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怪物退治の結末、前夜。

 蹴速亭の中に招かれた量猟は、梅らと共に晩ご飯の支度をしていた。


「皆さんは、普段はご一緒にお食事を」


「ああ。時間が合えば、出来る限りな」


 それでか。冗談みたいな大テーブル。普通住宅一戸分の面積の食卓。何を想定して建てたんだ、この家。


 海鶴と己黄は、さあ、こいつも嫁になるかならぬか、見ていた。


「出来たよー!」


「はーい!」


 祝寝の号令に応じ、子供達が配膳していく。魔力膜をお盆にして、大皿を何枚も持って行く。良く動き良く食べる人間が何人も居るので、割と大変な作業だ。前は海鶴も己黄も手伝っていたが、今は各々、子を見ていなくてはいけない。その代わり、姉兄達に習わせている。


 そして実戦力として数えられるのが、クロとモモだ。特にクロは何でも出来る。祝寝すら知らない料理や、シロでさえ、うろ覚えなものまで、本当に何でも。ある程度は独自発展しているはずなのに、祝寝の世界の料理が出来るのは、一体。モモは、普通に魔界料理が作れる。使うのは魔獣の肉とかだが。


「御徳も、さぞ腹を減らしているだろう」


「もう少しかかるかな?」


「さて。蹴速達が戻ってくるのと、どっちが早いだろうな」


 蹴速は超騎士、ジンと共に、空で重玉の試験中だった。今回は、ジンに投げつけ、迎撃してもらっている。


「行くぞー」


「おー」


 先程までは、数十万トンの重玉。ジンは軽く拳を振るう事で圧殺していた。


 1億トンは、どうだ。ジンでも、重いはずだが。


 刺激を与えれば、破裂粉砕して、周囲に圧力をバラまく球。蹴速のオリジナル。愛おしい。だが、今、求められているのは、更に磨き上げる事。蹴速の手伝い、おれの全てで!


 ジンからすれば、1億トンは重い事は重いが、どうと言う事は無い。一撃で消滅させた。


「おお。まさか、こうも簡単に」


「まあねー。おれも、結構本気だよ」


 実際。空に向けて拳を打ち出している。全力とまで行かずとも、適度に力を出せている。


 その後。重玉を緩急を付けながら打ち出し、ジン、超騎士の意見を参考に磨いていった。超騎士の結界を完璧に貫こうとすれば、やはり数億トンは必要っぽい。正確な数字は教えてくれなかったが。


「もう、速射は出来るね」


「ああ。お前らのおかげで、何とかなったわ」


「協力した甲斐が有りました」


 今の蹴速は、数百万トンまでなら、連発出来る。1億を超えると、完成に2秒以上かかる。軽い奴なら、2秒有れば、4個は打てる。本当に、触れられないザコ相手の技だが。使う機会は、ほぼ無いと思っていても、順番だ。シロを殺す程の重玉を操り切るためにも、出来る事から、だ。


 日が暮れかけた。まだ、夜には早いが。


「そろそろ晩ご飯か」


「ああ。今日もありがとうな」


「家族として、妻として当然。礼には及びません」


「そう言うな。いつも、助けられちゅう」


 超騎士は首をかしげ。ジンと蹴速は大笑した。


「良し。食べよう」


 蹴速は、超騎士の様子をさり気なく見ていた。特盛の護衛を買って出た。ヴァイキングに赴いたジンと同じく、普段の様子ではない。帰ってからも、変に甘える様子さえ有った。ヤバい何か、では無さそうだが。シロが警告を与えて来ない以上、解決不能ではないはずだ。


 蹴速程度の探りなど、超騎士はお見通しだ。それでも、超騎士自身にも、どうにもならない。何となくイメージは有る。だが、それは可能なのか。そして、役に立つのか。特盛との旅は楽しかったが、役に立つものでは、無かった。本当に、女2人旅だった。大切な思い出になったので、良かったのだけれど。己の強化。簡単には行かないらしい。


 超騎士には自覚が無いが。既に、完成されているのだ。太陽系ならば、自身の補給さえ確立していれば、単独で破壊出来る。その程度には、無茶苦茶な存在なのだ、現時点ですら。ここから更に進もうと思えば、それは困難であろう。しかし、超騎士の認識では、それは当然やるべき事。蹴速は、ずっと先に居るのだから。ずっと一緒に居て、蹴速の役に立ちたい超騎士は、故に困難を克服しなければいけない。思えば、幸せな苦労だ。


 食卓には、既に全員が揃っていた。疲れきった顔をした御徳も。


「やあ。お先に頂いているよ」


「どうも、御徳さん。日頃、皆がお世話になってます。今日は、いっぱい食べていってください」


「ははは。お言葉に甘えるよ。とても美味しいしね」


 御徳は、皆が、と言う言葉に、どう反応して良いか考えた。いえいえこちらこそ・・と言えば良かったか。しかし、年少の者に気を遣わせるのも、あれだ。うーむ。結婚の相手が、自分の目上の者と言うのも、悩ましい。まあ、美味しいご飯を食べさせてもらっている。文句はナシだ。


「この皿を、御徳の側に」


「ほいほい」


「おお。お刺身」


「確か、好きだったな」


「ああ。でも、お刺身嫌いって人も珍しいんじゃないか」


「いや、無双双児は苦手よな」


「うん。ちょっとね」


「少し、苦手ですね」


「生魚食べる習慣が無いと、キツいよなー」


 ジンは蹴速が食べるものは何でも食べて、いつの間にか普通に食べれるように。


 御徳は、食べた事の無いお刺身が有るのに気付いた。うわーすげー、と思いながら食べた。海鶴の知識に有る魚をアカが獲って来てくれたのだ。多分、人間も食べれるんじゃないかな?


 本当は祝寝が調べて、恐らく人間に取って不味い毒は無い、と判断している。


 明日、出立する。今夜は、楽しもう。

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