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最終回なのにマジバトル‼

「あー、なーにがクリスマスじゃ‼この世界のバカップル共はクリスマスっつー日はニャンニャンする日って思ってるんじゃねーのか?話に聞いた限り、クリスマスはどこかの神様が生まれた日じゃねーか‼ニャンニャンする日じゃねーぞ‼分かってんのかバカップル共‼」


 と、ショーミはテントの上に立ち、ラブホに入って行くカップル達にこう叫んでいた。そんな中、何か鋭利な物がバカの額に突き刺さった。


「何やってんですかショーミ様?あーあ、誰かがどこかの13でも雇ったんですか?暗殺されてるじゃないですか。埋めるのめんどくせーな」


「いや、死んでないから。勝手に埋めるな。というか、上司を埋めようとするな‼」


 ショーミはスコップを持って来たイータに対し、大きな声で叫んだ。その時、イータはショーミに突き刺さっている物を無理やり引っ張り、それが何かを調べた。


「手紙の用ですね。勇者からです」


「何と!?もしかしてラブレターか?」


「そんなわけないでしょうが」


 ショーミは喜びながら封筒を破き、中に入っているものを見て驚いた。


「これ……果たし状だ」




 12月25日。決闘場所となる荒れ地では、弓彦や三毛、御代達がその場に立っていた。戦いの時間になるのを待っていたのだ。


「今何時?」


「15時57分です。あと少しですね」


 決闘時間まであと3分。弓彦はそろそろ始まると思いながら、少し緊張していた。だが、アルスはやる気満々だった。


「アルスはやる気みたいだね。準備運動してるし」


「だな。ま、今回もアルスが勝つと思うけど……」


 弓彦と三毛がこう話をしていると、空からショーミがやって来た。


「待たせたな、勇者」


「少し早いが戦いを始めよう。と言うわけでくたばれェェェェェェェェ‼」


 アルスの手から、無数の光線が放たれた。ショーミは飛んでくる光線を見て、叫びながら驚いた。


「ぎぃええええええええええええええ‼不意打ちは卑怯だぞ‼」


「勝負に卑怯も何もない‼」


 アルスは攻撃の手をゆるまず、光線を発射し続けて行った。だが、ショーミは高く飛び上がってアルスに接近した。


「二度もそんな攻撃を喰らうか‼さーて、私のセクハラ攻撃を喰らえ‼」


「そんな攻撃喰らってたまるか‼最終回だから言えるけど、この作者幼馴染と一緒に異世界へ転生って作品でエッチな描写を書いたから作品自体消されるピンチになったことがあるんだぞ、そんな攻撃喰らったらこの作品と作者のアカウントが消される‼」


「お前、結構余裕あるだろ」


 弓彦はアルスの叫びを聞いた後、こうツッコミを入れた。アルスは飛んでくるショーミの肩を掴み、そのまま後ろに投げ飛ばした。ショーミは倒れはしたが、そのまま立ち上がった。


