第1話 神聖龍ネルヴァス
龍とは、古来から伝わる伝説上の生き物。実際にいるかどうかはわからない、いや多分いない。俺は、昔からずっとそう思っていた。
でも今目の前にいるのは、明らかに龍だった。
俺は生まれた時から能力に恵まれなかった。
10歳の頃、同じ世代の子供達がみんな"固有魔術"や"継承魔術"に目覚めるなか、俺だけは目覚めなかった。
しかも魔力が微量しかないと教会で言われた時は、絶望した。
しかし俺は諦めなかった。何かできることはないかと思い、剣技を極めることにした。
特訓に特訓を重ね、中級騎士や上級騎士からも一本を取れるようになっていた。
その頃には18歳になっていた。
この歳にもなると普通は働きに出るが、生まれ持った魔力が少なすぎて身体の魔力強化が出来ず、戦にもいけないし、騎士団にも所属できなくてほぼ無職の状態だった。
そんな状態の俺に、地方貴族だった父は破門を言い渡し、俺を家から追い出した。
行く宛もなく森を彷徨っていると、目の前にこの世で一番神聖な生き物である、龍らしきものがいた。
「なぜ、こんな森の中にいる?」
黄金に輝き、何十メートルもある巨体を浮かせながら言った。
「迷っちゃって。」
「迷った?この森はそう簡単に入れないんだぞ」
「でも簡単に来れちゃいましたよ」
「まさかルークの結界がこのような者に破られるとは」
龍は驚きを隠せてなく、頭を左右にぐねんぐねんと揺らしていた。
「まぁよい、古の盟約に基づいてお主にわしの力を与えよう」
龍は興奮しながら、大きな金色の波動砲みたいなものを出した。
「ちょっと待って、どういうこと」
「あと、お主に頼みがある。」
龍は全く俺の話を聞かなかった。そのせいで全くもって状況がつかめないまま、龍は話を続けた。
「魔王と魔龍を討伐して欲しい」
「わかったから、一旦話を聞いてください」
「すまない、つい盛り上がってしまってな」
そういった龍は、落ち着きを取り戻していった。
「で、聞きたいことはなんじゃ」
「あ、はい。お名前をお伺いしても?」
龍はその言葉を聞くとクネクネとした動きをやめ、堂々として
「我が名は神聖龍ネルヴァス」
と答えた。
「で、お主、名をなんと申す」
「アルドリックです」
「アルドリックよ、他に何か聞きたいことはあるか?」
先ほどとは雰囲気がうって変わって、人の話を聞くようになった。
「あの、力と約束ってなんのことですか?」
「お主には我が力を与える。これが亡き勇者ルークとの盟約だ」
「だからお前に力を与える。こっちにこい」
そういって龍が手招きをすると、体が勝手に金色の波動砲みたいなものに近づいていき、体の中に入っていった。
「頼んだぞ、世界はお主の手にかかってる」
その言葉を聞いたあと、意識が遠のいていった。




