疑問
「……お前、今、疑問を持ったな?」
リーダーの言葉が、レイの思考を強く揺さぶった。
まるで、自分の頭の中を直接覗かれているような錯覚。
レイは答えられなかった。
──いや、答えられない、が正しい。
しかし、沈黙の中で、レイの思考は猛烈に回転し始めていた。
(なぜ話しかけてきた?)
(こいつは何者だ?)
(R9ってなんだ?)
(公共データバンクが欺瞞……?)
(いや、それより──今、この場を切り抜けなければ。)
レイは周囲を素早く観察した。
ドローンがレジスタンスの構成員に向かって光学兵器を放ち、火花が散る。
一方で、学園の防衛システムが自動封鎖モードに入り、出口はすべてロックされている。
(今こいつに動かれたら、死ぬ。)
背筋に冷たい感覚が走る。
どうすればいい?
逃げられるか?
隙をつけるか?
思考が加速する。
この状況を打破する最適解を脳内で探し続ける。
──その時だった。
リーダーが、突然クッと肩を震わせた。
笑っていた。
「……ハハッ、面白ぇ。」
その言葉の意味が、レイにはまったく分からなかった。
(何が……?)
(こいつは俺の何を見て、笑った?)
レイが疑問を抱いたまま動けずにいると、リーダーはすっと身を翻し、銃を構えた。
「生きてたら、また会おうぜ。」
そう言い残し、迷いなく防衛AIのいる戦場へと戻っていった。
その姿が視界から消えるまで、レイは何も言えなかった。
「……なんだ、今の……」
何かを見透かされたような、嫌な感覚が残る。
しかし、それが何なのかは、まだ分からない。
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