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コウテカの庭  作者: 島 アヤメ
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村に着くと、美味しそうなお米の炊けた匂いとともに焼き魚の香ばしい匂いが、七之助のお腹をぐるぐると鳴らせた。


村は谷にあったが、日当たりはよく活気に満ちていた。幼児達が、よちよち歩いてるそばで女達は楽しそうに談笑している。働き盛りの男達の姿は見えず、後は老人ばかりであったが、村は明るかった。


一見、他の村と差ほど変わらないように見えたが、子供まで黒尽くめの格好をしているのは異様であった。


「おっかあ、帰ったぞ」


七之助は恰幅のよい、おでこを出した女性に聞こえるか聞こえないかの声でぼそりと声をかけた。おかえりと笑顔を向けると、七之助に駆け寄って、怪我なはないかとか、上手くいったか等としつこく聞いてきた。七之助は面倒くさそうに、大丈夫だった、と答えた。



女性を振り払うと、七之助は木に登り祭りの用意を眺めていた。


もうすぐ夕刻だ。


夕陽は赤く村を染め、ヒグラシがカナカナと鳴いている。息吹は、懐かしい気持ちが自分の中にあるのに戸惑った。


(この場所を知らないのに、どうして)


日が沈む。


清んだ涼しい風が七之助の頬を撫でた。


これから起こる惨劇を、息吹も七之助も知らず今はただ心地よい風の中に心を委ねるのであった。


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