魔の海域攻略編後編 一波万波⑤
スカーレットはミルドラン王都とカルス・クロスを結ぶ目的で建設が続けられている街道の最前線近くの街に訪れていた。
スカーレット博士「いや〜便利だったな〜実際!街道の道中では何一つトラブルが無かったよ。
このまま、カルス・クロスまで出来上がってたらどんなに楽だった事か。
ここから先は装備の重量を増やさざるを得ないな。」
スカーレットは酒場に入り、街道先の整備されていない領域の準備と情報収集を始めた。
スカーレット博士「酒場のオヤジ!柑橘系の果実酒ってある?」
酒場店主「おお!この辺りはこれだな。姐ちゃん、見たところ女冒険者ってとこか。
この辺りまで来るってことアルゴラのカルス・クロス目指してんのかな?」
スカーレットは果実酒を飲みながら、
スカーレット博士「ん、ビンゴ!ここまで来るまで何のトラブルも無かったし、金さえ払えば必要なものは全て手に入ったよ。
街道建設は盗人を大工に変えて、大工の稼ぎが酒場や街の繁栄の循環を生み出しているな。
正直、ミルドランの王都よりも上手くいってるよ。
ファルスナルド一族には頭が上がらないねえ。」
酒場店主「全くだな。でもここ最近、不穏な噂があってな。
王都から使者が送られて、なんでも、ファルスナルド将軍に王都帰還の命令を出すんじゃないか、てな。」
スカーレット博士「マジかー!?そんな必要性ってあるか?」
酒場店主「バァルジモアの艦隊がカスケード大陸あたりのアルグ海域を嗅ぎ回って話しだからな。
権限停止中の辺境伯の対応もあるだろうし、ミルドランの王都のお偉いさん方なりにイライラしてんだろうな。」
スカーレット博士「…アルグ海域を横断してカスケード大陸とアルゴラ大陸の航路を模索してるのかな。
海アレルギーの王都の連中には面白くないだろうな。」
酒場店主「大昔にドラゴンのような魔獣にちょっかいを出してミルドランの海軍が壊滅させられた、ってヤツだな。
だからこそ、陸路で街道の建設に注力してたし、クルーシル商会みたいなギルドに海路の運航を丸投げしてたんだよな。」
スカーレット博士「ま、アルゴラ大陸での利権争いは先に到達した勢力を中心に利害が絡みあっていくだろうな。
!!?ん!?」
スカーレットは何かの異変に気づいた。
酒場店主「海なら向こう側だぜ。ここはアルゴラ大陸に近いからアンタみたいな反応するヤツは珍しくないんだ。」
スカーレット博士「…ご馳走さん」
スカーレットは酒代を支払って酒場をあとにした。
スカーレット博士「何だ!?この感覚!?ん!?魔導書が…
共振してる!?」
スカーレットは肌身離さず持っている魔王の魔導書の変化に気づいた。
スカーレットは穏やかに見える海を眺めていた。
スカーレット博士「…魔導書はやはり、海の方角から共振している…魔導書を共振させ得る存在、虹色艶、魔王候補者、そしてドラゴン!
…可能性の優先順位をつけるとすると、まあ、魔王候補者の順位が高いだろう。
…検討する可能性として、アルグスが目覚める条件が整っているのか?」
スカーレットはさっき、酒場店主がバァルジモア艦隊の話題を挙げたのを思い出した。
スカーレット博士「…因果関係を結びつけるには情報が少な過ぎるな…」
スカーレットは情報を整理しながら、ふと娘たちの名前を口ずさんだ。
スカーレット博士「…シーラ、…アナ、…エレン…」




