序ー25章
両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。
そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。
この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。
402の男子部屋では、
「俺、やっとエリカちゃんと話せたよ〜!!可愛かった〜!!」と一方的に話していただけなのだが阿部が嬉しそうに自慢している。
「俺だって話したよ! やっぱり可愛いよな!! 外人と日本人のいいとこ取りみたいで。あんな子と付き合えたら幸せだろうな〜!!」と須藤が負けじと答えた。
「でも、須藤!お前には彼女がいるだろ!?欲張るなよ!!」とまた浅井が真面目に諌めている。
彼らの会話を聞いても、清水はあまり異性には興味がないのだろうか? 反応がなかった。
「清水はどんな子がタイプなんだい??」とそれを見ていた阿部が聞いてきた。
「俺?? うーん、そうだな…あんまり大きな声では言えないんだけど、ここだけの話 最近俺ってロリコンじゃないかって思ってるんだ・・・」
「それってやばいな!! お前、捕まるようなことだけはするなよ!!」と浅井が、
「大丈夫だよ。今の所 女の子よりゲームの方が面白いからな!!」となぜか自信満々にドヤ顔になっている。
「はあー 精神年齢が低いってことだな、お前小坊か?!!」と須藤に言われてみんなが笑っている。
「ところで、石塚は??」
「僕?? 僕は多分ガイ専なんだと思うよ。」
「ガイ専??」
「外人専門ってことさ」
「じゃ、エリカちゃんってことか??」
「彼女は可愛いとは思うけど、僕はもっと大人ぽいというか、ハーフとかじゃなくてピュアが好みなんだよなー」
「なるほどなー やっぱり人それぞれ色々好みがあるんだなー」
とよくある旅先の男子同士の会話に花が咲いていたのだが・・・
「おっ、そろそろ行かないと、工藤斉藤に怒られるぞ!!」
「だな、あいつら怖いからな!! 全く可愛くないよな!!」
「じゃ、行こうぜ!!」
「やっと揃いましたね!! さっ 今回のメインテーマのミーティング始めますよ〜!! みんな座ってすわって!」となぜか工藤斉藤が張り切っている。
畳の座椅子に工藤斉藤と野崎と石塚が座り、旅館によくある配置の縁側椅子席には残り4人の男子が怠そうに座った。
「はい!じゃ、みなさん。今回は部長からのお達しで私たちの漫画のプロモーション計画をみなさんで話し合いまーす!! ところで、私たちの漫画は読んでくれた??」
「おー!! 面白かったぜ!!」
「そうだな。工藤斉藤が描いたって思えねえぐらい良かったぜ!」
「俺は、あれ、売れると思うぜ!!」
など好印象な感想が出てきたのを2人は密かに喜んでいるようだ。
「例えば、冬のコミックマーケットで売れるようにするには、私らポッと出だからプロモーションを掛けないと全く素通りされちゃうわよね。でも、まだ時間があるからどう宣伝する??」というテーマで会議が始まったのだった。
「そりゃ、もちろんSNSでしょ!? 一応ダチには話つけておいたぜ!」と須藤がドヤ顔である。
「そりゃそうだろうけど、どのSNSで具体的にどうやってやるのかっていう部としての具体策が欲しいんだよね〜」
なかなか具体案が出てこなかったのだが、
「そういえば・・・部長って結構人気なレイヤーなんだよな?」
「そうみたいよ!」
「フォロアーとか多いのかな??」
「そういえば濵田先輩が結構いるようなこと言ってわね。」
「じゃ、部長にコスプレしてもらって事前にPRしてもらうってのは??」と清水が提案した。
「なるほど! 私らの漫画のヒロインの1人に部長の雰囲気に合うキャラが1人いるわね!」と工藤が腕を組んで言った。
すると、斉藤が、「コスプレ衣装だったら私らでなんとか作れるとは思うけど・・・ 誰が部長を説得する??」
「だよなー」
「じゃ、俺やってみようかな??」と須藤がニヤけながら言った。
「まじ??」
「俺、部長のファンだかからな! 大義名分があるから正々堂々とお話できるじゃん。ダメ元でやってみてもいいぜ!」
すると、斉藤が、
「もちろん、部長に加わってもらうと百人力なんだけど、私ら2人ですでにエリカさんにもメインキャラのコスプレをお願いしているのよ。」
「えっ、野崎さんに!! いいねー!! それって何のキャラクター??」
「もちろん、剣姫 ヒロインよ!! だから、カワイイ系の部長にはライバルの姫がいいんじゃないかな?って思っているの。」
初めてそれを聞いたヒデは驚き、
「へえ、野崎さん、それって本当にやれるの??」
「ええ、仕方ないというか・・・まあ、漫研のためだからやってみるわ。」
「うんうん、あの姫だよね〜 似合う似合う!!」と須藤も賛成のようだ。
「でしょー 須藤くんもわかる!??」
「うん、なんか成功するような気がしてきだぜ!! 俺がこのPRプロジェクトのマネージャーになるよ!!」
と意外にも盛り上がり須藤がこの件を仕切ることになったのであった。
「ここまで、色々具体的に決まってくれば濵田先輩に怒られなくて済むわね!」と工藤斉藤も満足そうな顔をしている。
「じゃー、そろそろもういい時間だから、夕食の前に温泉に入りに行こうぜ!!」と解散したのだった。
401号室では女子3人がゆっくりと入浴の支度をしている。
女子が退散した402では、対照的に男子たちは早速浴衣姿に変身し男風呂に急行していた。




