好奇心が招いた危機
今から二年前、当時の乃小は中二だった。その時の彼女は友達と一緒に街を歩いていた。すると、裏路地で変な荷物を車に運び込む男性グループを見つけた。何やってんだろうと思い、乃小はそこから様子を見ていた。しばらくし、車はバックで道に出て、猛スピードで去って行った。その時、乃小はその車の形や色、挙句の果てにはナンバーまで記憶していた。
その翌日、近くで麻薬の取引があったとニュースが流れた。そのニュースを見た乃小は、あの怪しい車がそうかもしれないと思い、その情報を警察に話した。結果、彼女が知らせた車が麻薬の取引の際に使われた車であった。その後、麻薬事件解決に手助けをした事で乃小は表彰を貰った。
そんでもって今、乃小はどこかの部屋で目を覚ました。近くにはまだ気を失っている友人がいる。
「ん、んーん……ん? ん⁉」
声を出そうとした乃子だったが、布のような物を口にまかれ、うまく言葉が出なかった。すると、乃小のグループに声をかけてきた中年の男性が部屋に入った。
「ぐひひひひひ……どんな気分だい?」
「んんんんん‼ んん、んーんん‼」
乃小はこの変態と罵倒したかったのだが、布のせいでうまく喋れなかった。中年男性は縛られた乃小に近付き、笑いながらこう言った。
「おーおー、そんな目で見るなよ。お嬢ちゃん、俺を覚えているか?」
中年男は乃小のことを知っているのだが、乃小はこの中年男の顔を見ても、誰なのか分からなかった。
「そうだ、それをしてたら答えが出来ないな」
中年男性は乃小の口にある布を外した。乃小は軽く息を吸った後、男にこう言った。
「誰よあんた⁉」
「そうか、覚えてないか。二年前だからな」
「私が中二の頃?」
「思い出せ。君は俺たちが麻薬の取引をしている現場を覗いた。俺は君が見ていることを察し、急いでそこから去った。だけど、君は俺たちが乗っていた車の情報を言ったせいで、俺たちは警察に捕まった‼」
この話を聞き、乃小は二年前を思い出した。
「あー‼ あん時の‼ まだ刑務所の中じゃないのー⁉」
「知り合いに助けてもらったんだよ」
その時、扉が開いた。中に入って来たのは下品な笑みを浮かべた老人だった。
「ふひひひひ……やっぱJKはええのう。こういう生意気なギャルにあれこれするのは本当に楽しみじゃのう……」
「おお、下種さん」
「もうお楽しみでいいか?」
「もちろんです。気のすむまでやってください」
下種と呼ばれた老人は、震えながら乃小に近付いた。
「ふひーふひー……嬢ちゃん、わしと一緒に楽しも」
「い……いやァァァァァァァァァァ‼」
自分がエロ同人みたいに襲われると思っていた乃小だったが、襲われる直前に激しい音が響いた。
「ほげェェェェェェェェェェ‼」
なんと、下種は何故か痺れていたのだ。ついでに、近くにいた中年男性も。
「え……何?」
「助けにきましたよー」
外から聞いたことのある声が聞こえた。その声の主はムーンだった。
「ムーン‼」
「さ、こんな汚い所から早く出ましょ」
その後、二人は縛られている友人達を開放し、目を覚ました。
「うん……あれ、ここどこ?」
「終わった後で説明します。とにかく今は外に出ましょう‼」
会話後、ムーンたちは部屋から出て行った。
その頃、警察に話をした雀は、震えながらコンビニでムーンが戻ってくるのを待っていた。その時、誰かが声をかけてきた。
「すまない」
「うっひゃあ‼」
急に声をかけられたため、雀はびっくりしてしまった。
「すまない、驚かす気はなかったのだが」
声をかけてきたのはアルスだった。遅れて息を切らせながら弓彦が走ってきた。
「あなたはムーンさんの……」
「勇者アルスだ。で、あそこでばてているのが世話になっている弓彦。それより。ムーンがどこかへ行ったような気がするのだが」
話を聞いた雀は、アルスに乃小たちが何者かに捕まり、ムーンが助けに行ったことを説明した。話を聞いたアルスは弓彦にこう言った。
「私はムーンの援護に行ってくる。お前はここで待っていてくれ」
「ああ。誘拐犯を半殺しにするなよ」
「大丈夫だ。それなりに加減はする」
アルスは弓彦にこう言った後、空を飛んでムーンの所へ向かった。
「あの人も空を飛ぶんだ……」
飛んでいくアルスを見て、雀はこう言った。
「さて、変態集団は片付いたからいいんですが……」
考えながらムーンは呟いた。彼女の周りには、魔法で半殺しにされた変態たちが倒れていた。
「うわー、これやりすぎなんじゃないの?」
乃小の友達がこう言うと、ムーンはこう言った。
「犯罪者には優しくしません。そんなことより、どうやって帰りましょうかねぇ……」
ムーンが考えていると、空からアルスがやってきた。
「うわ‼また誰か空を飛んでやってきた!」
飛んできたアルスを見て、乃小たちは驚いた。
「何でそんなに驚いているんだ?」
「この世界じゃあ、普通の人間が空を飛ぶなんてことはないからだと思います」
「そうか? クリスルファーだと普通の光景だし、弓彦もこれを見て驚いてないぞ」
「あの人はもうこの光景になれてるからだと思います」
アルスとムーンは会話を終えた後、どうやって戻るか話を始めた。
「警察がくるまで待つか? どうせこのことを話さなければならないし」
「この場所を見つけてくれればいいんですけど」
「犯人の車は使えない……というか、私たち免許すらないからね」
「車は……ムーンさんの魔法の流れ弾に命中して壊れました」
乃小の友人が、煙を上げている車を見てこう言った。その直後、車は軽く爆発を起こし、タイヤが空高くぶっ飛んだ。
「仕方ない。待つとしよう」
その後、ぶっ飛んだ車のタイヤを見た警察がムーンの所まできた。
「ほら、早く歩いて。早くしないと、少し……頭冷やそっか」
低町はのなが、変態たちを捕らえ、パトカーの中に連れ込んでいた。
「じゃあ、あなたたちは別のパトカーに乗ってくれるかな? そこで話を聞いた後、家に帰すようにするから」
「分かりました」
乃小たちはパトカーに乗り、いきさつを話した。こんな事件が起こったのは、変態たちが二年前の恨みを果たすためにやっただけだった。
数分後、コンビニで待機している雀と弓彦の所にパトカーが出来た。そして、中から乃小たちが降りた。
「はぁ……皆無事でよかったですー」
乃小たちが無事だと知り、雀は大声で泣き始めた。そんな中、弓彦はアルスにこう言った。
「暴れなかったか?」
「ムーンが一人で暴れてたよ。私が到着したころにはもう終わってた」
「あいつのことだ、半殺しだけじゃあ済んでなさそう」
「大丈夫ですよ! 半殺しだけで済ましました‼ いつもの半分の力で暴れたから大丈夫です‼」
「いや、半殺しだけでもやばいと思うが」
乃小は会話をしているムーンに近付き、頭を下げた。
「助けてくれてありがとね。本当に助かった」
この言葉を聞き、ムーンは笑顔でこう言った。
「あなたが無事でよかったです。それに、捕まった人や困った人を助けるのは賢者の務めですから‼」
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