超意外!こんなにおてんば娘だったの!?俺の方が振り回され始めてる・・・。
こんにちは。
あまのじゃくです。
新連載スタートです!同じバンドを好きな『同志』の航と瑠璃。
超お嬢様だと思ってた瑠璃が、超おてんばで。突進する瑠璃。それを止めようとするも振り回される航。
恋愛コメディーです。よろしくお願いします。
朝のラッシュ。サラリーマンやOL、学生が行き交う。
靴が跳ねる音と自動改札のピンポーンという音だけが響く、うるさい様で静かな駅構内。
電車が勢いよく構内に進入してくる。生暖かい風が航の髪を乱す。
プシュー。エアが抜ける大きな音がした。
扉が開く。航は電車から降りる人を待つために、端で並んでいる。
白いセーラー服に紺色のリボンタイ。靴は茶色のローファーに白いソックス。カバンは校章が入った黒い本革製のバッグ。
髪型は一切の癖もない、艶やかなロングヘアー。
いかにもお嬢様という女子高生が降りてくる。
航は彼女を目で追った。
彼女も、航を一瞬見る。毎朝、これの繰り返しだ。
航は学校へ行くと、いつものにぎやかなグループに混ざる。
「よ!航!」机に座っている陸が早速声をかける。
「昨日のサッカー見たか?俺、めちゃくちゃ興奮したぜ!」
昨日の日本代表のサッカーの試合の感想を熱く語っている。
そこに、もうひとり、いつものグループの仲間、佳奈がやってきた。
「ふたりとも、おはよ。まったくいつも朝から元気ね」
そういうと席に座って授業の用意をし始める。
授業が始まる。航はいつもの朝の光景を思い出していた。
毎日、目が合う。合わないときはない。ひょっとして・・・。
ボーっとしていると「城ケ崎!次の段落を読んでくれ」先生に当てられた。
まったく授業を聞いていなかった航は焦った、しかし、隣の席の佳奈が教科書を無言で指差す。
休み時間。
「航、いいかげんにしてよね!いつまでもわたしは航のお世話係じゃないんだから」と言いつつ少し嬉しそうに話す。
航は「ごめん、佳奈。ちょっと夜中までゲームしちゃってさ」と佳奈に手を合わせる。
放課後、航は帰ろうとすると、陸と佳奈に呼び止められた。
「カラオケ寄っていかね?」陸が誘った。佳奈も「たまにはわたしも行きたいかな」どう?
「ふたりともごめん!今日は予備校の日なんだ!」
陸は「あーそう言えば航は大学志望だっけ?」陸が改めて確認すると、佳奈は「それなのに授業中ボーッっとしてるなんて呆れる・・・」ジト目で航を見た。
「そういうことで、ごめん!」航は小走りに階段を下りていった。
商店街を抜けて塾へ向かう。
夕方の商店街は夕飯の買い出しの子連れの主婦やバカ騒ぎわしている高校生グループ。
朝の靴音と自動改札の機械音だけの空間とは世界自体が違うように感じる。
商店街を抜けた公園の前に予備校がある。
3階建ての立派な建物に横断幕が下がり有名国立・私立大学入学数が誇らしげに風に揺れている。
航は扉を開けて階段を上る。見覚えのある学生服が歩いている。
思わず航は駆け出し、確認した。
【あの子】だ...。毎朝、目が合う。【あの子】。
ドキドキしすぎて、一瞬、自分の教室が分からなくなった。
講義が終わり、教室を出ると、すぐに【あの子】を探す。
しかし、見当たらない。航の通っている予備校は規模が大きいので、特進コースと進学コースとに階が分かれている。
やっぱ、【あの子】は特進か・・・。だろうな。
あの制服は『私立聖ルクス学院』の制服だもんな。頭がよくて、金持ちだらけの有名なお嬢様学校の。
ため息をついて階段を下りる。ふと横の休憩スペースを見ると【あの子】が座っていた。
航の心臓がドクンと鳴った。
急いで財布を取り出し、自動販売機へ向かう。飲み物なんてどうでもいい。
ガランと音を立ててコーラが出てきた。
どこに座るか・・・。いきなり横はまずい。ちょっと離れて【あの子】から見える位置に座った。
航が【あの子】をチラッと見ると、目が合った。あっちも驚いた顔をしている。
航が動けないでいると、なんと【あの子】の方から歩み寄って来た。
航の横に静かに座る。
綺麗にきっちりと着こなしたセーラー服。石鹸のような、あるいは女子特有の甘い香りが航の鼻をくすぐる。
「あの・・・駅でいつもすれ違いますよね。わたしのことわかりますか?」
航は震え声で「お...俺もあなたとすれ違うの覚えています」
【あの子】は航の方に向き直って、「わたし、【星野 瑠璃】といいます。よろしくお願いします」と軽く会釈をした。
「お・・・俺は、城ケ崎 航です。こ・・・こちらこそよろしくお願いします」航は思いっきり頭を下げた。
航は率直に瑠璃に疑問を投げかけた。
「こういっちゃなんですけど、なんで俺なんか見てたんですか?」
航は心の隅で『かっこいいから・・・』とか言われるんじゃないかと淡い期待を抱いていた。
瑠璃は「シルバーメイデンのキーホルダー」そう言って航のスクールバックに揺れているメタルバンドのキーホルダーを指差した。
「わたしの学校ってメタルとかロックみたいな音楽聴く人いなくて」
航は思った。そりゃそうだ。都内でも有数な超お嬢様学校。そんな男くさい音楽聴く人はいないよな。
「瑠璃さんって見た目からは想像できないっていうか、そういうイメージわかなくて」
瑠璃は「そんなことないですよ」と言って、校章が入った綺麗な本革製の指定カバンを漁ると、航の目の前に差し出した。
「これって、シルバーメイデンのリストバンドじゃないですか!」航は驚いて大声を上げた。
瑠璃は「でしょ」と言って自分の白く細い手首にリストバンドを巻き付けた。
航は「俺、ブラッシュアップって曲すきなんですよ!」
「わたしも!部屋で聞いてヘッドバンキングしてます!」瑠璃はちょっとだけ仕草をしてみせた。
航は思わず、吹き出した。「瑠璃さんって面白いですね!」
「学校や家族の前では大人しくしてます」と笑った。
瑠璃は続けて「敬語やめてもいいですか?同じバンドを好きな『同志』なんですから」
「わたし、一緒に行く人がいなかったからライブハウスって言ったことなくて。連れってってほしいな」
航は「瑠璃さんさえよければ・・・」 瑠璃は ストップ! と航の発言を遮った。
「わたしたちシルバーメイデンの『同志』なんだから、瑠璃でお願い。わたしも航って呼ぶから」
航の遥か斜めを行く、瑠璃のおてんばお嬢様ぶりに、航の方が振り回され始めていた。
「わたしもヘドバンの練習しとくから、航もお願い」
ライブハウスは戦場よ!!!
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