尋問3
尋問者の銃口はブレることなく、レイのこめかみに触れていた。
呼吸は一定。姿勢も完璧なまま。
軍人の動きに無駄はない。
(こいつは、戦場慣れしてる。)
だが、ただの戦闘要員ではない。
そう確信できた。
「お前は誰の指示で動いている?」
この言葉は引っかかる。
もし尋問者が戦闘部隊の兵士なら、
まず聞くべきは「レジスタンスなのか?」だろう。
だが、こいつは最初から「誰の指示か?」と聞いた。
(つまり、こいつは俺が個人で動いてるとは思っていない。)
(俺が何者かを特定するよりも、"どこに属しているのか"を知ることを優先している。)
これは、秩序を維持する側の発想だ。
レイは改めて考える。
こいつは特殊部隊の一員なのか?
だが、先ほどの戦場で見た重装備の兵士たちとは、雰囲気が違う。
• あの部隊は戦闘のための兵士だった。
• 目の前のこの相手は「情報を管理する者」の空気をまとっている。
• 「敵を倒す」のではなく、「真実を引き出す」ことが目的の尋問だ。
(……となると、これは……)
公共データバンク。
その名が脳裏をよぎる。
• 才能の管理、情報の保管、そして世界の秩序の維持。
• この世界で最も「個人の価値」を決定できる場所。
(こいつは、公共データバンクと繋がっている。)
確証はない。
だが、すべての状況がそう示している。
レイは、わずかに目を細めた。
相手の意図はまだ読めない。
だが、少なくとも「何者なのか」を知るためのヒントは掴めた。
(なら、俺から答えを出す必要はない。)
「指示、ねえ。」
少しの間を置く。
その間に、"選ばせる"のだ。
「……あんたは、俺が誰の命令で動いてると思ってる?」
尋問者の銃口がわずかに揺れる。
(やはり……こいつは「組織的な敵」を警戒している。)
(俺が何者かではなく、「俺がどこに属しているか」を知りたがっている。)
尋問者は即座に返事をしない。
だが、レイは察した。
(……そうか。)
(こいつも「俺の正体が分かっていない」んだな。)
「……質問に答えろ。」
尋問者の声が、わずかに鋭くなる。
レイは静かに考えた。
(ここで、どんな答えを返すのが正解だ?)
選択肢は、いくつかある。
だが──どの答えも、下手をすれば即座に撃たれる。
(……さて、どう返す?)
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