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岳人の恋心?

 ムーンが乃小達を救出した翌日。この救出劇は各局のテレビ局でもニュースとして流れ、一躍ムーンは学校で有名人になっていた。


「魔法で犯罪者をやっつけるなんて」


「さすが賢者は違うね」


「火も水も電気も使えるんでしょ。すごいなぁ」


「俺も魔法が使えたら、節約できるんだろうな」


 クラス中の生徒はもちろん、他のクラスの生徒もムーンに近付いてきた。


「いや~、賢者として当たり前の事をしただけですよ~」


 と、照れながらムーンはこう言っていた。


 この話については御代達生徒会はもちろん聞いているし、岳人達風紀委員にも伝わっている。


「アルスさん以外の異世界の人が来るなんて思いませんでしたね」


「しかもアルスちゃんの知り合い。こりゃー楽しい事になりそうだねー」


 と、平塚が笑いながらこう言った。こんな平塚を見て、若葉は呆れて溜息を吐いた。机に座っている岳人は新聞を広げて、この記事を見ていた。


「どのニュースも大きくこの事件を取り扱ってる。マスコミが来て騒がなければいいんだけど……」


「ですね。あの連中はどんな時間でもお構いなしにやってきますからね」


 岳人の言葉に対し、若葉がこう言った。そんな中、廊下で騒ぐ声が聞こえた。


「全く、廊下で騒ぐなって小学校の頃に教わらなかったのかな……」


 岳人は椅子から立ち上がり、部屋から出た。そこにはマスコミに追われているムーンの姿があった。


「事件の事で一言!」


「どんな気分か教えてください!」


「あなたの事を教えて!」


「本当に魔法を使ったんですか!?」


「別の世界で生まれたと情報があります、それは本当ですか!?」


 マスコミは走りながらムーンを追っかけているが、ムーンはマスコミに対してこう言っていた。


「だから言ったじゃないですか!あなた達のような無礼な人に語る言葉はありません‼」


「そこを何とか!」


「事件を解決したことで何か一言!」


 しつこいマスコミに追われているムーンを見た岳人は、急いでムーンの方を向いてこう言った。


「こっちへ!」


 岳人に気付いたムーンは急いで風紀委員室へ向かい、室内に入った。ムーンが室内に入ったことを確認した岳人は、急いで扉を閉めた。


「はぁ、面倒な人たちですね……」


 岳人は平塚に扉を抑えるように伝えた後、ムーンにこう言った。


「大丈夫ですか?この国のマスコミはしつこいのが多いから……」


「大丈夫です。あれ以上追われてたら魔法を使うところでした」


「あの……魔法を使ったらとんでもない記事を書かれますよ」


 若葉は冷や汗をかきながら、ムーンにこう言った。数分後、諦めたマスコミが帰ったところを見計らい、岳人は扉を開けた。


「そろそろあいつらが行ったと思います。もう大丈夫でしょう」


「助けてくれてありがとうございます。また逢いましょう」


 ムーンは岳人にそう言って、部屋から出て行った。




 数日後、アルスと弓彦は岳人の様子が少しおかしいと思い始めた。弓彦はアルスと浦沢と三毛を呼び、話を始めた。


「最近岳人の身に何かあったか?」


「いや、分からん」


「いつも通りだと思うけど……」


「特に変わったところはないと思う」


「そうか?何かボーっとする時間が出来た気がしねーか?」


「……言われてみれば確かに。何かを考えているように見えるな」


 4人は深く考えたのだが、答えは出なかった。


「仕方ない。若葉さん達に聞いてみよう」


 アルスは2人にこう言った。次の休み時間。アルスは若葉のいる教室へ向かい、若葉と話をしていた。


「やはりあなたもそう感じましたか」


「では、風紀委員室でも」


「はい。何かを考えているのか、少しボーっとしてます。そこが可愛いんですけどね」


「何言ってんだか」


 アルスと若葉の話を聞いていた御代が割り込んできた。


「御代会長。若葉さんと同じクラスでしたか。日枝さんと雍也さんも」


「答えは一つ!恋をしているんだ‼」


 と、雍也はどや顔でこう言ったが、若葉が雍也にドロップキックを浴びせた。


「何を考えているんですかこの男は。あの純粋な岳人たんが恋なんて……」


 この時、若葉は思い出した。岳人がボーっとする時間が増えたのは、ムーンからマスコミを守った日以来だと。


「……あれ、マジでそうかな。でも待って、あの時でああなってたら……あれ?何かそうみたい……」


「何か心当たりがあるんですか?」


 アルスにこう言われ、若葉は返事をして答えた。


「1年のムーンさんがクラスメイトの誘拐事件を解決した翌日、マスコミに追われていた彼女を岳人たんが助けたんですよ」


「その話はムーンから聞きました。優しい人がいるもんだと感動してました。後、そのマスコミは後で私がぶっ飛ばしました」


「え、あなた裏でそんな事してたの?」


「迷惑行為ばっかしてたので、腹が立ちました」


「まぁいいわ。生徒会特権を使ってそのことはなかったことにするわ」


「あの、さらっととんでもない事言わないでくれる?これでも私風紀委員だから」


「話がそれてない?」


 雍也の言葉を聞き、アルス達は咳ばらいをして本題に戻った。


「とにかく、あの日以降岳人たんの様子がおかしい……これはもしかして……」


「俺、分かった‼」


 後ろで話を聞いていた平塚が、大きな声を出した。


「うわ!びっくりした!」


「あなた、話を聞いていたんですか!?」


「もちのろん‼岳人が関わっているんじゃあ、兄貴の俺が出てこないと駄目だよね!」


「あなたが行動を起こしてもだめですけど」


「それより、分かったって何が分かったの?」


 御代がこう聞くと、平塚は笑いながらこう言った。


「やっぱり岳人はあの子に恋をしている!」


 平塚の答えを聞いた若葉は、驚いた顔をした。岳人がムーンに恋をしている。若葉もいろいろ考えたが、この答えにたどり着いていた。


「ちょっと待って。ちょっと待ちなさい」


 若葉は平塚を教室の隅へ移動させ、小声でこう会話した。


「いい?恋をするってとことはかなり難しい事なの」


「そう?」


「そうなのよ。それに、岳人たんはああ見えて恥ずかしがり屋だから、恋をしたとかそう言うと余計に恥ずかしがってしまうわ」


「そう?」


「そうなのよ!いい?これからあなたは一切この事に手も足も出さないで!この問題は岳人たん自身が解決しないと駄目な問題なのよ?」


「そう?」


「そうなのよ‼いいからテメーは何もせず岳人たんの今後を心配しろやコノヤロォォォォォォォォォ‼」


 何もわかっていなさそうな雍也にブチ切れ、若葉は平塚にキャラメルクラッチをかけた。その後、若葉はアルスや御代達に「岳人たんが恋心に気付くまでそっとしておく。それがいいと思う」と伝えた。

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