意地悪ガール
主人公哀華が彼氏と別れて、次の恋愛に出逢うお話です。
ぜひ、読んでみて下さい!!
ガヤガヤ……。
通勤ラッシュの駅に、人々の慌ただしさが、伝わってくる。
あたし、宮野哀華は、駅の階段を一気に駆け下りた。
「やばっ、早くしないと乗り遅れちゃう!」
急いで、停車している電車に乗り込んだ、その時、ちょうどドアがしまった。
「間に合ったー」
あたしは、ホッとひと息つく。
今まで、バス通学だったから、電車通学するのもまだ、慣れていないので仕方がないけど、朝が弱いあたしにしては、ちょっときつい。
「あははー!!」
すぐ近くに座っている、同じ制服を着た男の子達の楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
あの人だ……。
あたしは、顔立ちがキリッとした独りの男の子に目を奪われた。
電車通学にしてから、気になり始めた男の子。
彼は、いつも何人かのグループで電車に乗っている。
電車は次の駅に停車すると、一斉に乗客が降りて、また新たな乗客が乗ってきた。
その中に、沢山の荷物を抱えたおばあちゃんの姿があった。
おばあちゃんは、荷物を重そうに持って立っているのに、誰も知らん顔で席を譲ろうとはしない。
どうして、みんな薄情なんだろう。
あたしも座れない状態だから、もし、座っていたら席を譲るかも知れない。
そんなことを思っていると、あの彼が、さっと立ち上がった。
「おばあちゃん。ここどうぞ」
彼は、にこやかにおばあちゃんに声をかけた。
みんな知らんぷりしていたのに、やっぱり彼だけは違う。
あたしは、ますます彼のことが気になって仕方がない。
「それは、彼のことが好きなのよ」
学校に着くと、友達の高瀬深羽と、電車で会う彼の話をするのが日課になっていた。
「えっ!だって、この間まで渉と付き合っていたのに、そんなにすぐに次の人を好きになるかな?」
渡部渉は、あたしと同じ高1で元彼だった。同じ学校で、今まで一緒のバス通学だったけど、すれ違いで別れてから、何だか気まずくて電車通学にしたのも渉が原因だ。
「好きになるのに、時間なんて関係ないって!」
深羽が、明るくそう言ったけど、自分が気が多い女の子みたいで、少しびっくりしてしまう。
「それで、その彼の学年はわかったの?」
「さあー。顔立ちからして1年生ではないと思うけどー」
「名前は?」
「わからない」
「何か情報はないわけ!?」
深羽が、焦れったそうな顔をさせた。
「そんなこと言われたって……」
あたしは、少し困った顔をさせた。
「もしかして、特進クラスの子かもよ?」
深羽が、ポンと手を叩いた。
特進クラスは、定期テストでいつも、400点以上をとれているクラスだ。
「次、移動教室だし。ちょっと行ってみない?」
「えっ!」
突然、深羽が言い出したから、あたしは、びっくりして椅子から立ち上がった。
「ほら、行くよ!」
深羽に強引に、連れて行かれた。
「ちょ、ちょっとー。本当に待ち伏せするつもり?」
渡り廊下を渡り、隣の校舎まで来たものの、ピタッと足を止めた。
「待ち伏せって……。ストーカーとは違うのよ。ただ、年も名前も知らないんじゃ、何も始まらないじゃない!とにかく2年生の教室を先に見てみよう」
「……」
それもそうだ。
「あっ、ほら!あの中には、いるの?」
深羽が、教室から出てきた人達や、廊下で友達と話している人達の方に目配せた。
あたしは、あちこちのグループなどに目をやったけど、見当たらなかった。
でも、特進クラスのせいか、みんなこっちをチラチラ見ていて、何だかここにいるのは気まずい。
「深羽。いないみたいだし、もう行こうよー」
周りを気にしながら、あたしは深羽の手を引いた。
「やっぱり、うちらが行くと、目立つね」
