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ドロイドサイリウム ー 漆黒の猫 序の章  作者: 三海怜


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序の章 序ー1話

両親を亡くし親族の家で育てられたヒデは、内向的な性格となってしまい友達も作れずに中学を終えた。そして突如遺産が入ることになった彼は高校合格を機に思い切って自立することになったのだ。それから彼の人生は上向きになり…不思議な漆黒の猫との出会いが彼の人生を変えて行く。


そして高校の同じクラスで知り合った漆黒の猫の美人主人と予期せぬ大冒険が始まった。その異世界での試練を経てヒデは知らず知らずに現実世界でも成長していくインキャの冒険譚である。


この物語は『序・破・急』の3章からなり、その続きは『ドロイドサイリウムー本編』へと繋がっていく。

「僕の名前は石塚秀明イシズカヒデアキ。幼児の頃に両親を交通事故で亡くした。

そして、祖父母の家に引き取られて幼少時代を過ごしたのだが・・・祖父が亡くなり、

中学に上がる頃、祖母も他界しやむなく母の姉が引き取ってくれたのだった。

その家族は叔母が寮長のような存在で母の弟家族も一つ屋根の下に暮らしていたのだ。

そして叔父夫婦には娘が2人いて従姉妹ながらまるで僕より年下の妹のような存在となった。

そして、お転婆な女の子達が裸で走り回っている姿を見る毎日・・・

だからなのだろうか? 日本の女子に対してはあまり興味がない病になってしまったようなのだ・・・」


「今日も嫌な1日の始まりだ。

今の家は古い工場町の中にあって暗い町なのだ。そして、うちも古い家だが、周りも鄙びた暗い雰囲気の家ばかり。気分も暗くなる… あー 婆ちゃんの田舎の家の方が自然に囲まれて楽しかったな・・・ 」と思う毎日。


「市立中学までは歩いて20分。これもまた暗い学校なのだ。というより陰険という表現がピッタリとくる。そのためクラスメイトとは挨拶を交わして必要最小限の会話はするものの親友という類のものも出来ずにただただ時間が過ぎて3年生になってしまった。


休み時間もこの町の人達には溶け込めず机に座って1人ボーッと外を眺めながら時間が経つのを待っている。いわゆるインキャな性格なので放課後の部活にも参加せず、でも勉強は強制的にやらされたため運良く成績は上から数えた方が早いぐらいになった。そんな僕の趣味はお金がかからずに現実逃避ができるアニメとゲームだった。僕はやっぱりオタクなのではないか?と思っている。」


「今年は中学最後の年! 公立高校に入学できればめでたく独り立ちできるのだ!こんな暗い街は一刻も早くおさらばだ!!

人には自分に合った街があるというのが僕の持論なのだ。それを可能にしているのは親が残してくれたちょっとした遺産。成人してその遺産を相続するまでは小遣いのように毎月もらえるのだ。だから高校生になったら念願の一人暮らしが始まる!そして自由気ままに生きるんだ!!」


とヒデアキことヒデはいつになく受験勉強に身が入っていた。

ただ、小遣いがもらえると言っても、そんなに莫大な遺産があるわけではない。

だから、私立ではなく県立の進学校に入らなければならないのだ。

そうすれば賃貸マンションのワンルームに住めるお金が確保できるわけだ。


ここの家では叔母には強制的に進学塾に通わされている。

多分、口には出さないが僕を早く自立させて厄介払いしたいというのが本音なんだと思う。

家族愛というものはこの方感じたことはなかった。

「勉強勉強の毎日でほんとイヤになる!! 暗くて辛い毎日・・・」

塾から帰って夕飯を食べて、風呂に入って、

宿題と受験問題集をやっつけたら寝る前に暫しの夢の時間が広がる。


ヒデは、アニメ好きではあるが、いわゆる男の子たちが大好きなロボットものではなく、女の子ヒロインものが大好きなのだ。アニメ雑誌に載っているフィギュアがまるで彼の彼女のような存在となっていた。

もしかしたら3次元より2次元の女の子の方が好きなのかも!?とも思えてきているのだ。

そして1日の疲れを癒すが如くボーッとしながらヒロイン達との夢の時間を過ごすのだ。


そうこうして暗い辛い日々を過ごしていたら早くも年末になっていた。

受験の模擬試験では、第一志望の学区トップの高校への合格率は70%であった。

そして第二志望の学区2番手の高校は90%であった。

今日は放課後に担任の先生とも面談し『私立には行けない理由があるから冒険を犯すことはできない』ということで、やむなく安牌である第二志望の高校に進路を決めたのだった。

『エリアトップの高校に入れれば人生が変わると思っていたんだけど、結局、僕は最後までダメなんだな・・・』と失意の底に沈みながら下校していた。


いつものようにいつもの通学路を帰っていると、

途中の廃屋の前に猫がいた。

『なんだ、この猫。僕をじっと見てるぞ!全く逃げようとしない。

一回り大きめの真っ黒な猫って・・・綺麗だけどなんかコワ!! 関わらない方がいいかな・・・』


と姿はとても優美な漆黒の猫であったが、ちょっと不気味さを感じたヒデはそのまま通り過ぎようとした。

だが、不思議と何故か気になり振り返って漆黒の猫の目を見た瞬間に足が釘付けになってしまったのだ。

すると、じっとヒデを見つめていた漆黒の猫は静かにそっと彼の足元に身を寄せてきたのだった。


その時正体不明の電気ショックが走った。

『おっ!なんだこれ?? 静電気か??』

その瞬間動かなくなっていた足が動いた。

そして、ヒデは無意識にその場にかがみ込み漆黒の猫を撫でていた。

猫は全てを理解したかのような表情を浮かべて、またゆっくりと去って行ったのだった。


そして、新年が明けて2月になり入学試験の期間となった。

その日は寒く珍しく小雪がぱらついていた。

『ついに僕の将来を決める日がきてしまったのだ。少なくとも第二志望の高校には受からないとな!!』

ヒデは、その高校に受かった場合の住処も密かに決めているのだ。

都内に向かうJRの駅にその高校があるため、物件数が多い駅近の賃貸マンションに目星をつけているのだ。

『ヨシ!夢の一人暮らしの実現のために頑張るぞ!!』と人生を賭けた気合が入る。


そして、遂に試験が終わった。

『まあ、できたんじゃないかな!?どうだろう・・・』


今日は合格発表の日だ!

発表会場となっているその高校に足を運んでみると・・・

『あった!!あれって 僕の受験番号だよな!!?』

不安になり再度自分の受験番号と照らし合わせてみると、やっぱり合っていた。

「よかったー!!これでやっと自由の身になれるぞ〜!!」

そう思うと、今までどこかしら影があった彼の表情が明るくなったのだった。


そして、春に入学する将来の夢が詰まった高校の校舎を眺めていると、そこになんと以前見たことがあるあの漆黒の猫がいたのだった。

『あれ? うちの近くで見た黒猫だよな〜 ここまでくるのか? それとも他の猫か??』


「あっ、君も合格だった? 表情が嬉しそうだから。ごめん、いきなり、俺は須藤。」

と、話かけてきた奴がいた。人慣れしてそうで人生を積極的に生きているイケイケな雰囲気があって眩しかった。

「えっ、あ、ああ。 僕は石塚。宜しく!」

「ああ、こちらこそ、宜しくね! じゃ、入学式で会おう!」と言って、他の学生と一緒に賑やかに

行ってしまったのだった。


漆黒の猫がいた方向を見たがすでにその姿はなかった。



新たなお話の始まりです!! また宜しくお願いします!!


火・木・土曜日に投稿していきます。

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