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その時は突然やってくる


 文化祭から時は流れ、季節はクリスマスシーズンとなった。


「もうクリスマスか。時の流れは速いなー」


 アルスはそう言いながら、周りの家を見ていた。どの家も金がかかったイルミネーションを付けており、辺りを明るくしていた。


「どれもこれも手の込んだものですね」


「なぁ弓彦、うちではやらないのか?」


「俺が子供の頃、調子に乗っていろいろ飾りつけして電気を点けたら、辺り一面停電した」


「どんな飾りつけをしたんですか……」


「その時の写真があるよー」


 と、弓彦姉が写真を持ってやってきた。その写真には、かなり飾りつけをしていた弓彦の家が映っていた。


「あー、これじゃあ辺り一面停電するのも当然だな……」


「でしょー。あの時は大変だったなー」


 弓彦姉は笑いながらこう言っていた。しばらくし、弓彦とアルスとムーンは二階に上がった。その時、アルスは窓から映る隣の家の飾りを見て驚いた。


「おい……あれ……」


 その飾りは、辺り一面弓彦のライトアップされた写真が照らされていた。


「世界の仕業だろ。あいつ……」


 弓彦が呆れていると、天井から世界が降ってきた。


「フフフ。弓彦君、私と一緒に淫らな性夜を送らない?」


「あんな風に飾りつけする奴の家に行けるか‼」


「何が問題なの?」


「全部だよ!」


 弓彦は世界を下ろし、その場から去って行った。世界は舌打ちをし、窓の方へ移動した。


「弓彦君、私は諦めないわ。何が何でもあなたの心手に入れるまでは」


「絶対無理だから止めた方がいいぞ」


 アルスの言葉を無視し、世界は自分の家に飛び移ろうとした。しかし、飾りに世界の体に命中し、感電した。その時、辺り一面が停電した。




 一方、クリスマスとは無縁な生活を送っている人がいる。


「なぁーにがクリスマスじゃ‼ クリスマスだからってはしゃいでる連中、全員食中毒で入院しろ‼ クリスマスでクルシミマスしろ‼」


 ショーミは溜めていた水道水を焼け飲みしながら、近くに落ちている葉っぱを食べていた。


「ショーミ様、まさかあなたがそこまで落ちるとは思ってもいませんでした」


 イータは呆れ気味でこう言った。


「バイトをして少しでもお金を溜めればよかったんですよ。そうすればそれなりに食事もできるし、安い服も買えます」


「うるさいうるさいうるさい‼ この世はなぁ、働いたら負けなんだよコノヤロー!」


「この人、この世界にきてから本当に落ちたな……」


 イータは呆れ気味でまたこう言った。その後、情けないことをするショーミに言葉を続けた。


「では、私はバイトがあるので少し出ます」


「えー、こんな時にバイトー?」


「この時期は給料がいいんです。少しでも溜めておかないと、いつクリスルファーに戻れるか分からないんですから」


「クリスルファーねぇ……あれ? ペルセラゴンじゃなかったっけ?」


「そんな名前じゃありません。とにかく、私は行きますからね」


 と言って、イータは去ってしまった。孤独になってしまったショーミは、やけになって魔法陣っぽいのを描き始めた。


「クリスルファーねぇ。懐かしいねぇ。あの時は魔物達を適当に動かしていけばよかったんだよなー。そんでもんて、私は生贄の女の子とあれこれできたもんなー。それが今じゃこんなことに……ん?」


 暇つぶしで魔法陣を描いてる途中、ショーミはあることを思い出した。


「そうだ……思い出した。あるじゃん、あの世界に帰れる方法」




 翌日、アルスは教室で三毛と話していた。そんな中、窓から音が聞こえた。


「おいアルス、またあの変態がきたぞ」


 クラスメイトが、窓にくっついてるショーミを指さし、アルスに伝えた。アルスはため息を吐き、魔力を開放してショーミに近付いた。


「何の用だ変態?」


「重要な用がある。あの世界へ帰れる方法だ」


 この言葉を聞き、アルスの表情が変わった。


「何だと……」


「話を聞きたければ駅前のアハーンホテルへこい‼ できればあの賢者の少女も連れてこい‼女だけで話し合おうぞ」


 と言って去ってしまった。


「駅前のホテル……」


「あそこってラブホじゃねーか」


「何をするつもりだか……」


 クラスメイトたちが喋りだす中、アルスはずっと何かを考えていた。


「どうしたアルス?」


「弓彦、何かあるといけないからお前もアハーンホテルと言う場所へきてほしい」


「変な噂が立つ」


「だよな。仕方ない、少し席を外す」


 と言って、アルスは外へ飛び出した。数分後、アルスが戻ってきた。


「何しに行ったんだ?」


「魔王をしばきにな。話はちゃんとした場所ですることになったから安心してくれ」


「はぁ……」


 弓彦はこの言葉を聞き、少し不安になってきた。何で不安になって来たのか、それは弓彦にもわからなかった。




 放課後、アルスと弓彦はムーンと共に、ショーミに指定された公園へきていた。


「きたか、愛しの勇者」


「何の用だ魔王? 変な用だったら地面に埋めるぞ」


「それは勘弁してください」


 その時、イータがショーミを睨みつけてこう言った。


「早くしてくださいよ」


「分かった分かった。じゃあ本題から言うわ。クリスルファーに戻れる方法を思い出した」


 その言葉を聞き、ムーンが驚いた。


「あるんですか、そんな方法が?」


「ああ。しかし、これを逃すともう二度と戻れないかもしれない」


 ショーミはここまで言うと、咳ばらいをして話を続けた。


「あの世界に戻るためには、転送の紋という魔法陣を描かなければならない。魔力も必要だが、こいつはタイミングも必要だ。描くタイミングはこの世界の時間で十二月二十五日の深夜。その時間帯に魔法陣を描けばあの世界へ戻れる門が発生する」


「二十五日って……来週じゃねーか」


「そうだ。しかし、満月の時ではないと門は発生しない。今年の二十五日が満月なんだ」


 弓彦はショーミの説明を聞き、少し混乱していた。アルスはこの世界の人間ではない。当たり前かもしれないが、帰るかもしれない。だけど、突然すぎてどうすればいいのか分からないのだ。


「混乱してるようだな」


 イータが弓彦を見てこう言った。


「勇者よ、我らはあの世界に戻るつもりだ。貴様らはどうするか、二十五日までに決めておくがよい。ではさらば!」


 と言って、ショーミ達は去って行った。その際、ショーミは砂場で転倒してしまい、近くで山を作っていた子供の山を破壊してしまった。そして、泣き叫ぶ子供に対しあれこれしているが、どれも不発で終わり、結局その子の親にぶっ飛ばされていた。


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