魔の海域攻略編後編 貴室密訪⑤
アナ「...私のご先祖さまが3種の神器の一つを作ったってか...。
...何か聞きたい事があるんじゃないか?」
カーター提督「...魔導書の写本の様な存在に心辺りはあるか?」
アナ「いや、無いな。
私のお爺ちゃんやその前のひいじいちゃんが図書館の館長をしてたって話しは聞いた事はある。
でも、その図書館は無くなったらしいし、私の実家の本は全て燃えて無くなったし、言い伝えみたいなのも知らねーな。」
カーター提督「...そうか。」
アナ「...仮に私が魔導書の写本を持ってたら何か良い事でもあるのか?」
カーター提督「...バァルジモアでの王古主義の流れが変わる...かもしれん。」
アナ「...私は魔王が女だとか魔女だとかの方が気になるな。
なんでそんな余沢話が生まれるんだ?」
カーター提督「...シュトラバルツは魔女を輩出した家系だとバァルジモアでは囁かれているからだ。
そしてお前が指摘した魔女のイメージはあながち間違いでは無いかもしれん。」
アナ「?どういう事だよ?」
カーター提督「シュトラバルツは初代皇帝の教育者だからだ。」
アナ「...ジェルミや提督の様な関係だった、って事か?」
カーター提督「...あまり納得できる例えではないが、おそらくそうだろう。」
アナ「...初代皇帝の教師だったシュトラバルツが魔女で、その魔女が魔導書を渡した魔王本人、ってのが提督の論拠か?」
カーター提督「...正直、自己満足が過ぎる推論だがな。」
アナ「...ああ、正直あんたらしく無いな。
現実主義で実力主義、それが提督って言う仮面だったのかな。
この場合、シュトラバルツに幻想を抱いているのかな。
...例え私が魔導書の原本を持っていたとしても、バァルジモアはもう偽物を中心にしても周り続けられるって証明されてるんだぜ。
それ以上何を求めてるんだ?」
カーター提督「...恋...の様なものかもしれん。」
アナ「!?」
アナ「...恋、と来たか。それも一方的な片想いの様だな。
で、思い人に何を求めてるんだ?」
カーター提督「...私の信念の戻ってくる場所、だろうか。」
アナ「...何度も砕かれて来たのか?」
カーター提督「ああ、何度もな。」
カーター提督「私が何故この様な道を歩んできたか正直思い出せない。始まりの頃からあまりにも変わり過ぎだからだろうな。
私に技術や哲学を教えた先人や苦痛な感情を共有してきた仲間たちは全員軍人共同墓地にいる。私だけが運良く生きている。
死んだ理由も名誉と呼ぶには情け無いものばかりだ。
派閥争いに巻き込まれて味方同士で殺しあったり、貴族のつまらない遊具の運搬中に魔獣に喰い殺されたりな。
そして生き残った私は部下達を死地に送る命令をしている。」
アナ「...そんなあんたの支えになったのが王古主義って事か。」
カーター提督「...そうだ。宗教にのめり込むには現実を知り過ぎ、派閥に組み込まれるには純粋過ぎた。
そんな実利に乏しい王古主義を信奉している私だからこそ艦隊の司令官に任命されたのだろう。」
アナ「!?王古主義者が任命される意味があるのか?」
カーター提督「...王古主義者だから、ではなく、どの派閥からにも相手にされない中立的立場を評価されたのだろうな。」




