記憶 1
ドカッ
モジャモジャの髪の少年は腹わたを蹴られ、グヌうと言ってうずくまっている。少年の周りを、さほど年の変わらない少年達が、つまんねえなとか、次誰やる?などとニヤニヤ笑いながらふざけている。
まだ腹わたは痛み、顔から油汗が吹き出している。
「お前みたいなのがいるから、俺たちの品位が損なわれんだよっ!」
再度蹴り上げられた腹わたは激痛を伴い、モジャモジャ髮の少年は我慢出来ず嘔吐した。
「うわっ、汚ねえ。赤兄やり過ぎじゃね?」
大きな黒目の少年は鼻をつまみ、げええと嫌そうな顔をした。注意された一番眉の太い、男っぽい少年は、眉間にシワを寄せた。
「別に大丈夫だろ。……こいつの事なんて、 父上は眼中に無いんだから。そんなに言うなら黄い坊が世話してやれよ」
無理無理と黄い坊は手を振り、切れ長のシュッとした顔の少年に助け求めた。
「青兄、なんとか言ってやれよー。赤兄は歯止めが効かないんだよ。えっ、白狐、お前なにしてんの?」
青鷺は、次は俺の番だったのに、とぼそりと呟くと、背を向けて立ち去ってしまった。白狐はと言うと、モジャモジャの髪を枝でグリグリして、なんでこんな髪が生えんの?と無邪気に笑っている。
「ちっ、死んじまえばいいのに。行くぞ黄い坊。ビャク坊もそんな汚ねえ髪いじんな」
はーいと白狐は飽きたのか、枝を投げ捨て赤兜の後をついていった。黄盾は、 バツの悪そうな顔をした後、じゃあなと呟いて二人続いた。
四人が立ち去る足音を遠くで聞きながら、モジャモジャ髪の少年神谷は、そのまま意識を失った。




