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掌の眼  作者: 瑠璃雀
夏休みの始まり
57/114

スリーオンスリー

 その日、3on3大会をやろうという声が上がり、帰省してきた兄達が集結した。2チームに分かれての対戦であり、わざわざ体育館まで借りている。

「‥なんで俺が‥」

 七海と流水と茜、そしてさくらに連れ出された鷹也がぼやく。以前公園での2on2で大いに楽しんだ七海は、今日もワクワクしていた。自分も少しくらいは参加出来たらいいなと思う。

「兄さん達からの命令です。諦めてください。」

「えー8番と6番かよ‥あいつら大学でもバスケやってんの?」

 中学バスケでは鷹也の先輩だった智樹(ともき)智琉(さとる)は、パワーフォワードとシューティングガードだった。そして鷹也もバスケを続けており、ポジションはポイントガードである。

「最近は忙しいらしいので、あまり参加は出来ていないみたいですけどね。」

 盛大なため息をつきながらも、仕方なく付き合わされることになりそうだ。


 体育館には、道明とその兄、恭平(きょうへい)と、遊馬とその兄の司、そして一足先に智樹と智琉が来ていた。

「よ!久々だな!元気か?」

「‥だれ?」

 人の顔を全く覚えられない鷹也の言葉に、声をかけた男は崩れ落ちた。

「同級生なのに‥俺、生徒会長だったのに‥」

 兄の恭平を道明が笑いながら慰める。

「鷹兄、俺の兄貴だよ。中学まで同級生だったのに。」

 ふうん、という気のない返事をして恭平にトドメを刺したのは、きっと故意ではない、はずだ。

「土門てことは恭平か?」

「お前、どういう覚え方してるわけ?」

「一族のデータベースは入ってるけど、顔と一致出来ないんだよ。」

 同じ中学ではなく、一族カテゴリとしての記憶しかないらしいことに、恭平は盛大にため息をついた。


「「俺たちのことは覚えてるだろうな!?」」

「相変わらずのサラウンドだなー6番と8番。春休みに来てたしね。」

「「名前は!?」」

「月影だから智樹と智琉。どっちがどっちかは分からん。」

 そして双子も崩れ落ちた。

「お疲れーっす!相変わらずひどいっすね!」

「なにがだよ!」

 司と遊馬は大笑いしている。


「さて、気を取り直してだ。3on3ガチ勝負だ!こっちは俺と智琉と‥恭平。そっちは鷹也と司と遊馬。通常のシュートは1点、スリーポイントは2点な!」

 双子の兄、智樹がチーム分けをする。カラーゼッケンまで用意して、それぞれに配る。司・鷹也・遊馬が3・4・5、智樹・恭平・智琉が6・7・8を付けた。

「‥まあいいんだけど、ハンデなくていいの?」

 無意識発言に、智樹がギラリと鷹也を睨む。

「俺らも一応現役なんだが!?」

「へえ。じゃあまあいいか。」


「ふふふ‥鷹也さん、無自覚無意識に煽る天才ですね‥うふふふ!」

 さくらが肩を震わせて大笑いしている。

「うちの兄がごめんなさい!」

「ていうか、何あの長身イケメン軍団‥」

 七海が謝っている横で、茜がおめめをキラキラさせている。流水と道明は大笑いだ。


 鷹也が遊馬と司になにやら耳打ちし、何やら企んでいそうな笑みを浮かべている。智樹がボールを持ち、ゲームはスタートした。

 直後、智樹から智琉へのパスをインターセプトした鷹也がノールックで遊馬に流す。ギリギリでボールに追いつき、地を這うような低いドリブルをしたが、智琉に当たられて転がされた。が、執念でパスを出し、鷹也へと繋ぐ。

「遊馬ナイス!左サイド!」

 遊馬は即座に起き上がり、左サイドへ身体を向けた、が、突然右サイドにシフトする。

(あー!逆!!)

七海がつい声を上げそうになる。鷹也は遊馬と逆方向にパスを出した。

(あーもう!)

