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お花のラナァは今日も幸せ  作者: 葉月双
ExtraStory

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最終話 ラナァ、太陽に突っ込む(もちろん無傷)


 今日はみんなが聖域にいて楽しいなぁ、とラナァは思った。

 もちろん、ラナァは一人でも楽しいし、いつだって楽しいのだけれど。

 不死の魔王であるホレスがギターをかき鳴らし、それに合わせてラナァたちが歌っている。

 妖精たちは舞い踊り、シエル、アデリタ、コーデリアの三人は手拍子で合わせている。

 やがて曲が終わると、ホレスが恭しく礼をした。


「骨なのに上手ですわね!」


 コーデリアが拍手しながら言った。


「本当、骨がいて驚きましたけど、いい骨なんですね!」


 アデリタも拍手しながら言った。


(その骨は不死の魔王なんだけど……、まぁいっか)


 シエルはホレスの正体を黙っておくことにした。

 今この場に二人の魔王と一人の元魔王がいるという事実。


(世界征服できそう)とシエルは思った。


「実に素晴らしい!」


 宇宙人の佐藤がうんうんと頷いている。


「こちらの方もなかなか個性的ですわね」


 コーデリアが佐藤を見ながら言った。


「ウチューという遠い国から来た人ですよ」


 イリナがニコニコと説明した。


「お昼に食べたかつ丼を教えてくれた人だよ」とシエル。


 アデリタとコーデリアが「おお!」と感動した。

 なんせ、二人ともかつ丼をとっても気に入ったのだ。


「うね♪ うね♪ うね♪」


 突如、ラナァが茎をクネクネさせながら伸び始めた。


「どど、どうしましたの!?」とコーデリア。

「よくあることだから気にしなくていいわ」とあーちゃん。


「そうなんですの……ってあなた誰ですのぉぉぉ!?」


 コーデリアは驚いて座ったまま飛び上がってしまい、そのままお尻から地面に落ちてちょっと痛かった。


「本当に誰ですか!?」とイリナ。


 なんせ、あーちゃんはさっきまでいなかったのだ。

 ここにいたのはいつもの聖域メンバーに加えて、アデリタ、コーデリア、ホレス、そして大人しくラナァの葉っぱを撫でているリブである。

 ちなみにみんな地面に座っている。


「あーちゃんはあーちゃんだよぉ♪」


 歌うようにラナァが言って、うねうねと伸び続ける。


「なんだかとてつもない神聖さを感じるのですが」と言ったのはアデリタ。

「確かに!」とイリナが同意。


「そりゃ神聖でしょうよ」


 あーちゃんがやれやれと肩を竦めた。

 その頃には、ラナァのお花部分は惑星の外側にまで達していた。


「ああ、天空へと走るラナァには重力という名の枷すら無意味ということだね」リブが上を見ながら言う。「蒼穹の彼方には何が待っているのだろうね? ラナァにはそれを解き明かしてもらいたい」


「相変わらず何を言っているのかオイラにはサッパリだね」


 ホレスが苦笑い。

 骨なのに苦笑いしているとなぜかみんな理解できた。


「ラナァは今、太陽に突っ込んだよ♪」


 ラナァが楽しそうに言った。


「「太陽に!?」」


 みんなが驚き、声が重なった。


「太陽って、どんなところです?」とイリナ。

「うーん、暖かい!」とラナァ。

「まぁそうであろうな!」とパメラ。


 日差しはそもそも暖かいのだから。


「わぁ、行ってみたいかも」とシエル。


「そうじゃ!」閃いた、という風にパメラが言う。「太陽をここに持ってくれば、ずっと暖かいのじゃ!」


「それは止めた方がいい。あと、ラナァ以外は行くのも止めた方がいい」


 佐藤が真面目な声で制止。


「なぜだ?」とアビス。


「太陽は遠いから暖かいぐらいで済んでいるが、実際には灼熱地獄だから」と佐藤。


「え? それラナァ大丈夫ですの?」

「ラナァは平気だよぉ♪ ルンルン気分♪」


 ラナァは相変わらず楽しそうに言った。


「太陽には誰かいますか? 熱に耐性のある種族が住んでるかもって思ったんですけど」とアデリタ。

「うーんとね、五次元存在って人がいたよぉ」とラナァ。


「「いるんだ人!」」


 みんなが驚いて言った。

 佐藤もビックリしている。


「五次元さんを誘ったけど」ラナァが言う。「こっちに来ちゃうと世界が崩壊しちゃうんだって」


「え? 何それ怖い」


 シエルがブルブルっと震えた。


「その人あーちゃんより位が上だもの」あーちゃんが言う。「あーちゃん四次元存在だからギリギリこっちに干渉できるけど、五次元の人は無理よ。むしろその人に会えたラナァにあーちゃん超ビックリだよ」


