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彼の彼女は意地悪ガール  作者: 夢遥
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彼の彼女は意地悪ガール

瑞輝と比奈が別れて、自分のせいだと落ち込む哀華だったがー!?


最終話になります。是非、読んでみて下さい!!

「やっぱり、あたしの勘はあたったね」

 教室へ戻ると、話を聞いた深羽は、おにぎりをぱくつきながら納得している。

「瑞輝君とも別れることになるなんて、あたし達のせいだよね……」

「自業自得だもの、そんなに落ち込むことないって。先輩だって、哀華のせいじゃないって言ったんでしょ?」

「うんー」

 購買で買ったジュースを一口飲みながら返事をした。

「どっちみち、バレるのも時間の問題だったんだよ」

 深羽は、平気な顔で言った。


 そうは言っても、瑞輝君の気持ちを思うと、何だかやるせない気持ちだ。



 電車が来るのを、ちらほらと下校する学生達がホームにたたずんでいた。


 学校が終わって、すぐに駅へ来たあたしは、時間があるのでのんびりとベンチに座っていた。

「哀華」

 その時、誰かに呼ばれる声がして、振り向いた。

「渉ー」

 いつの間にか、渉が目の前に立っていた。

「良かった。逢えて」

「どうして、渉がここにいるの……?」

 あたしは、キョトンとした顔で渉を見つめる。

「哀華に話があって、帰りは電車にしたんだ」

「……」

 話って、きっと、比奈ちゃんと別れたことだろう。


「あのさ。俺、比奈と別れたからー」


 やっぱり、そのことか……。

 渉は、あたしの横に座る。


「俺と付き合うこと考えといてくれたかな?」

 渉が、あたしの顔を覗き込んだ。


「ごめん……。あたし、渉とは付き合えない」


 嫌いで別れたわけじゃないけど、今は渉にときめきを感じない。


「今度は大切にするから、どうしてもダメかな?」

 渉は、あたしの肩に手をやった。

「ちょっ!」

 本当、図々しい所が昔と変わらない。


 あたしは、慌てて手を払いのけようとした。

「哀華ちゃんー」

「……!!」

 いつの間にか、瑞輝君があたしと渉の前に立っていた。


「驚いたー。君達、そういう中だったんだー」

 瑞輝君が、あたしと渉を交互に見比べた。

「ち、違います!あたし達、そんなんじゃない」

 あたしは、パッと立ち上がった。

「哀華ー?」

 いきなり立ち上がったので、渉がキョトンとしている。

「どこかで見たことがあると思ったら……。君、確か比奈と付き合っていたー」

 瑞輝君が、じっと渉を見つめた。

「渡部渉です。よくわかりましたね?でも、彼女、あんたとも付き合っていたらしいから、俺から振りました」

 渉はきっぱりと、言ってのけた。

「振って、次は哀華ちゃんと付き合うのか」

 瑞輝君は、呆れかえったような顔をさせた。

「君の比奈に対する気持ちは、そんなものだったのか!?」

 瑞輝君は、渉の胸ぐらを掴む。


 瑞輝君が、どれだけ、比奈ちゃんを好きだったか伝わってくる。


「二股かけられているとも知らずに、告られて何となく付き合っていただけだし」


 渉も信じられない!何となく付き合っていただけで、比奈ちゃんとキスとかする!?


