表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/46

第五の罪源1

「ユナ、話はそのくらいにして村へ戻ろう。エレンが心配しているはずだ」


 俺はモニカの頭を撫でまわす彼女を諫めて、帰り道を指差す。彼女も全くの思慮なくそれをしていたわけではないので、笑って頷いてくれた。


「ええ、じゃあ早く戻ってみんなを安心さ――」


 話の途中、燃え盛る炎から異様な気配を感じ全員がその方向を向く。


「……」


 一見して何の変化もなく、少しづつ形を失っていく橋だったが、少し火の勢いがおかしいように感じる。既に粗方燃やし尽くして、弱まるはずの炎が、さらに勢いを増しているように感じたのだ。


「――ちっ、油断したところを焼き殺そうと思ったのに」


 不思議と、その言葉は燃える炎よりもはっきりと聞こえて、俺の耳朶に一種のなつかしさをもたらした。すぐ脇ではモニカが怯えるように両耳を塞ぎ、うずくまっている。


「まあ、いいや、逃げ出したモニカをぶっ殺そうと思って氷竜に偵察させたら、お前まで連れるとはな、ニール」

「……随分、戦い方が様変わりしたな」


 俺の記憶が正しければ、あいつはただの剣士で、魔法はおろか魔物の使役などできる筈が無かった。


「あー、なんだっけ? 強欲者? それになったんだわ」


 強欲者……自らの悪徳によって、能力を捻じ曲げてしまった存在、通常ならそれが判明した時点で拘束、もしくは処刑に準じる何かがあってしかるべきだったが、どうやら彼は美味いこと逃げおおせたらしい。


「てぇわけで、お前もついでに死ね」


 炎がにわかに沸き立ち、巨大な鳥の姿になると、俺たちへと襲い掛かってくる。


「二人とも俺に寄れっ! ……防壁っ!」


 最後の急造杖を使い、炎の突進を凌ぐ、突進してきた炎はその体積を縮めて赤く輝く鳥になる。その足は三本あり、それらを使って一人の人間を吊り下げていた。


八咫烏セイクリッドクロウ……魔道に落ちたか、カイン!」


――八咫烏

 一部地域では信仰の対象にすらなる火属性の魔物、等級は金であり、氷竜とは比にならない強さを持つ。


 知能が高く、気位の高い魔物だが、それを手名付けられるという事は、カインの適性はかなり高いようだ。


「魔道でも何でもねえよ、俺はこの職業が性に合ってるんだ。この力さえあればなんでも思い通りになる……なあ、モニカ?」


 突然声を掛けられて、モニカは身体を大きく震わせる。


「カ、カイン……」


「ニール、俺は前々から思い通りにならなかったお前が嫌いだったんだ。そこで俺は今、最高にスカッとする復讐方法を思いついたぜ……モニカ、ニールに最大火力で魔法を打て」

「や、やだっ、やりたく――」

「やれよ愚図がっ! テメェのせいで俺がどれだけめんどくせえことになったか、分かってんのか!? ああ!!?」

「っ……!!」


 怒声が響くと、モニカは黙り込んでしまう。意志の弱い人間を支配する。強欲者が持つユニークスキルだ。


「……す、ざざす、なさた……、ざ……――」


 モニカはゆっくりと、しかしはっきりと魔法発動の準備に入る。この詠唱はかなり上位の魔法だ。


「モニカ!? 自分をしっかり持てっ!」

「どうしたのモニカちゃん!? 今は魔法なんて撃っちゃダメよ!」

「……きたれ、いかづち」


 しかし、俺たちの言葉空しく、モニカは魔法発動の詠唱を終えてしまう。


「――雷帝降臨」


 モニカが魔法を発動させた瞬間、辺りの景色は漂白された

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