「そもそもお主は何じゃ?」とパメラ。


「アレクシアよ」

「聖なる神の名前を使うなんて!」


 コーデリアがビックリしてまた飛び上がった。

 そしてまたお尻から落ちて「いたた……」とお尻をさすった。


「あーちゃんがその聖なる神なんだけど?」


 あーちゃんはやや不機嫌そうに言った。


「本当だよ」ラナァがお墨付きを与える。「あーちゃんがこの世界を創ってくれたんだよぉ」


 あーちゃんはどやぁ、と胸を張った。


「実在したんですかっ!?」


 イリナが驚いて声を上げた。


「元聖女なのに神を信じてないっ!?」


 アデリタが驚いて突っ込んだ。


(ついに神様まで登場したぁぁぁあ!!)


 シエルは頭の中で盛大に叫んだ。


「というわけで、ただいま」


 ラナァがパッと元の長さに戻った。


「ああラナァ、どこか焦げたりしていませんか?」


 イリナが立ち上がり、ラナァのお花の部分をまさぐった。


「焦げてないよー。ラナァは焦げたりしないよー」


 まぁ仮に焦げたとして、ラナァ的には別に、って感じだが。


「ラナァを焦がすような太陽は消滅させなきゃ……」


 あーちゃんがワナワナと震えながら言った。


「お昼がなくなるのじゃー!」パメラが慌てて両手をぶんぶん振る。「夜だけの世界になってしまうのじゃー!」


「ならばワシの炎で世界を照らそう!」とアビス。


「パパちょっとカッコいい!」

「ふはははは! ワシの炎なら昼間のように明るいに違いないっ!」


「ついに太陽が消え去り、永遠の暗闇が訪れるんだね」リブが言う。「それでも僕はラナァと生きていく。そう、約束された世界の終焉を、僕とラナァで見届けるまで」


 そしてリブがラナァの葉っぱを自分の頬に当ててスリスリ。


「じゃあオイラは夜の世界で明るいギターを弾こう!」とホレス。

「みんな太陽にさよならした?」とあーちゃん。


「ちょっと待って神様」シエルが宥めるように言う。「そもそもラナァ焦げてないって……」


「ラナァは焦げてても幸せだよ」


 ラナァが歌うように言った。

 その声があまりにも綺麗だったので、みんな「はふぅん」と脳がとろけそうになった。


「まぁでも!」イリナが力強く言う。「あたくしとしては焦げて欲しくないです!」


「だからラナァ焦げてないよ!?」シエルは思わず大きな声で言った。「本人も焦げてないって言ってるし、見た感じも普段のラナァだよ!?」


「「確かに!!」」


 みんなが納得したように言った。


「聖域ってまるで嵐の中心のようですわね……」とコーデリア。

「まぁ、これだけ集まってればね……あはは」とシエル。

「賑やかでいいじゃないですか」とアデリタ。


 ホレスがジャララーンとギターを鳴らす。

 そうすると、ラナァも亜空間からギターを取り出し、ジャラーンと鳴らした。

 ホレスとラナァが二人でギターをかき鳴らし、いつの間にか出現したピアノをあーちゃんが奏でる。


 イリナとパメラが歌い始め、シエルたちアヴァロン組は音楽に合わせて揺れた。

 妖精たちが舞い踊り、アビスは尻尾をフリフリしてリズムを取る。

 リブは目を瞑って盛大な音楽に耳を傾ける。


 佐藤は音楽を何かしらの機械で録音していたのだが、佐藤が何をしているのか誰にも分からなかった。

 聖域は今日も平和で、とっても楽しい時間が流れていた。

 やがて曲が終わり、ラナァが質問してみんなが声を揃えて言うのだ。


「聖域は?」

「「今日も最高!!」」

「お花のラナァは?」

「「超可愛い!!」」

「それでみんなは?」

「「今日も幸せ!!」」



これで、『お花のラナァは今日も幸せ』は完結となります。

最後までお付き合いありがとうございました。

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