告白!
よろしくです!
そして、時間はたって放課後が来た。
「放課後になっちまったか・・・じゃあ、ちょっと行ってくる!」
「おう!その様子だとまた振るのか?」
「まぁな・・・」
煌の言葉に苦笑いしながら俺は教室を出て体育館裏に向かう。
「あっ!川石 那依樹先輩!」
女の子が俺を見て近寄ってくる。
「待たせた?」
「いえ!」
この子が竹野島 結奈か・・・確かに美人だな・・・
俺はそう思いながら彼女を見る。
「・・・・・」
「・・・・・」
沈黙の時間が流れ、相手が緊張しているのが分かる。
「えっと・・・わっ・・・私と・・・つっ・・・付き合ってください!」
頭を下げて差し出された手がかすかに震えていた。
こんなかわいい子、俺じゃない男子だったら一発オッケーするんだろうな・・・
「えーと・・・竹野島さん・・・ごめん・・・俺、君とは付き合えない・・・勇気だして告白してくれただろうに、ごめん・・・」
俺は首もとに手をやり、そう答えた。
「そう・・・ですか・・・差し支えなければ、理由を聞いてもいいですか?」
竹野島さんは泣きそうな目をしながら俺を見てそう言う。
「理由・・・か・・・」
俺は困ったようにそう口を後漏らせる。
「あっ・・・無理にとは言いません!すみませんでした!今日は来てくださりありがとうございました!」
竹野島さんはそう言うとその場から走り去った。
「ごめんな・・・理由・・・言えねーよ・・・妹が好きだから付き合えねーとか・・・言えるわけねー・・・」
俺はボソリと蚊の鳴くようなこえでそう言って空を見上げる。
そうだ、俺が誰とも付き合わない理由、それは、妹が好きだからだ。
もちろん妹としてじゃない、一人の女の子として妹を愛してしまった。血が繋がってる訳じゃない、小学生の時に親が再婚して、そのつれ子が心春だった。一歳したの妹が出来たことに俺は嬉しかった。
中学のとき両親が事故で亡くなり俺たちは心春の祖父母に引き取られた。
俺は祖父母そして、心春に心配されまいと、気さくに元気に演じた。
祖父母は、そんな俺を見て安心したようだった。
とある日の夜、俺は嫌な夢を見た。
どこまでも続く黒い世界、一人ぼっちで悲しくて、冷たい世界、頭がおかしくなりそうで俺は塞ぎ混んでいた。暫くして暖かい何かが俺を包み込んでくれて目が覚めた。目の前には、心春がいて心春は優しく俺を抱き締めて、頭を撫でてくれていた。
「大丈夫・・・大丈夫だよ?お兄ちゃん・・・」
心春がそう言ったのを聞いて、俺は心春の優しい温もりでスーと眠りについた。
最初は夢なんじゃないかって思っていた。だけど、朝目が覚めて隣を見ると心春が俺の手を握りしめている姿があり、夢じゃないことがわかった。そして、そんな心春の寝顔を見て俺は心臓が張り裂けんばかりに早く鼓動を打っていた。
これが、心春を好きになった瞬間だった。
空を見ながら昔の子とを思いだし終え俺が鞄を手に取り帰ろうとした時。
「俺と・・・付き合ってくれ!」
壁の向こうで誰かが告白しているのが聞こえてきた。
「ごめんなさい!」
聞き覚えのあるいや、いつも耳にする声に俺は壁に耳をつけて聞き耳を立てる。
「そっか・・・ダメもとだったし、仕方ない・・・でも、一つだけ質問・・・心春ちゃんはなんで誰とも付き合わないの?」
壁の向こうで話しているのは紛れもなく心春だ。
まぁ名前出してるし間違えないよな。
「今までは、誰にもその理由について話さなかったけど、このままだと学生生活が告白の嵐で終わりそうだから理由・・・教えるね?私、好きな人がいるの・・・誰かとかは言えないけど・・・その人以外好きになれないの、だから、誰の告白も受けない・・・」
「そっか・・・好きな人がいたからか・・・それじゃ仕方ないね?わかった、今日はありがとう!」
男子はそう言うと、その場を後にする音が聞こえたような気がするが、それはどうでも良いことだった。俺は心春のあの一言が頭にのしかかっていたからだ。
