9話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
荷物をまとめて二人で階段を下りる。
この学校は一年、二年、三年の順に階が上がっていくんだ。そして校舎は三階建てになってる。まぁ、それだけ歳を重ねれば動きなさい、って事なのか、それとも単純に割り振ったらそうなったのか。
「三年生はいつも階段、ちょっとめんどいよね」
あたしがそう言うと、
「そう? これくらい動かないと本当に動かなくなってしまうでしょ? 私は窓際の席だからここ、眺めが良くて好きよ」
と返って来る。そう、あたしたちは隣同士の席なんだけど、瞳美ちゃんは一番窓際にいて、次があたしの席って感じなの。
実はこんな偶然あるんだと思われそうだけど、一年から三年まで同じクラスの、しかも比較的席が近い位置で生活して来たんだ。それを言ったら、確かあたしが前の小学校から転校して来て以来、ずっと一緒のクラスだったりもする。
ここまで来ると運命、みたいな?
だけど、敢えてその話題には触れない。多分、瞳美ちゃんはそういう話は好きじゃあないと思うの。
一緒にいて、仲が良ければそれでいいじゃない? あたしはそう思う。[ずっと一緒だね]とか[運命みたいだね]なんて言葉は自分を追い詰めるだけだ。
あたしには絶対に隠さないといけない秘密がある。それを今更晒したらどんな風になるか。まぁ、瞳美ちゃんの性格を考えれば、多分向こうだって同じように考えているんじゃあないかな。もしもあたしが[ずっと一緒のクラスだね]なんて言っても[そうね]くらいにしか返してこないと思うし。
だからかも知れない。
「あゆみちゃんはどの高校行くの?」
って聞かれた時は[えっ、あの瞳美ちゃんが?]ってびっくりしたよ。事実、そういう他人のプライベートな行動には興味ないように見えるし。
まぁ、もしかしたら世間体的な話で言ったのかも、そんな風に思いつつも、
「稜鍾高校を目指してる」
と素直に答えてみる。
稜鍾高校、それはいわゆる進学校のそこそこ良い部類に入る。もっと良いところは星学館高校とかあるけど、隣町になる。稜鍾高校はこの中学校からも近く、それこそ歩いていける。
という事は、通うにしても都合がいいのですよ。そんな高校が直ぐ近くにあるのであればそこに行きたくなるのが人の常、ましてやそれが進学校であれば、ある程度人間もふるいに掛けられるし。
別に進学校を神聖視してる訳じゃあない。ただ、ね、小学校の時にその……あんな事されたのがちょっとやんちゃな子だったってのもある。
ある種のトラウマってやつかな。だからその時も[あたしは上を目指してやるんだ]って気になった。
ぶっちゃけある程度、成績が良ければ品性もいいだろうし、まずもってして犯罪めいた事はしないだろう、というのがあたしの目論見だったりする。成績がいいのにわざわざ犯罪に手は染めないでしょ?
だから、なのかどうなのか分からない。
ただ、
「奇遇ね、私もそこを目指してるの」
と意外な答えが返って来た。
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