《 period 3 NEXT 》 深き深き『底』より
白く光り輝く地面の上に敷かれた、まるでレッドカーペットのように赤く染まった部分を、一人の少年が、鼻歌を歌いながら進む。
何か楽しいことか、もしくは嬉しいことでもあったのか、その顔は満面の笑みに染まっていた。
彼の進むレッドカーペットの脇は大勢の人々で隙間なく埋め尽くされ、彼らは少年の存在を崇めるように、誰もが地面に額を擦り付けるように跪いている。
そんな神聖さすら感じる空間を、少年は楽しそうにスキップ混じりの足取りで前進するのだ。
ビチャッ、ビチャッ、と、地面を踏み締める度に、『赤い液体』を乱雑に撒き散らしながら…………。
────いいや、違う。
辺りに漂っているのは、『血』の香り。
これだけの多くの人々が居るのに、生命の息吹は、一つたりとも『残っていない』。
そう。
少年が楽しそうに踏み荒らしているのは────真っ赤な鮮血。
それは、地面に突っ伏して『絶命』している人々から、絶えず流れ続け、まるでレッドカーペットのように少年の進む道筋を描いているのだ。
その残忍な道筋の終着点は……。
────大勢の亡骸を積み上げて築かれた、『玉座』。
その上に、少年は何の躊躇もなく腰掛けると、何処か興奮した様子で、目の前に広がる残虐的な光景を見下ろす。
「……ぅ、ぐ……だ、『代闘者』様…………な、んで……こんな、こと、を……っ」
死体の列から、ただ一人……全身血塗れで、息も絶え絶えな少女が、顔を真っ青にしたまま顔を上げた。
────『深族の代闘者』。
深族たちの亡骸の上に腰掛ける彼は、柔らかい笑みを浮かべながら、唐突にこう切り出す。
「さて、問題です────世界の平和と、個人の命。世界規模という枠組みで見た時、真の意味で重視すべきなのはどちらでしょ~か?」
「……え…………ぇ……? せ、世界、平和……?」
あまりにも突然な問い掛けに、少女は戸惑いつつ、模範的な解答を返す。
すると、代闘者は分かりきった様子で、うんうん、と満足げに頷きながらこう答えた。
「ふふっ。ざ~んねん、ハズレ~。正解は────僕の知的好奇心、でした~」
理不尽な問答に少女が呆気に取られる。
すると。
彼女の周囲から、突然黒い『触手』のようなモノが大量に生えてきて……少女の華奢な身体を、這うようにしてキツく縛り上げる。
瞬間、少女は……自身の運命の末路を悟った。
「ひ、ぃ……ッッ!?」
「大丈夫、大丈夫。苦しまないように一瞬でヤってあげる。だから────君も、僕の好奇心の礎となってよ」
「──た、助け……ッッ」
次の瞬間。
少女の身体にまとわりつく触手が、彼女の身体の穴という穴から、次から次へと体内に侵入。
そこからしばらくの間、グシャッ、ズジャッ、と体の中を蠢いた後。
「────ァ……ッ」
内側から、肉と皮を突き破り……。
────彼女の身体は、肉片と鮮血を撒き散らして、バラバラになってしまった。
その拍子に、代闘者の顔に血が飛び散るが……彼はそれを舌なめずりしながら呟く。
「ふふっ、なるほどねぇ。これで、『この世界の仕組み』は大体理解出来た。あと、必要なのは……」
もはや、目の前の惨劇は彼の眼中にはない。
彼が見ているのは、常に、好奇心の示す方向。
その先にある『真実』だけを、彼は求め続ける。
例え、そこに至る為に……どれだけの犠牲を払おうとも、どれだけ恨まれて憎まれようとも、どんな人物を生け贄に捧げようとも……彼の持つ『好奇心』は、一切揺らぐことはないだろう。
それが、『深族の代闘者』たる、彼の存在意義なのだから。
「────『彼女』、かぁ…………やっぱり、『彼女』が欲しいなぁ。だけど、そんなことしたら、『彼』も怒っちゃうかなぁ? 怒っちゃうよねぇ?」
そして、今。
彼の澱み無き好奇な眼は────『ある一人の人物』を、真っ直ぐに捉える。
批判されることも、恨まれることも、全て見越した上で。
尚も彼は、興奮した様子で、愉しそうに嗤い続けるのだった。
「さぁて。そんじゃあ、そろそろボクも────このかったるい闘いの場へ赴いてやるとするかぁ……ふふっ、ふふふふっ」
PERIOD 2 ────END
これにて、『period 2 』完結となります。
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