 いてもたってもいられず、つい声を上げそうになるが、何とかこらえた。


 双子がチャンスとばかりにボールに向かうが、ボールは不自然に跳ね、再び鷹也の方へと戻った。逆をつかれた双子が崩れる。

「スピンかよ!!」

そのボールをタップして今度こそ遊馬に繋ぎ、遊馬はニヤリと笑って司へとパスを送る。

「そうはいかないけどな!」

 恭平がバレー部のジャンプ力を活かし、そのパスをインターセプトする直前、目の前でボールは搔っ攫われ、ジャンプの最高地点にいた司へとパスが渡る。


「ナイスっす~!」

 そのままいとも簡単にレイアップを決められる。

「は!?えええええ!?」

 味方同士へのパスを掻っ攫い、シュートに繋げたのは当然鷹也である。

「司ナイス。遊馬もよくやった!」

 三人はハイタッチを交わし、再び位置につく。

「なんだよそれ!!マジむかつくな!」 

「あーくそ!」

 智樹が悔しそうに言い、智琉も一緒になって毒づいた。


 七海は呆然として今の動きを見ていた。前回の2on2は今回と比較したらまるでお遊びだ。スピードもパワーも、レベルが違う。前回、遊馬ですら本気ではないのだと、そう突き付けられた。

「わー!かっこいい!!」 

「超やばい!」

 茜と流水がキャッキャしている横で、さくらがにこにこしている。


 再び智樹がボールを持ち、今度はドリブルで鷹也へ向かう。

「遊馬、8番にマーク。合図したらエンドに走れ。」

「あいあいさー!」

 ドリブルにぴったり着かれ、智樹は味方の動きを見やる。マークに入ったはずの遊馬は、智琉がいとも簡単に振り切り、フリーだった。ドリブルで切り込もうと一歩踏み出すと、鷹也が虚を付かれたように体勢を崩す。その隙をついてパスを送った、はずだった。

「サンキュー」

 パスコースを完璧に読まれ、ボールを奪われる。

「くっそおおおお!!騙された!!」

そのままドリブルで突破され、智琉がマークに入る。しかしするりと躱され、エンドラインまで下がっていた遊馬が智琉のマークへ戻る。


「司!」

 鷹也がそう声をかけ、パスのモーションに入ると恭平が司のマークに入る。鷹也はノールックで遊馬にパスを通し、ゴール前まで走った。

「遊馬!」

 それを見た遊馬が鷹也へとパスを繋ぐ、と見せかけて司へとパス。シュート体勢に入った司を智琉と恭平がマークに走ったのを見届け、3Pラインまで戻った鷹也へとパスを通した。

 智樹をフェイントで躱し、そのまま3Pシュート。シュパッという音と共にボールはリング中央を通り抜けた。

「はあああ!?くっそおお!!」

 三人は悔しそうにボールを取り、再び位置につく。


「鷹也の指示に惑わされるな!あいつ指示出してると見せかけて、こっちを混乱させてるだけだ!」

 智樹が忌々し気に言うと、智琉と恭平も悔しそうに顔をゆがめる。


「てか鷹也先輩、崩れたフリとか気付かないフリとか、マジ天才的に上手いっすよね‥あれは分かってても騙されるってw」

「あはは!俺への指示も嘘だってバレたみたいだけど?」

 二人の言葉に鷹也はニヤリと笑う。

「大丈夫だって、全部が嘘じゃない。だろう?w」

 真実と嘘とを織り交ぜる指示、これこそがこの三人で楽しめる最大の面白さだ。


「ってか鷹也、お前3P出来るのかよ!?」

 智琉に言われ鷹也は笑う。

「出来ないなんて言ってないけどな?」

「やっぱお前、マジむかつくわ!!」

 二人は笑いながらそれぞれの位置についた。

「くっそー!このペテン師!!」

「騙した覚えはないんだけどな?」


 再びの智樹ボールで始まる。しかしこの男をどうやって抜けるのかと、智樹は本気で困っていた。フェイントもフェイクも通用しない。

「たまには攻めさせろよ!」

「いいよー!」

 思い付きで言ってみたら、いとも簡単に見逃してくれた。そして鷹也はその場から双子と恭平の動きに視線を送る。


「鷹也先輩!マジすかw」

 司が笑いながら声を上げ、遊馬まで笑い出した。

「司!シュート決めに行くのは8番だ。マークしとけ。」

「遊馬!6番と7番の間に位置取り!3Pは打たせていい、どうせ入らないから。司、リバンな!」

 司と遊馬はそれぞれ右手を上げ、了解のサインを送る。


「くっそーーー!嫌な奴だなホントに!!」

 智樹はドリブルで切り込みながら、智琉にパスを回す。確かに3Pの精度は低いが、入らないとまで言われるのは腹立たしい。智樹と恭平がマークを振り切るように動くが、司と遊馬は上手く貼り付いていた。

