめかみに押し付けられた銃の冷たさが、じわじわと肌に染み込む。
相手の気配は、まるで影のように無機質だった。
それでも、確かにそこに「生きている人間」がいる。
「目的は?」
尋問の中で、一番重い質問が投げかけられた。
レイは、一瞬、喉が渇くのを感じた。
どう答えるかで、ここからの展開が決まる。
下手なことを言えば、間違いなくここで終わる。
しかし、考える間すら与えられない。
即答しなければ、「嘘をついている」と判断される。
だから、素直に答えた。
「……生き残る方法を探してたら、ここに行き着いた。」
声はかすれていたが、言葉に迷いはなかった。
これは嘘じゃない。
レジスタンスにも、特殊部隊にも、秩序にも興味はない。
ただ、生きるために最善を尽くした結果、ここにいる。
沈黙。
尋問者は即座に次の質問を投げかけてこなかった。
(……どう思ってる?)
相手の顔は見えない。
だが、この場に漂う空気が、わずかに揺らいだ気がした。
(疑われたか? それとも……?)
「……にしては、やけに冷静だな。」
冷たい声が静かに響く。
やはり、単なる生存者とは見られていない。
レイは、わずかに肩をすくめる。
そして、呼吸を整え、ほんの少しだけ口角を上げた。
(……じゃあ、ひとつ試してみるか。)
「まあ、それじゃつまらないだろ?」
相手の動きが、一瞬だけ止まるのを感じた。
「なら……あんたの顔を拝みに来たってことにしとこうか。」
言葉が、空気の中にゆっくりと溶けていく。
まるで、銃口の重みを気にしていないかのように。
ふざけているのか、何か意図があるのか、判別できない曖昧な言葉。
「何を考えている?」
そう相手に思わせた瞬間、レイはもう尋問のペースを握り始めていた。
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