「心春に・・・好きな人が・・・いる・・・」
俺は崩れ落ちながらそう口にする。
誰にも言えない、兄妹で恋愛っていくら血が繋がってなくても世間が見たら怪訝な表情をするに決まっているからだ。だから、言えない・・・
「って・・・言ってられねー!!」
「のぁっ!誰かいるの?てか、その声・・・お兄ちゃん?」
俺は急いで口を押さえるが時すでに遅し、俺のでかい独り言は見事にバッチリと心春の耳に入っていた。
「お兄ちゃんなんでしょ?」
心春は、大きい声でそう言う。
「あー・・・わりぃ・・・盗み聞きするつもりはなかったんだけど、聞こえてしまって・・・」
俺はしどろもどろさせながらそう言う。
「まったく・・・お兄ちゃん、ここでなにしてるの?」
「えーと・・・お前と一緒だよ!」
「えっ?告白されたの?噂では聞いてたけどやっぱり・・・」
心春はボソリとそう言う。
「心春?どうかしたか?」
「えっ?いや・・・てか、壁越しって話しづらいな・・・お兄ちゃん、今からそっちに行くから鞄受け取って!」
心春は、そう言うと鞄を宙に投げ、俺はそれをキャッチする。
「来るってまわってか?じゃあ、鞄投げる必要性あるか?」
「んー?まわらないし、必要性はあるよ?じゃあ、行くよー!よっと!」
心春は、そう言うと二メートルもある壁を飛び越えこちらに落ちてくる。
「ちょっ・・・おまっ・・・くそ!」
俺は驚きながら落ちてくる心春を優しくキャッチする。
「お前な・・・あぶねーだろ!」
「お兄ちゃん、信じてるからだよ!いつもはしないよ!」
「いつもしてたら怒るって問題じゃねー!つか、俺だからとかで怪我したら・・・」
「ごめんね・・・でも、ちゃんと受け止めてくれた!」
少し反省の顔をしながら心春は言う。
「まぁ、わかったならいい・・・」
俺は、そう言いながら心春をそっと地面に下ろした。
「それで、お兄ちゃんの方の告白の返事は?」
地面に足を下ろした瞬間、そう言って迫ってくる心春に俺は圧倒されて後ろに下がる。
「こ・・・断った・・・よ?」
俺は声をつまらせながらそう言った。
「ふぅ・・・」
俺の返事に心春は胸に手をあて息を吐く。
「えーと・・・心春?」
首をかしげながらそう言う俺の目と心春の目がバッチリと合った。
「あっ・・・えっと、ごめん!」
俺は慌てて心春から目をそらして、離れようとする。
「待って!お兄ちゃん・・・私・・・お兄ちゃんが・・・好き・・・」
「えっ?」
いきなりの告白に俺はポカーンと間抜けな顔になる。
「言うつもりなかった・・・仮にも兄妹だし、世間の目もあるし・・・でも、今日、お兄ちゃんから告白されたって聞いたとき、他の人の彼氏になるかもってそれは嫌だって思った・・・自分の気持ちを言えずに他の人に取られるくらいなら、告白して玉砕された方がいいって思った・・・誤解される前に言っておくけど私の好きは男として好きって意味だよ?」
心春の話が頭をグルグルと周っていたが、心春の本気は伝わった。
俺も意を決して、心春を見る。
「その・・・俺・・・」
「やっぱり、返事はまた後で!下校のチャイムがなる時間だし、帰ろ!」
怖くなったのか、心春は震える手で鞄を取りそう言う。
「心春・・・俺も好きだ!妹としてじゃない!一人の女の子として、好きだ!愛してる!」
俺は、心春の手を握りしめてそう口にした。
「ほんと?」
「ほんとだよ?」
涙目でそう言う心春が無性に可愛く見えてしまいいつの間にか俺は心春を、抱き寄せて唇に優しくキスをしていた。
静かな体育館裏に下校のチャイムが鳴り響いた。
そうして、俺たち兄妹は、恋人になった。
誰にもバレたらいけない秘密の恋がこの日から始まった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!