「こっちフリーだよ~?」

 鷹也が声をかけると、智樹は一瞬こちらを見る。敵の声だと分かっているはずなのに、それでも見てしまった。その隙を司は見逃さない。

「あざーす!」

 見事に司がカットインし、遊馬から鷹也へとパスを回した。

「ほい。」

 再びの2Pに、智樹も智琉も恭平も「うがーーーーー」と叫び声をあげる。

「クソペテン師がーーー!」

「だから騙してないのに~。」

 智樹と鷹也が笑いながらやり合う。それを見ている外野も笑っていた。相変わらず智樹からのパスは、鷹也にほぼカットされてしまう。しかし遊馬がバテ始め、司との連携が崩れてきた。


「ま、そうなるわな。」

 最初こそ7点8点と積み上げていたが、徐々に点が取れなくなり、双子チームが追い上げに入る。

「ちとタイム!」

 鷹也がそう宣言し、二人を呼び寄せて何事か話している。

「‥今度は何をする気だよ!?あいつは!!」

 智樹が苛立たし気に呟くが、それを智琉が宥める。

「司だっけ、結構プレッシャーかけてるから。あっちもバテてると思うんだよね?」

 恭平が嬉しそうに言い、双子がそれを褒めそやす。


 再びゲームが開始されても、遊馬の動きは精彩を欠いた。少し当たられただけで体勢を崩し、転倒する。

「大丈夫か?」

「ごめ!足がもつれた!」

 智琉が手を貸してやり遊馬が立ち上がるが、開始直後の元気さはない。しかしこれが本当なのか、ブラフなのかが分からない。

「ほんっとに厄介だな、あのバカは!」

 智樹が3Pを打つが、リングに当たり入らない。司対恭平のリバウンド勝負だが、さすがにこれは身長と体格を凌駕する恭平が奪い、そのままゴールに押し込む。


「兄貴すげーーーー!!」

 道明が手を叩いて喜んだので、恭平はパチリとウインクをして親指を立てる。嫌味もなく様になっているのが兄らしい。

「鷹兄ごめん!」 

「鷹也先輩、すいません!」

 兄弟がそう言うが、鷹也は笑っている。

「体格差は仕方ないって。遊馬も司もケガしてないよな。無理すんなよ?まだリードはこっちだしな。」

 じわじわと追い上げられているのに、涼しい顔のまま鷹也は言う。



「…はぁ。」

 ため息をついた七海に、茜が「どうしたの?」と声を掛ける。

「前にね、遊馬のお兄さんと遊馬、鷹兄と私の4人で2対2の対戦したんだよね。私は鷹兄と組んで、二人に勝ったんだけど。‥遊馬も手加減してたんだなって。褒められたし、勝てたからすっごい嬉しくてさ。舞い上がってた私、バカみたいだなって。」

 今日も一緒に出来るかもしれない。良い所を見せられるかもしれない。そんな期待は粉々に砕け散った。試合を見れば見るほど、惨めに思えて来たのだ。


「大学生とか高校生男子と、中学生女子だよ?‥同じに出来ないよー!あっくんだって、思い切り転倒するくらいぶつかられてるんだよ?ナナにそんなことしたら‥」

 茜がそう言うと

「まあ鷹兄に狩られるよな!」

 道明がそれを受けて答え、二人は笑った。

「あはは!前回も私、見るだけだったし。今回も見られて良かったー!やっぱり鷹兄かっこいい!」

 流水が心から楽しそうに言って笑う。その言葉に七海の気持ちも少し持ち直す。

「ミチくんのお兄さんカッコいいし!さくらちゃんのお兄さんも理知的イケメンだし!あっくん兄弟は何かかわいいし!鷹兄もカッコいいし!!長身イケメン天国なんですけど!」

 茜が幸せそうに言うと、七海はとうとう笑い出した。

「ふふっ!茜!目がハートになってる!!」

「ええっ!?ヤダ!そんなことないって!!」

 観戦側に笑いが広がる。

「ふふっ!兄さん達があんなにムキになるなんて。」

 さくらもそんなふうに笑っていた。



 試合の方はというと、相変わらず遊馬の動きが鈍り、司もリバウンドは完全に恭平に負け越していた。双子は勢い付き、素早いパス回しで何とか切り込んでいく。鷹也が巧みにインターセプトするが、その先が繋がらない。じわりじわりと追い上げられている状態だった。

