尋問1
こめかみに突きつけられた銃の感触が、レイの意識を研ぎ澄ませる。
少しでも動けば撃たれる。
それだけは、直感で理解できた。
(冷静になれ……。)
ここで無駄に抵抗すれば、命はない。
まずは情報を整理し、相手の意図を探るべきだ。
「名前は?」
静かだが、はっきりとした口調。
低く抑えられてはいるが、鋭く、冷たい響き。
「……レイ・ユウゴウ。」
素直に答える。
考える余地もないほどシンプルな質問。
だが、ただそれだけで、少しだけ呼吸がしやすくなった。
「所属は?」
(……学園の生徒、でいいよな?)
答える前に、脳が自動的にリスクを計算する。
適当な嘘をつけば即座に見抜かれるだろう。
だが、「生徒です」と言うだけで、本当にこの状況を説明できるのか?
いや、変に疑われるよりは、今は正直に答えた方がいい。
「セントラル・アカデミーの……新入生だ。」
答えながら、ふと気づく。
(……女性だ。)
相手の声が、先ほどよりも少し明瞭に聞こえる。
機械のように冷徹な話し方だったが、確かに女性の声だった。
「どうやってここまで来た?」
これには迷わず答えられる。
余計な言葉を挟む必要はない。
「戦場が広がる前に、空調ダクトを使って脱出した。」
答えると、わずかに沈黙が流れる。
(……まずかったか?)
だが、特に反応はない。
(そりゃそうだ……これが嘘だと思うなら、もっと別の質問をするはず。)
彼女は、確実に情報を確認しているだけ。
冷静に、機械的に、事実だけを積み重ねようとしている。
「目的は?」
心臓が、嫌な音を立てた。
(……殺される質問だ。)
どんな答えを返しても、相手次第で撃たれる可能性がある。
レイは、わずかに喉を鳴らした。
(どうする……?)
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