魔の海域攻略編後編 異波襲来①
エレンは見た事の無い現象に対して冷静に予測を立てた。
エレン(...下段の波が高潮か津波か、いずれにしても上段の海流の様な海水の動きの方がエネルギーがおそらく大きい。
なのに下段の波を崩さずに海流の流れを保っている。
!!!あの海流の流れは!!
船の上空を通過する!!!)
エレンは船内全体に連絡用金属管を通じて警戒を通知した。
エレン「船内全船員に通達!異常な波と魔獣が多数含まれる海流が船の上空を通過する恐れあり!大至急船内に入り衝撃に備えろ!」
エレンは自分は船内に戻るゆとりが無いと判断し、マストの監視エリアの柱に命綱を出来る限り硬く結びつけた。
エレン「...これでしばらく外せないな。」
そして同時に懐中時計や六分儀などの測量道具を自分が抱えるリュックにしっかりと固定した。
エレン「...これで生き残った後も生き残れる。」
異常な波と海流はいよいよミラド船に接近してきた。
エレンは素潜り時に使用する空気補給袋を手にしてその時待った。
エレン「...土砂降りじゃ済まないよね...海が落ちてくるんだもの...でも永遠に続くものでもないな。」
エレンは波が到達する直前に再度連絡用金属管で警告を促す。
するとシーラから折り返し連絡が来る。
シーラ「エレン!!あなた大丈夫なの!?」
エレンは笑いながら、
エレン「大丈夫、他人の心配するぐらい準備出来てるよ。
シーラお姉ちゃんも気をつけて。」
波が到達し、エレンは津波対策用の防波シャッターを閉める。
エレンが防波シャッターを閉めた次の瞬間、エレンと監視エリアが激しく揺れた。
海が降って来たのだ。
エレンは防波シャッターの設計前提に無い事態によって破壊される事を前提に次に起きる出来事を予測し、すべき行動を予想した。
エレン(これが魔の海域の現象!?なら第二波、第三波もあり得るのかな?)
状況は小康状態であると感じとり、外の状況が確認出来るか丁寧に防波シャッターを開けた。
浸水無し、いきなり海の中でもない。
エレンは監視エリアの外を眺めて観ると、あたりは小型の魔獣で溢れかえっていた。
エレン「...シーラお姉ちゃんが予想した小型魔獣の大群との遭遇、に当てはまるかな。」
エレンは魔獣に対して違和感を感じる、違和感というよりも目の前の状況と魔獣を観察した上での浮んできた疑問である。
エレン(...妙に小型だな。)
魔獣は自然界の動物が毒を取り込んで奇形化したもの、が第一段階と呼べるものであり、ありふれた動物の原型をある程度と留めている傾向がある。
船のマストに付着する魔獣は観られず、エレンは観察に専念する事が出来た。
エレン(...例えば、竜巻に巻き上げられた魚が空から降ってくる様な現象に近いのかな?
...魔の海域で空から魔獣が降って来る、異常ではあるけれど理解を超える範疇じゃないな。
...次に疑問なのは何故魔獣しかいないのだろう?魔の海域とはいえ、食用にして差し支え無い魚だって泳いでいる。
...魔獣の種類も、魚?、蟹?、??、多種である、
けれども気になるのはそのサイズが限り無く均一な傾向がある様な気がする。
うーむ、魔獣の傾向や対策はシーラお姉ちゃんに丸投げだったからな、1人で考えても切りが無いか。)
エレンは思考を切り替えて、今自分がすべき事に注力する事にした。
エレン(この状況に危険を感じ無いのは危ないかも知れない。
故郷で発生したゴブリンスタンピードだって兆候を見逃したら死の危険が迫って来るしね。
まずはシーラお姉ちゃんやミラド船長達の安否確認を、、、)
その瞬間、太陽の光を遮る巨大な影がエレン覆い被さった。
検証官でないエレンですらその巨大な魔獣が戦艦がなくては討伐出来ないスケールの魔獣だと直感した。
戦艦追撃支援級の魔獣が多数空から落下し、その衝撃で生じた高潮に艦隊の船を飲み込んだ。