自分達の校舎に戻ってくると、深羽はボソッと呟いた。
「そりゃあ、そうだよ……。スカートだって違うし、頭のよさも違うもの」
スカートやズボンの色が紺色に赤が混じっているタータンチェックーと緑色が混じっているのと二種類ある。
あたし達のは、赤の線がくっきりと入っているほうだから、目立つのも当然だ。
「明日は、3年生のクラスに行ってみよう!」
深羽はめげずに明るく、そう言った。
「えっ、明日も行くの!?」
あたしは、驚いて教科書を落としそうになった。
「当たり前じゃない~。なんか探偵になった気分でワクワクしちゃう!」
あたしは、深羽の言葉に溜め息をついたけど、近いうちに彼と会話ができるなんて想像もできなかった。
「あっ、もうが電車来てる!」
学校が終わると、急いで駅まで来たのに、ホームに電車が停まっていた。
あたしは、急いで走り出す。でも、慌てていたせいか足がもつれて転びそうになった。
「キャッ!!」
この状況だと、手をついても間に合いそうもない。
あたしは、思わず目を瞑った。
危険を感じてから気にしながら、あたしは深羽の手を引いた。
「やっぱり、うちらが行くと、目立つね」
自分達の校舎に戻ってくると、深羽はボソッと呟いた。
「そりゃあ、そうだよ……。スカートだって違うし、頭のよさも違うもの」
スカートやズボンの色が紺色に赤が混じっているタータンチェックーと緑色が混じっているのと二種類ある。
あたし達のは、赤の線がくっきりと入っているほうだから、目立つのも当然だ。
「明日は、3年生のクラスに行ってみよう!」
深羽はめげずに明るく、そう言った。
「えっ、明日も行くの!?」
あたしは、驚いて教科書を落としそうになった。
「当たり前じゃない~。なんか探偵になった気分でワクワクしちゃう!」
あたしは、深羽の言葉に溜め息をついたけど、近いうちに彼と会話ができるなんて想像もできなかった。
「あっ、もうが電車来てる!」
学校が終わると、急いで駅まで来たのに、ホームに電車が停まっていた。
あたしは、急いで走り出す。でも、慌てていたせいか足がもつれて転びそうになった。
「キャッ!!」
この状況だと、手をついても間に合いそうもない。
あたしは、思わず目を瞑った。
危険を感じてから何分経っただろう。あたしは、何処も痛くないことに気がついた。
それに、誰かに支えられているような感触だ。
あたしは、ハッと後ろを振り向いた。
そこには、いつも気になっている、あの彼の顔があった。
「大丈夫?」
彼は、ホッとした顔で、あたしの顔を覗き込んだ。
今までは、遠くからだったけど、こんなに近づいたのは始めてだ。
「う、うん。助けてくれて、ありがとう……」
あたしは、ドキドキさせながらお礼を言った。
「転ばなくて、良かったね」
「う、うんー」
「同じ学校だね。何年生?」
彼は、同じ制服に気がついたみたいだ。
「1年生……」
緊張のあまり、言葉が続かない。
「瑞輝!何やってるのー?早く行かないと発車しちゃうよ」
後から、同じ制服を着た女の子が走ってきた。
瑞輝君って言うんだー。始めて、名前を知った。
女の子は、瑞輝君の腕に自分の腕を絡ませた。
制服のスカートには、緑色の線が混じっていた。
彼女も、特進クラスの子か……。
「早く行こう」
彼女にせかされながら、瑞輝君は一緒に歩いて行こうとした。
「あ、あの!お礼しないので、名前だけ教えて!」
自分でも、びっくりするくらいの声で叫んだ。
「俺、工藤瑞輝。でも、お礼なんていいよ~」
瑞輝君は、笑いながら答えた。
瑞輝君の隣にいる彼女は、こっちを睨んでいた。
「それは、彼女だね」
翌日、深羽に昨日のことを話すと、思った通りの答えが返ってきた。
「やっぱり、そうだよね……」
「残念だったね。次があるよ」
深羽に励ましの言葉をもらったけど、
「別に、気になっていただけだし……」