「‥残り3分ね。」

 双子たちの猛攻で点差は3点まで縮まっていた。

「3分あれば十分!逆転できる!」


 鷹也のボールキープから始まり、そのままドライブする気だろう。智樹は敵味方の位置を確認してコースを塞ぐ。

「司!」

 鷹也の声に、司が反応して前に出ようとする。が、恭平がその前に立ちはだかり、智琉も加わって二枚のディフェンスが付いた。

「‥残念。」

 微かに悔し気な表情を浮かべる鷹也に、智樹がカットインを試みる。が、鷹也はそのまま真横にパスを投げた。

「え!?」

 先ほどまでへろへろだったはずの遊馬が、元気いっぱい走り出している。

「ナイス!遊馬!最高なタイミング!」

 司のディフェンスは二枚、鷹也と遊馬がフリーのままタップパスの応酬で走り抜ける。

「兄ちゃん!」

 遊馬はゴール下の司へとパスを通す!フリをして鷹也にポイっと放り投げた。そしてそのままシュート体勢に入る。

「そうはいかないって!!」

 司についていた二枚のディフェンスがそのまま鷹也につく。しかし鷹也はジャンプし、二人も跳ぶ。ボールは二人の股下を抜けて司に渡った。

「なっ!」

 わざと低いジャンプで釣られた時には既に遅い。司がレイアップに入り、リーチのある恭平が何とか腕を伸ばした。

「うへ!届くのかよこれ!」

 咄嗟のダブルクラッチで恭平の手をかいくぐり何とかゴールを決める。


「ふええ!鷹兄!これ以上はもう動けないー!」

「ナイスファイト、遊馬。」

 鷹也と遊馬がそんな会話をしているが、これも事実なのかブラフなのかが全く読めない。

「くっそ!お前らそういう演技やめろ!!マジで!」

 智樹が声を張るが、二人はスルーだ。

「まああとは俺と司がいれば大丈夫だって。」

 鷹也が遊馬の背中を軽く叩き、智樹のボールキープからスタートだ。智琉と恭平が鷹也の前に立ち、スクリーンとなる。

「そうきたか~!」

 残り時間も少ないことから、捨て身攻撃らしい。智樹がドライブで切り込み、ゴール下の司と一騎打ちになる。


「リバンな!」

 鷹也の言葉に二人がカバーに向かおうとする。

「あはは!せっかく来たんだからゆっくりしていけよ!」

 鷹也は二人をけん制し、簡単には行かせない。智樹のレイアップを阻止した司が、そのまま遊馬へパスを出した。智樹は司が、智琉と恭平は鷹也がマークしている。そして遊馬は3Pラインの外からフリーでシュートを放った。瞬間、鷹也がゴールへ向かって最短距離を一直線に走る。

 リングにボールが当たった時には既にジャンプしており、そのままゴールへと押し込んだ。

「遊馬ナイス!あと1センチだったな!」

「くーーー!惜しい!!」

「あはは!ナイスリカバリーっす!」

 3人がハイタッチするのを、双子と恭平は呆然と見ていた。そして再びの智樹ボール。さすがにもう時間が殆どない。同じく二人が鷹也のスクリーンとなり、智樹を通した後は即座にゴール下へと向かう。


 司が智樹をマークし、遊馬が智琉をマークする。それでも何とかゴール下への恭平にパスが通った。

「「いけーーー!!」」

 恭平が思い切り踏み切ってジャンプし、レイアップに入った。この中で一番の長身である。

バチィン!

