EP5 錬金術の第二歩
懐は重いが、軽い足取りで街を歩いていた。
目的地はこの前錬金術用の設備を購入した店だ。
前回は金が無くてまともな設備が買えなかったが、今は金がある。素晴らしい。
設備を購入したら工房でも構えようか。そしたら好きなだけ錬金術やらなんやらをして、アイテム売って金を山ほど稼いで...
などと考えてたら店に到着した。
扉を開けて中に入ると、あの時の店長が迎えてくれた。
「よう。
どうだ?金は稼げたか?」
「もちろんだ。この前買えなかった設備と炉を購入したい。
ついでにいい感じの家というか建物というかそんなのが欲しい。工房を構えたい」
「あいよ。
全部で17万5千エルクだ。
んでココは道具屋だから土地は売ってねぇぜ。
領主館にでも行きな」
「了解」
そう言いながら、金を支払う。懐が寂しくなったが、それでもまだまだたくさんお金はある。じゃあ、次は領主館に向かおう。
「今日はあんがと。
気が向いたら来るわ」
*
領主館の前には、ハルバードを持った強そうな騎士が仁王立ちしていた。
「すみませーん。
工房を構える為に土地を買いたくて来たんですけど...」
「それならちょっと待ってろ。」
「あ、はい」
右側の方の騎士がそう言うと、領主館の方に向かう。許可でも貰いに行ったのかな?
数分したら騎士が戻ってきた。
「許可が出た。
来い」
「失礼しまーす...」
領主館の中は広かった。バスケが出来そうだった。
そんなどうでもいい事に考えを巡らしてたら、案内の騎士にみとれてないでついてこいと軽く注意された。
もう少しついていくと、執務室らしき部屋に到着した。
「君は土地が欲しいとの事だったが、具体的にどんなところが欲しいんだ?」
そう、アラサーな感じの領主は問う。
「私は、錬金術で作ったアイテムを販売する予定にありますので、街の広場からそう遠くない位置が欲しいです」
「それは良いのだが、もう既に道具屋はある。
そこと事業が被って敵対関係になってしまう可能性がある。道具屋ジョーンと言うのだが、そこに自分で作ったアイテムを卸すのはどうだろうか」
確かに。この男の言う通りである。
ジョーンには世話になったしな。
「わかりました。そうしましょう」
「では、物件紹介といこうか
道具屋ジョーンにアイテムを卸すに当たって、近い方が良いだろうが、近い物件がいかんせん事故物件というやつでね。
過去に何かしら事件が起きて、幽霊が住み着いたのか、勝手にナイフが動いたりして、怪奇現象が起こるんだ」
「ちなみに、値段は?」
こんなにも面白そうな物件を買わない訳にはいかない。
何としても買わねば。
「事故物件で人気が全く無いからね。5万エルクで良いよ」
錬金術の設備より安いとはこれ如何に。
*
早速買った土地に行ってみた。
扉を開けたら幽霊一家が総出で迎えてくれた。
...家に幻覚魔法的なのが仕掛けられてるんだ。そうに違いない。
目を擦ってもう一度見ても幽霊の一家が笑顔で話しかけてくる。
幻覚じゃないようだ。...幻覚であって欲しかった...。




