濡れたタオル
濡れたタオルで体を拭いてもらって、やっとベッドから出られた。
いやー、長かったなあ。
アンに看病されるのに憧れていた去年の自分に「そんなに甘いもんじゃないぞ」と言ってやりたい。
熱は10日ほどで落ち着いたんだけど、そのあといろいろやらかしてしまい、夏休み前のテストの1週間前まで寝たり起きたりの日を過ごしてしまったのだ。
いやだってさ、動けるようになったら嬉しくてさ。
アンと手をつないで登校したり、みんなが見てる前でサンドイッチあーんとかしてもらいたかったし、帰りのお迎えとか行きたかったしさ。
つい、ウキウキ学院に行って、クラスメイトにポカスカやられて、勉強たーのしー、とか思ってたら、授業中に倒れた。
バカあ、と涙目になりながら枕元で涙ぐんでいるアンはものすごくかわいくて辛い。
なんのご褒美だと呟いたら、ゲイブに拳骨落とされた。
ううう、痛い。
自業自得だと笑うクラスメイトが憎い。
そんなことが繰り返されたのでさすがに不安になり、校医に相談したら、王宮からめったに出ない宮廷魔術師長がわざわざやってきた。
聞けば、アンがしょんぼりしていて王宮の雰囲気が悪いので早急に原因を調べろと陛下に命令されたとのこと。
なんかいろいろごめんなさい。
おとなしくいろいろと検査を受け、結果が出た時は王宮がどよめいたらしい。
原因は僕の魔力が急成長したから。
魔法剣士科に入った時点ではこの国の同じ年の男平均より10%ほど多い程度だったのが、一気に130倍まで上がっているとかで、今後もしばらく増えるのではないかという。
「今の殿下でしたら、魔法剣士科ではなく姫様と同じ魔術科に入られて、そのまま魔術師になっていただくと私共が大喜びします」
などと変な誉め言葉までもらってしまった。
学院でアンと同じクラスになったら、イチャイチャし放題なんじゃね?
というよこしまな気持ちも一瞬芽生えたけど、真面目に魔術師を目指している魔術科クラスの面々に申し訳ないと思い直した。
だいたい、アンとずっと一緒の教室なんて、アンだけ見てしまうじゃないか。勉強なんか出来っこない。
「僕はアンと結婚して領地を治めたいと思いますので」
優等生な返答をしてお茶を濁すと、残念そうな顔をする魔術師の隣にいた校医がにやありと人の悪い笑みを浮かべた。
ど、どうせ僕はわかりやすい男だよ!
検査結果をアンに伝える。
「じゃあ魔術科には来ないのね?」
「うん。やっぱり僕はアンの騎士になりたいからねえ」
にっこりすると、アンは嬉しそうに肩にもたれかかった。
うう、アンのいい匂いでくらくらする。
か、髪にキスするくらいなら、いいかな? い、いいかなあああ?
「よかった」
「え?」
「だって、オズが一緒の教室にいたらオズしか見えなくなって授業どころじゃないもの」
!!!!!!!!!!
アンを抱きしめて唇を押し付けてしまったけど、絶対僕は悪くないと思う。
読んでいただいてありがとうございます。
オズの魔法使い、とか思いながら書いていたのは内緒です