 最高点でボールを叩き落とされたその時、自分を見下ろして薄く笑った同級生はトンっと着地し、何事もなかったかのように、てくてく歩き去って行く。

 タイマーの音が無情に響き、鷹也と司、遊馬がハイタッチを交わした。

「いやー楽しかったっす!」 

「俺も超たのしかった!!」

 二人はそのまま床にへたり込んだ。


「「「くっそおおおおおお!!」」」

 負けチームの三人はめっぽう悔しそうだ。

「お疲れっす!」

 道明が笑いながらスポーツドリンクを配って歩く。

「兄貴もお疲れ!」

「ああああトラウマがーーー!」

 恭平が叫んだ後に、スポドリを半分ほどあおる。

「何だよ、トラウマって?」

 智樹が聞くと、恭平は鷹也を睨んだ。


「あいつ!体育の授業のバレーで、俺のスパイク全部ブロックしやがったの!俺、バレー部なのに!」

「ぷっ‥あはははははは!」

「ぶはははは!」

 恭平の叫びに全員が笑い出す。

「あのな?兄貴、アレはね?反射神経ネコだから。諦めて!」

 道明の言葉に恭平はがっくり項垂れる。

「ネコはブロックしねえよ…」

 その言葉に、再び全員が大笑いし、七海も涙を流して笑っていた。ガチ勝負の後は、流水や七海、道明やさくらも一緒になってミニゲームを楽しんだ。


「やっぱりナナはすごいよ!届かないことより、今出来ることを喜んだほうが楽しいよ?」

 茜がそんな風に言って笑ってくれ、七海も素直に受け取った。そして茜は高身長イケメン達にバスケを教えてもらいご満悦である。



 その後は全員で焼肉に行った。カルビやタン、レバー、ハラミやステーキなど、目についたものを片っ端から頼んでは焼き、焼いては食べる。

「なあ鷹也!最初にさ、司と遊馬に耳打ちしてたろ?あれって何言ってたんだ?」

 智樹がそう問いかけると、鷹也はニヤッと笑った。

「ん?俺が指示を出すから気が向いたら言うとおりにしろ、とね。」

「「は!?気が向いたら!?」」

 双子が同時に叫ぶ。

「‥だから動きが読めなかったのか‥」

 恭平が賞賛と呆れの入れ混じった表情で鷹也を見やる。


「え!?でもそれってさ、鷹兄にも二人の動きが予測出来なくなるんじゃないの?」

 思わず七海が突っ込んだ。

「ん?だから面白いんじゃん。まあ、前回の2on2で二人の癖は分かってたから‥予測は出来たかな。」

「「この変態!!」」

 双子が同時に突っ込み、鷹也が迷惑そうに見やる。

「サラウンドやめてくれる?」

 ブフォッと道明が吹き出し、七海と流水も笑ってしまう。

「てか俺のカルビ!!」

 司が大事に大事に焼いていたカルビを遊馬が攫っていく。

「うめー!兄ちゃんのカルビ最高だなー!」

「え?あはは!焼き加減最高だったろ!?」

 遊馬の兄弟も仲が良い。何だかんだと弟には甘いらしい。


「あ、すみません。上カルビあと20人前と、ハラミ20人前ね。」

 サラリと注文している鷹也に全員の視線が集中する。

「おいまてコラ!割り勘だろここ!?」

 恭平が財布の中身を気にして思わずツッコミを入れてしまう。

「へ?あー別にいいよ。どうせ一番食うの俺とさくらだし。」

「‥そうですね。」

 もきゅもきゅ食べては焼き、焼いてはお口に運ぶペースは最速コンビかもしれない。

「さくらちゃん?」

 見た目一番食が細そうなさくらは、石焼ビビンバも食べているらしい。全員の視線が集まったため、少しばかり恥ずかしそうに俯いた。

「‥そういえば妹が我が家で一番の大食漢だった‥今も現役なのか‥」

 双子が戦慄の眼差しでさくらを見やる。しかしさくらは嬉しそうに、焼いたお肉と石焼ビビンバをもきゅもきゅし続けた。



「…え!?」

 カルビを焼いていた司が、突然箸を落とした。突然のことに周囲が司に注目する。

「手のひらに…目えええええ!?」

 箸を持っていた右掌に確かに眼があった。深い緑に金色の虹彩を持つその眼は、ぱちりと瞬いた。

「ぎゃーーーーーーー!オバケ!!!!」

 思わず大声を上げてしまい、店内の注目を浴びる。

「‥え?お前、年いくつだっけ?」

 智樹の言葉に司は「17っす。」と答える。

「通常13歳前後なんだがなあ‥まあ、たまに遅咲きもいるらしいし‥」

 そう言って自らの掌を司に向けた。同じく全員が掌を向ける。

「…ここにいるの、みんな妖怪かなにかっすか?それとも鬼に血を分けられた?」

 司が呆然と呟き

「「「漫画とアニメの見過ぎだ!」」」

 そう言って突っ込まれたのだった。



 こうして3on3大会は幕を閉じたが、兄世代たちに新たな目標が掲げられた。

「あのネコ討伐するにはどうしたらいい?」

「道明!お前得意の空手で2,30発殴ってくれ!!」

「むり。一撃も入れられなかった。だからネコだって言ってるじゃん!」

 こうしてネコ討伐共同戦線が張られたのである。





挿絵(By みてみん)

五十嵐遊馬&五十嵐司


挿絵(By みてみん)

土門道明&土門恭平


挿絵(By みてみん)

月影智琉&月影智樹



※画像はAIによるイメージです

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