003
「なっ……なにこれ!?」
準備をしようと思って帰ってきてすぐ。私は自室にて叫んでいた。
どこを見てもたくさんの箱で溢れている。丁寧な包装が施されているし、間違えなく誰かからの贈り物。
と、いうだけならいいのだけれど、量があまりにも多い。一体誰がこんな贈り物を……。
「殿下からですよ」
隣から声が飛んでくる。
「あ、アイシャ、いたの?」
「私が勝手にどこかへ行くとでも?」
いつの間にか隣に立っていたのは、私の専属侍女であるアイシャだった。
アイシャは私の良き理解者でもあるわけで、何も言わなくても、私の思っていることを感じ取ってくれたりする。今回も私が考えていることを見抜いて説明してくれたよう。
そんなことより……と、改めてこの贈り物について考え直す。
「殿下、って言った?」
「いいました。こちらのものすべて、殿下から贈られてきたものです」
まあ、私宛の贈り物なんてカイン以外からは届かないからなんとなく予想はついていたけれど……。
この量は聞いてない。そもそも何が入っているのだろう。
「手紙も添えられていましたよ」
アイシャから手紙を受け取り、その内容を確認する。
『 レイラへ。
この手紙を見たということは、今頃は部屋中に置かれている贈り物に驚いていることだろうね。
今回の贈り物は、勿論学園卒業パーティに関しての物だよ。
学園卒業パーティでは、それらを身に着けたレイラを見れることをとても楽しみに待っているよ。
カイン・フォン・アルグランドより』
「……」
「順番に開封しますねー」
私がなんとも言えなくなっている間に、アイシャがテキパキと開封していく。
あっという間に中のものが見えてくるのだけれど、やっぱり量がとんでもない。
もはや恐怖。私はその場から動けない。
その間もアイシャは動き続け、すべてのものを開封する。あいかわらず完璧な仕事ぶり。
雑事が多いとはいえ、アイシャはかなり仕事ができる。ただのメイドではなく侍女という立場にいるのは、そういう面も影響しているのだろう。
「ドレスも一着ありますね」
そう私が感心している間に、アイシャがそんなことを呟く。
アイシャの視線の先を確認すれば、そこには紫色のきらびやかなドレスがあった。確かに綺麗なのだけれど、派手すぎない。
派手すぎないけど、ちゃんと綺麗なドレス。つまりは私の好み。
「か、可愛い……」
思わず呟く。この出来栄えなら、文句なんて出てこない。
思わず見惚れている間に、アイシャが大量の贈り物たちを見つめながら何かをブツブツと呟く。
「このピアスとか、ネックレスとか、髪飾りとか……紫色のもの多くないですか?まさか……いや、考えなかったことにしましょう」
何を言っているのか私にはよく聞こえなかったけれど、アイシャはすぐに顔を上げて私に声を掛ける。
「それより、この小物類はどうするんですか?複数ありますけど、一つに絞らないといけないでしょう?」
そういって、ピアスの一つを私に手渡す。
うっ、これも可愛い。けど、他においてあるものも気になる。あれもこれも気になるから、このままだと一生決まらないんじゃないかと思う。
カインは私の好みをよく理解している。何故かは知らないけれど。
「さ、これから選別作業ですよ」
アイシャのそんな言葉と同時に、パーティのための本格的な準備が始まった。
雪華97さんの方で別視点……ではなくてですね。
諸事情で、一話より時系列が前の話が公開されています。
ちょっとした小話って感じですね。
雪華97さんの方の作品
↓
「アルグランド王国~俺は婚約破棄がしたくない~」