「少し効いたぞ。では、もう一度私のターンだ‼」


「貴様にターンは来ない、これで終わりだ‼」


 アルスは左手に魔力を発し、地面にぶつけた。そこから光の槍が地面から生え、ショーミの足元から襲い掛かった。


「これで攻撃を仕掛けたつもりか!?こんな槍、私の魔法で粉微塵にしてくるわ‼」


 ショーミは闇の魔力を発し、進路妨害をしている槍を破壊した。しかし、その隙を狙ったアルスがセイントシャインを構え、接近していた。


「さっきの槍は囮だったのか……」


「残念」


 短い会話の後、アルスはセイントシャインをショーミの腹に突き刺した。このショッキングな光景を見た弓彦達は、口を開けて驚いていた。


「お姉さま……マジでやっちゃった」


「倒したのか……」


「うわー、結構痛そう」


「ショーミ様‼」


 イータはセイントシャインが腹部に突き刺さったショーミに近付いたが、セイントシャインが強く輝くせいで、近くには寄れなかった。


「大丈夫だ、殺しはしない」


「殺しはしない?今貴様は、ショーミ様に剣を突き刺しただろうが‼いくらショーミ様が変態でも、これはやりすぎだ‼」


「おいコラ‼変態って言うな‼お前はそれでも私の部下か!?」


 と、ショーミの叫び声が聞こえた。これを聞き、まだショーミは生きていることを確信した。


「ショーミ様……何で生きてるんですか?」


「私が知りたいよ。と言うか今の言葉、何か変な解釈で聞こえたんだけど」


「魔王。貴様にはメッセンジャーになってもらう。勇者アルスと賢者ムーンは魔王を封じた後、かの地で一生を過ごすことを決めたと」


 アルスがこう言うと、ショーミに突き刺さっていたセイントシャインは、白く光って消えた。ショーミはにやりと笑みを浮かべた。


「あの剣は消滅した!さぁ、私の攻撃だ‼」


 ショーミは魔力を出そうとしたのだが、何も出なかった。


「……あれ?おかしいな。魔法が出ない」


「今貴様に喰らわせた技はパワーイレイザーというものでな、持ち主の全魔力を使い果たし、対象の魔力を消滅させて封印する技だ」


「じゃあ……私はただの……超熟女?」


「そうだ」


 その時、ショーミの背後から白く光る扉が現れた。そこから見える景色を見たイータは、声を上げた。


「あれは……クリスルファーの大地……」


「さぁ、さっさと戻れ。貴様はこれ以上この地にいるな。迷惑だろうが」


 アルスはそう言うと、ショーミを無理やり蹴っ飛ばして扉の中に入れた。その後、イータもその後を追って扉の中に入った。扉が閉まる前、イータはアルスの方を見てこう言った。


「ショーミ様を生かしてくれて感謝する。お前から言葉、ちゃんと伝えるから」


「ああ。頼んだ」


 会話の後、扉が閉まった。全てが終わったのだ。


「さて、終わった終わった。帰るか、弓彦、ムーン、皆」


 アルスは振り返って、弓彦達にこう言った。




 数年後、クリスルファーにて。


「そうか……そのようなことがあったのか」


 トアールと言う国の王が、黒いマントの旅人の話を聞いていた。


「魔王は封印され、勇者アルスと賢者ムーンはその地にとどまったという事か」


「そうなります。話はこれで以上です。では、失礼します」


 旅人はそう言って、城から出て行った。トアールの門の外にて、そこには質素な服の女性が誰かを待っているのか、その場で立っていた。すると、変な服を着た二人組の男が、その女性に近付いた。


「なぁ姉ちゃん、俺達と遊ばないか?」


「いいことしようぜ~」


「待ち人がいる。貴様らのような下種の相手をする暇はない」


 その言葉を聞いた男は怒り出し、女性を殴ろうとした。だが、あの旅人が男の腕を掴んでいた。


「その人に何か用でも?」


「何だお前……」


 男がこう尋ねた直後、骨の折れる音が響いた。男は悲鳴を上げてその場に倒れ、相方の男は悲鳴を上げて逃げて行った。その後、旅人と女性は国の外に出て行った。


「ふー……これで全ての国に話はしたと……こんなに時間がかかるとは思わなかった」


「あーもう。これからどうするんだよイータ?」


 あの女性はショーミだった。魔王としての力をすべて失ったショーミは、普通の人としてこの世界にいるのだ。


「とりあえず適当に歩きましょう」


 イータがこう言うと、ショーミは気だるげに返事をし、イータの後ろを歩いて行った。


 歩く中、ショーミは上を見ながらこう言った。


「今頃勇者達は何をしてるのかなー?」


「あの男と結婚してるんじゃないんですかね?」


「えー、それはないだろー。私と言う女がありながら」


「あんためっちゃ嫌われてたじゃん」


 そんな会話をしながら、二人は歩いていた。ただ、ひたすら歩いていた。




 その頃、とある結婚式場にて。


「うーん……緊張するなぁ……」


 スーツを着た弓彦が、控室でネクタイを整えていた。すると、後ろから音が聞こえた。


「アルス?準備できたのか?」


 と、弓彦が後ろの扉を開くと、そこには過激な衣装を着た世界が立っていた。


「弓彦君、今日は記念日だね」


「何の記念日か分からない」


 弓彦は扉を閉め、頑丈に鍵をかけた。その時、後ろの扉からウェディング姿のアルスが現れた。


「こっちは準備が出来たぞ。何をしてるんだお前は?」


「世界の相手をしてた」


「全く、あいつは全然成長してないな」


 その後、弓彦はアルスの手を取り、歩き始めた。


「さて、皆が待ってる。行くぞ」


「ああ」


 二人はそう言って、控室から出て行った。今日は弓彦とアルスの結婚式である。その後、二人は弓彦の家族やムーン、三毛達クラスメイトに囲まれて、結婚式を挙げたのであった。この日をもって、アルスは勇者ではなく、幸せな女性となった。

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