４話目
全６３話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日２話ずつ、１８：００と１８：１０に投稿します（例外あり）
※特に告知していなければ毎日投稿です
ここで、あたしの疾患の話を少し。
性分化疾患の一種っていうのは前にも言ったけど、具体的には男性器もあれば女性器もあるという先天性の疾患なんだ。本来であればこの手の疾患は大抵はちょん切って女として生きていくか、引きずり出して男として生きていくかの二択なんだけど、これには諸説、諸事情がありまして。
あたしは途中から女性としての自覚が出てきたんで、その時に両親が医師と相談して女児として養育しよう、という話になり、女の子の部分を大事にして、薬でホルモン？ の補充を行うっていう経過を辿って来てるんだ。
じゃあ何でさっさと［アレ］を取ってしまわないか、という話になるんだけど、これが諸説あるらしくて。今のお医者さんに言わせると［アンドロゲンから変換されたエストロゲンが二次性徴を誘導するため、思春期前の摘出は避けるべきだ］とか何とかいう意見によるものらしい。つまりは一言で言うと［身体が大きくなるまで、もうちょっと待て］という話みたい。
それも前に住んでいたところの総合病院の、それも専門医がそう言ってるんだから、まぁ間違っちゃいないんだろうと思う。
それにこの前チラッとお母さんから聞いた話だと［もしも男としてやっていきたい場合、取ってからでは遅い］って思っていたみたい。
そう考えるとこの両親の子供に生まれてきてよかったな、と感謝してる。自分の性を自分で決めさせてもらえたんだから。
ちなみに今、この日記を書いてるあたしは十五歳。今年は高校受験があるから是が非でもいいところに行きたい。出来れば女子高に、とも思ったけど、それはそれで下心があったりなかったり。
ただひとつ言えるのは、あたしは女として生きていきたいって事。今のままで、男として生きていくという未来が見えないんだ。それに少なくともお父さんとお母さんは賛成してくれてる。おじいちゃんとおばあちゃんは……無理かもしれないけど、この世から去る前にはちゃんと向き合ってお話したいな。
そして、もしも理解してくれる日が来たらそれはそれで嬉しいよ。
そういう訳で、身体は女の子に［アレ］がくっついてるという状態で過ごしてるわけなんだけど、それも十八歳までには摘出手術をするつもりでいる。そうすれば名実ともに女として認められる、といいたいところなんだけど、性別がねぇ。
でもね、これにも光が見えているんだ。現在は医学的な理由等で法律上の性を変更することが可能になってきている。性同一性障害（ＧＩＤ）という事例も世間で取り上げられて注目されてきたところだし。まぁ、あたしの場合は実際、これとは少し違って先天的な医学の話になるんだけども。
十八歳を超えたら法律の先生に手伝ってもらって戸籍の性も変更するつもりでいるんだ。まぁ、それよりも何よりも高校受験が先なんだけどね。
なので、それまでは［アレ］と付き合いつつも女性として生活する、そんな日々が続く事になりそう。今まで散々［アレ］扱いしてる［ソレ］も身体を形成する上で必要なんだとしたらまったくの無駄ではない訳だし。
でもなぁ、体育は……全滅だろうなぁ。プール……泳ぎたいなぁ。
という心の声がある訳なのですが、それはそれ、これはこれで少しの我慢は必要だろうと考えてる。
現に一度、こちらに落ち度はなかったとはいえ実際に襲われてバレてますからね。今度はバレる訳にはいかない。当然、進学する予定の高校には事前に確認もとってある。向こうからは［先天性疾患であれば性別は問わない］という言質まである。だから、あとは前に突き進むだけだーと言っている今の自分に一言。
ちゃっちゃと勉強しろよ、と。
勉強なくして進学無し。せっかくの言質まで取りつけた高校（ああ、共学ですよ、念の為）にこのままじゃあ入れない。だから塾にも通ったりしたりして。
そう言う今も午前零時を回ってるんだけど。
元々夜型なのかもしれないけど、この時間が一番頭が冴えるんだよね。そして色々な事を考える。もちろん嫌な内容が多いんだけど。性に関するのが一番かな。やっぱり恐怖ですよ、もしもこの性別が知れたら、って。そうならないようにする為にはどうしたらいいかって。
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