今回出てくる遊園地は千葉県にあるあそこの遊園地とは全く関係ありません
次の休日、岳人はマウスランド入り口で立っていた。実はあの後、ムーンからこの前のお礼としてチケットを貰ったのだ。初めて女の子とデートなのか、岳人は心臓をバックバック鳴らしながら待っていた。
「すみませーん!お待たせしましたー‼」
遠くからムーンの声が聞こえた。岳人が振り返ると、そこには私服姿のムーンが走っている姿があった。
「いやー、お姉さまと服を選んでいて時間が遅れました」
「大丈夫です。周りの雰囲気を見て時間を潰せましたので」
「それじゃあ行きましょうか」
その後、二人は入口へ向かって行った。その後を追うように、変装をしたアルスと弓彦、三毛が様子を見ていた。
「いいか二人とも、ムーンの奴はああ見えて意外と勘が鋭いんだ。下手な行動をするとすぐにばれる」
「ああ」
「了解」
ムーンと岳人の姿が見えなくなった後、今がチャンスだと言ったアルスを先頭に、弓彦たちは中へ入って行った。
「アッハッハー!ようこそ、マウスランドへ‼」
ムーンと岳人の前に、青色のネズミのキャラクターが近寄ってきた。二人は彼と共に写真を撮った。
「いいなー、優先権があれば普通に写真取れるんだー」
「欲しいんだけど、高いんだよなー」
弓彦と三毛がこう言うと、アルスの姿がない事に気付いた。
「あれ?アルスはどこへ行った?」
弓彦は周囲を見回すと、アルスがお菓子を買いまくる姿を見つけた。
「すごいぞ二人とも、ここで売っているお菓子は物凄く美味いぞ。高いけど」
「まーな……」
「ほら、二人の分だ」
アルスからお菓子を渡され、弓彦と三毛はお菓子を食べながらムーンと岳人を追っていた。そんな中、三毛が弓彦にこう聞いた。
「ねぇ、私以外の生徒会と風紀委員の人達は?」
「皆が集まれば怪しまれるって御代会長が言ってたから、俺とアルスと三毛以外参加しないことになってるよ」
「……まぁいると騒ぎがありそうだからね……」
その時、弓彦は背後から嫌な予感を察した。
「弓彦くぅぅぅぅぅぅぅぅぅん‼最近出番がなくて寂しかったわァァァァァァァァァァァァァ‼」
後ろにいたのは世界だった。最近世界の出番がなかったから、気配を察するのが遅れた弓彦は、世界に抱き着かれてしまった。
「うーん!弓彦君のいい香り!」
「バカ野郎!こんな所で騒ぐんじゃねーよ‼今俺達がここに来たことがばれちゃいけないってのに‼」
「弓彦、私に任せろ」
アルスは世界に近付き、魔法で世界をぶっ飛ばした。この時、アルスは世界が声を上げないように攻撃した。
「さて、ムーン達が気が付く前にここから離れよう」
「そうだな」
3人はそう言って、その場から離れた。
数分後、岳人とムーンは山をモチーフにしたジェットコースターにいた。
「これがジェットコースターという乗り物ですか」
「かなりスリルがあるらしいけど、大丈夫?」
「ええ。ちょっと楽しみです」
二人は話をしているが、二人が乗っているコースターの後ろには、アルス達が乗っていたのだ。
「コースター系に乗るの初めてなんだよな……」
弓彦は少し緊張しながらこう言った。
「そう?私この手のアトラクションに何回か乗ったことがあるけど」
と、三毛はこう言った。ただ、アルスは目を輝かせながら周囲を見回していた。
「なんだか楽しそうだ。早く動かないかな~」
そんなことを言っていると、コースターが動き出した。コースターは徐々に上に登って行き、最上段まで着いた時、コースターは猛スピードで動き始めた。
「うあああああああああああああああああああああああ‼」
岳人は悲鳴を上げながら、ムーンの横を見た。
「うわー‼すっごーい‼空を猛スピードで飛んでるみたいです!」
何と、ムーンは余裕のようだった。そんな中、後ろに乗っているアルス達は。
「おお!すごい‼空を飛んでいるようだ!」
アルスはムーンと同じようなことを言っていた。そんな中、弓彦はこう呟いた。
「あ、これ空を飛んでる方がスリルあるわ」
「毎回こんなことを体験してるの?」
「たまにな。アルスが俺を連れて空を飛ぶからな」
と、三毛と余裕のある会話をしていた。
その後、岳人とムーンはホネホネマンションというところへ向かった。その後を追うように、アルス達もホネホネマンションに向かった。入口へ入ってホールへ着くと、そこには骨のような物が転がっていた。
「何で骨のような物が落ちてるんですか?」
「あれは本物の骨じゃないよ。作り物です」
「なーんだ。本物だったらやばいと思いましたー」
この直後、その骨が動き出し、人型に成形した。
「そこの君、返事がない、ただの屍のようだと思ったでしょ。残念!違うんだなあ。ようこそホネホネマンションへ‼今日は我ら、ホネホネ族のパーティーです。どうか楽しんで行ってください‼」
というわけで、ムーンと岳人はホネホネマンションのアトラクションを楽しんだ。恐々しいが、愉快な音色。変な動きをする骨の人形が見る人を楽しませた。
「わぁ……すごい!この世界にはこんなものがあったなんて!」
「えーっと……クリスルファーには遊園地ってなかったんですか?」
「いえ。ありませんでした。こう言うところへ来たのは初めてです」
「そうなんですか……」
この後、岳人は何を話そうか考えたが、あまりうまく考える事が出来なかった。そして、彼はこう聞いた。
「いいんですか?僕みたいな男とここへきて」
「大丈夫です。初めて会った時から、あなたは無害な人だと思いました」
「それって……」
「私がマスコミから逃げてる時、マジな顔をして逃げ道を作ってくれました。ああいう顔をしている人に悪い人はいません」
「そうですか……」
「さぁ、そろそろショーが終わりますよ。次に行きましょう‼」
その後、ムーンは岳人の手を握り、ホネホネマンションの出口へ向かって行った。
その日の夜。
「ただいまー」
岳人は家へ帰り、家族へお土産を渡していた。平塚はアイスを手に、岳人に近付いてきた。
「お土産はー、おかえりー」
「兄さん、言葉が逆だよ。ほら、お土産」
岳人は平塚に、変な形のキーホルダーを渡した。
「あんがと。で、今日は楽しかったかー?」
「うん。おかげさまで」
岳人はそう言うと、自室へ向かった。その後、ベッドの上で横になり、ムーンがつないだ手を見て、岳人は察した。この気持ちは愛という事を。




