33/139
祭り
パチパチ鳴り響く炎は村を照らし、帰ってきた男達を温かく迎えた。深夜これほど賑やかな日は、この村には全くなかった。
五十年に一度、奉納をかねた村の生誕祭は、普段黒尽くめの村人の心をわきたたせ、大いに興奮させた。
人々の表情を見て、息吹はどこかワクワクした心持ちであった。あのぶっきらぼうの七之助も、今夜ばかりはどことなく足どりが軽い感じだ。
「七之助、元気であったか」
細身だが、眼光鋭い額に傷のある男が、七之助に話しかけてきた。息吹はこの男が、ただ者でないことを瞬時に感じた。
「父上!」
息吹は七之助が、喜びを隠さず表に出したことに驚いた。細身の男は軽々と七之助を持ち上げ、肩に乗せると、大声で村人達に語りかけた。
「今宵は疲れを癒し、存分に楽しまれよ」
一同はわあと沸き立ち、太鼓やお囃子が始まった。老若男女問わず人々は大いに盛り上がり、酒の入った席では、おどける者もでてきて賑やかさが一層増した。
松明は赤々と燃え、村の空気は熱気に満ち、笑い声は夜空へ吸い込まれていく。
遠くない、森の奥で物騒な部隊が刻々と近づいている。
どうしてこの日だったのか。
過去は変えられず、運命の歯車は大きな闇へと突き進んでいくのであった。




