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異世界バイオハザード――2144年の米軍特殊部隊員は、骸と死臭の廃都市・東京で特殊核の根源となる異世界の扉を開ける  作者: 新詳カサト


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第3話 険しい山道

カイル大陸の北端、空を切り裂く刃のように聳え立つゼウス超山脈。その麓に辿り着いたウィリアムを待っていたのは、物理法則が捻じ曲げられたような過酷な傾斜と、山肌を這い回る「生きた悪夢」だった。


「……ハッ、登山計画に『垂直跳び』が含まれてるなんて聞いてないぞ」


ウィリアムは、岩壁に突き立てたタクティカルナイフを支点に、強引に身体を上の岩棚へと引き上げた。

高度が上がるにつれ、大気中の特殊放射線濃度はさらに上昇し、HUDの警告音は鳴り止むことを忘れたかのように鳴り響いている。だが、今の彼にとっての脅威は放射線ではなかった。


「ギチ、ギチギチッ……!」


頭上の岩塊が不自然に動いた。

ウィリアムが視線を上げると、そこには岩の色に完璧に擬態した「何か」が、蜘蛛のような無数の脚を広げて張り付いていた。


「……擬態型か。趣味が悪いな」


それは寄生生物に脳まで食い荒らされた、この山脈の捕食者『山岳大蜘蛛マウンテン・レイス』だった。本来なら魔力を感知して狩りを行う獣だが、今のそれは背中の節々から赤黒い触手を伸ばし、寄生生物の命令に従う「生体防衛装置」へと成り下がっている。


「キシャアアアアッ!」


レイスが断崖を滑り落ちるような速度で襲いかかる。

ウィリアムは即座にJTX(草薙)を抜き放ち、空中で三連射を叩き込んだ。


――ドォン! ドォン! ドォン!


青白い光弾がレイスの硬質な外殻を叩き割る。だが、寄生された怪物は痛みを感じない。粉砕された脚の断面から、無数の細い糸状の寄生体が噴き出し、即座に岩に癒着して体勢を立て直した。


「再生力が異常だ。……なら、根っこごと焼き切るまでだ」


ウィリアムは岩棚を蹴り、敢えてレイスの懐へと飛び込んだ。

背後には数千メートルの断崖。一歩間違えれば、2144年のエリート兵士は異世界の塵となる。


レイスの鋭い鎌のような前脚が、ウィリアムのヘルメットを掠める。

火花が散り、バイザーに亀裂が走るが、彼はその隙にJTXの銃口をレイスの巨大な「複眼」の奥――寄生体の核が脈動する中心部へと押し付けた。


「草薙、フル出力だ。……死ね(Delete)。」


トリガーを引き絞る。

JTXのグリップがウィリアムの神経系から膨大なアドレナリンを吸い上げ、オーズのエネルギーを極限まで圧縮した。


――カァァァァァンッ!!


至近距離での零距離射撃。

青白い閃光がレイスの巨体を内側から膨張させ、次の瞬間、怪物は光の粒子となって四散した。吹き荒れる衝撃波がウィリアムを突き飛ばし、彼は辛うじて反対側の岩壁にナイフを突き立てて滑落を免れる。


「……ふぅ。……"One down, a million to go, I guess."(一匹片付けた。残り100万匹ってところか)」


肩で息をしながら顔を上げると、山頂付近に設置された旧調査隊の観測施設が、雲の合間に薄らと見えた。

あそこには『天照』がある。


だが、山道はここからさらに険しさを増していく。

周囲の岩陰から、さらに数十の「複眼」が、暗闇の中で一斉に開いた。寄生生物のネットワークが、この「魔力を持たない侵入者」を排除すべき最優先目標として認識したのだ。


「歓迎会はこれからが本番か。……いいぜ。弾丸の代わりに、この世界のエネルギーを全部食わせてやる」


ウィリアムはJTXのマガジンを叩き込み、不敵に笑う。

ゼウス超山脈の「心臓部」を目指す彼の前には、まだ死の行進が続いていた。


【現在の装備状況】


メイン: JTX k-0.0/AOM 『草薙』(エネルギー残量:82%)


サブ: タクティカルナイフ(刃欠けあり)


【ミッション進行】


ゼウス超山脈 中腹:交戦中


目標:山頂施設内の JWT A-0.8Ex『天照』 回収

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