と、強がってみせたけど、知らないうちに目に涙が溢れてきた。
泣くほど、好きになっていたなんて自分でもびっくりだ。
「よしよし。でも、名前が聞けて良かったじゃない」
小さな子供をあやすように、深羽はあたしの頭を撫でた。
「あたし。トイレで顔、洗ってくるね」
ガタッと席を立つと、教室から出て行った。
「哀華、久しぶり」
トイレに行く途中、懐かしい声に呼び止められた。
「渉……」
そこには、別れてから、2ヶ月ぶりの渉の姿があった。
「バスでも逢わないから、心配していたんだ。元気だったか?」
あたしは、小さく頷いた。
心配してた?付き合っていても、いつも忙しいとか言って、1年付き合っていた中で、デートしたのは2、3回。帰りは一緒に帰ることもあったけどー。そんな渉が、心配していたなんて信じられない。
「渉も元気そうだね」
意外と自然に話せる自分がいた。
「よかった。また、こんなふうに話せて」
渉が、少し微笑む。
「そうだね。あたしも、こんなふうに話せるなんて思いも寄らなかった」
「じゃあ、これからも友達でいてくれるかな?」
「勿論よ。あっ、じゃあ、あたし急いでいるから、またね!」
あたしは、その場を離れた。
渉は隣の隣のクラスだったから、今までなんとか逢わないですんだのに……。でも、自分でも驚くほど自然に話せて、何だかホッとした。
「痛っ!」
今、誰かに足を踏まれた。
朝のラッシュの時間。今日は、電車に乗る人でやけに混んでいる。
池の中のコイが餌を貰うのに、押し寄せてみんな口をパクパクしている状態だ。
「足を踏まれるなんて、最悪……」
あたしは、小さく呟いた。
バスだったら、こんなふうに混むこともないので、楽だったかも知れない。
「あれ?君は……」
人と人との間に、挟まれながらもがいていると、瑞輝君があたしに気がついて、人と人の間をすり抜けるように歩いてきた。
「き、昨日はありがとうございま
した!」
瑞輝君にもう一度、お礼を言う。
「あははー、いいよ礼なんて。それより、こっちこっち」
瑞輝君は、あたしに手招きすると、人が少ない出入り口の方へと進んで行った。
やっと人をかき分けて行くと、瑞輝君の彼女が外を眺めながら立っていた。
「あら?あなた。また、会ったわね」
彼女は、外から目を離すと、あたしの方に目を向けた。
「この子が、窮屈そうにしてたから、連れてきたんだ」
「そうなんだー」
彼女は、さっと瑞輝君の横に立つ。
もしかして、あたしのこと警戒してる?
「そう言えば、まだ名前聞いていなかったね」
瑞輝君は、そっとパイプに寄りかかる。
「い、1年A組の宮野哀華です!」
「へー、1年生なんだ?俺より2つ下かー」
瑞輝君が、愛嬌よく笑って見せた。
2つ上ってことは、高3か……。じゃあ、彼女も一緒かな?
「この子は、彼女の三浦比奈。2年生なんだ」
あたしが、彼女を気にしているのに気づいたのか、瑞輝君が変わりに自己紹介をしてくれた。
それなのに、比奈ちゃんは知らん振りしている。
「ごめん。比奈、人見知りなんだ」
瑞輝君は、慌てて比奈ちゃんをかばった。
「ううん……」
あたしは、小さく首を振ったけど、何だか嫌われている感じだ。
「瑞輝!次、あたし達が降りる駅だよ」
瑞輝君の袖をクイクイと、引っ張った。
降りる間際、比奈ちゃんがあたしの近づくと、
「瑞輝に、近づかないで」
あたしの耳元で、ボソッと呟いた。
「……!!」
近づかないでってー。まるで、あたしから近づいたような言い方だ。
「比奈、行くぞ!またな、哀華ちゃん」
瑞輝君に呼ばれて、比奈ちゃんは猫をかぶったような声で、
「待ってぇー、瑞輝」
さっさと、電車から降りてしまった。
瑞輝君に、名前を覚えてもらっていたのは嬉しかったけど、比奈ちゃんの態度の変わりようには、びっくりだー。