「何となくってー、そんな気持ちで付き合っていて、次は哀華ちゃんとってー」

「やだなー、哀華のことは、好きだから、付き合いたいって思っているんじゃないですか。もともと、元カノだったんだし」



 やめて!瑞輝君の前で元カノなんて言わないでよ。


 渉は、すっと立ち上がるとあたしの肩を抱いた。


 その時、電車がホームに滑り込んできた。


 瑞輝君は、何も言わずに電車に乗ってしまった。


「何だよ、あいつ。急に黙り込んじゃって」

 渉は、不満そうに電車に乗る。

「渉、あたし言ったよね?また、寄りを戻す気はないって!」

 あたしは、強い口調で言う。

「あいつのことが、そんなに好きなのか」

「お願い!瑞輝君には内緒にしてて」


 比奈ちゃんと別れたばかりだし、困らせたくない。


「ーわかった。その代わり、一週間だけ俺と付き合ってくれないか?」

「えっ!」

 一週間付き合うなんて、何を考えているんだろうー。


「付き合っていた頃は、哀華をほったらかしにしていたこと、今でも後悔しているんだ。だから、一週間でも償いたい」

「……」


 償いたいって言われても……。でも、あたしが瑞輝君のこと好きなこと、渉に言われても困る……。


「わ、わかった。絶対、一週間だけだからね!あと、本当にあたしの気持ち瑞輝君に言わないでよ!」

 あたしは、念を押した。



 翌日、渉は行動を開始した。

 放課後、教室まで迎えに来て一緒に帰ったり、昼休みには教室に顔を出したりと、付き合っていた頃に、あまりしなかったことだ。




「ちょっと、哀華。渡部君とどうなってるのよ?」


 渉と約束した日まで、あと1日。


 お昼のお弁当を食べ終わって、のんびりしていると、向かい合わせに机を並べて座っていた深羽が突然、聞いてきた。


「どうってー?」

 あたしは、キョトンとした顔で深羽を見た。

「一週間の約束でも、渡部君と哀華が付き合っているって、噂になってるの知ってるでしょ?」

「うん……」

「今朝だって、一緒に登校してくるし。それに、先輩が普通科の方にいるの見かけてるし」


 渉が、家まで迎えに来るものだから、瑞輝君に見られたくなくて、前みたいに一週間だけバス通学にした。

 でも、瑞輝君が普通科の方にいたなんて初耳だ。




 放課後、いつものように、渉が教室に迎えにきたので、一緒に歩いていると、

「哀華ちゃん、久し振り」

 瑞輝君が、変わらない笑顔で正門の所で立っていた。


 突然、瑞輝君に再会して、あたしは焦ってしまった。

『何、焦ってるんだよー。あいつは、まだ、比奈のことが好きかも知れないし、2人でいるのを見たからって、何とも思わないって』

 渉が、ボソッと小声であたしの耳元で囁いた。


「2人とも、本当に付き合ってるんだ……?」

 瑞輝君が、悲しそうな顔させた。


 どうして、そんな顔するの?

 あたしにも、告白するチャンスがあるんじゃないかって、勘違いしちゃうよー。


「特進にも、噂が広まってたなんて驚きです」

 渉が、ニヤッと笑うとあたしの肩を抱いた。

「俺達、よりを戻すことになったので、邪魔しないでくださいね」


「ちょっと、渉!一週間だけって言う約そー」

 あたしが、慌てて言おうとした時、急に瑞輝君があたしの腕を掴むと引き寄せた。


 あたしは、何が起こったのか状況がつかめずにいた。


「俺の彼女に、どういうつもりですか?」

 渉は、上目遣いで瑞輝君を睨みつけた。

「ごめん。でも、哀華ちゃんが困っているように見えたからー」


 確かに、困ってはいたけど、こんなことされたら勘違いしちゃうよー。


「哀華、来いよ」

 渉が、あたしに手を差し伸べた。


 あたしは、黙って首を振った。

「ごめん。約束まであと、1日あるけど、渉とは付き合えない」

「どうして……?俺、挽回しようと、付き合っていた頃にできなかったことを、この一週間尽くしたのにー」

 渉は、キュッと唇を噛み締めた。

「渉の気持ちは、わかったよ。でも……」

 あたしは、チラッと瑞輝君を見る。

「結局、哀華は俺よりこいつの方が好きなのか」

「や、やめて!付き合ったら言わないって約束でしょ!」

 渉の言葉に、あたしは慌ててしまう。

「だいたい、哀華のこと好きじゃないくせに、俺達の邪魔するのやめてくれませんか!?」

 瑞輝君を睨みつけながら、渉は強い口調で言うと、あたしの腕を掴もうとした。


 渉って、こんなに独占力が強かったけ!?


 その時、瑞輝君があたしの肩を抱き締めると、

「俺、哀華ちゃんが好きなんだ!だから、邪魔だってする」

 下校する人達が通る中、渉に向かって叫んだ。


 ……!!


 今、あたし告白された?


「まだ、比奈のことが好きなくせに、よくそんなこと……」

 渉が、信じられないと言う顔で、瑞輝君に目を向けた。


「もう、比奈には、気持ちはない。俺、哀華ちゃんのこと本気だからー」

 瑞輝君は、真剣な眼差しで渉を見る。


 渉は、瑞輝君の熱意に負けたのか、

「はぁー。そんなに、哀華が好きなら大切にしてやれよ!」

 と、軽く手を上げると、さっさと正門から出て行った。


「瑞輝君ー。本当にあたしのこと……」


 まだ、信じられない。瑞輝君があたしのこと、好きなんてー。てっきり、まだ比奈ちゃんのことが好きなのかと思っていたのに。


「この一週間、哀華ちゃんに逢えなくなって、電車に乗るたびに捜してた。渡部と付き合っているって噂で聞いてから、ショックで眠れずにいたー。その時、気づいたんだ……、哀華ちゃんのことが好きなんだって」

 瑞輝君は、あたしを優しく抱き締めた。

「あ、あたしも、瑞輝君のこと好き!」

 あたしは、瑞輝君の腕の中で今までの想いを言葉に伝えた。

「よかったー。渡部にとられてなくて……。実は言うと、2人が気になって普通科の方に、何回か確かもに行ったんだ」

「……」


 だから、深羽が瑞輝君のこと見たのかー。


「でも、実際に2人でいるところを見ると、妬いている自分がいて、ほんとイヤになる」

 瑞輝君は、照れくさそうに笑顔を見せた。


 何だか、瑞輝君が可愛く見えて、あたしはクスッと笑ってしまう。


「あっ、笑ったな!」

 瑞輝君が、軽く睨むと、あたし達の瞳がぶつかり合って、あたし達は人目も気にせず、優しいキスをしたー。

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