表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/30

§第07話中篇 紗綾へのオファー(2)

 昼時のファミレスなので店はそこそこ混んでいる。有閑マダムとか職場昼食のOLやおっさんとか。未就学児らしき子供を連れた母親らしき女もいる。この店はドリンクバーの他にサラダバー、ジェラートバー、スナックバーと、食べ放題メニューが豊富なのだ。二人は店員に案内されたテーブルに向かい合って座った。


紗綾  え 奢り?てか経費でしょ?

潤  え あ うん


 いきなり聞くのか紗綾。それくらい親しいとしてもだ。潤はコーヒーとサラダバー、紗綾はジェラートバーとサラダバー付き日替わりランチを頼んだ。


紗綾  食べないの?

潤  俺はプロテイン飲んでるから。あとは繊維質で

紗綾  ホント健康アスリートオタクだね。あ そういや知ってた?あの酒屋のさくらちゃん結婚したらしいよそれもデキ婚で

潤  いいね。産めよ育てよ地に満てよ。今のこの国に一番必要なことだよね。ぼくらもそろそろデキ婚

紗綾  あ~あ~それからあの現国の高橋。退職したら半年で死んじまったらしいよポックリ

潤  あらぁ。余生無かったね。真面目すぎたのかもね。僕らも素なる前に


紗綾  まあいいか 年寄り多すぎるし

潤  紗綾言い方。二千万人くらい年寄りだけ海外移住してくれないかなとは思うけどね

紗綾  老いてるねぇニン国。もうオイ国だよオイスギ国

潤  そうだね。だから子供をどんどん産まないと

紗綾  あ~そうだうちの近所でボヤ騒ぎがあったらしいよこわいよね~


 などと生産性ゼロの他愛ないプロポーズ攻防戦を交わしつつ食事を済ませた後、潤がコーヒーカップを置いて切り出した。


潤  さてと。じゃあ話をしようか。君のキャリアにとってプラスになって尚且つちょっとした儲けになる話

紗綾  うっわなんかヤバ。それ聞いた途端ヤバ

潤  いやいやヤバくなんか


 微妙な間。


潤  ないって。多分

紗綾  おい 多分て。あのね。「いい話ほど疑う」これ情報ビジネスの鉄則よ 待って当てるから。アタシのキャリアに関するって事はつまり何かのスクープネタ。儲け話になるって事はかなりヤバい筋つまりヤクザか大企業か……国。どうよ?


 潤はにっこりした。


潤  冴えてるねぇ紗綾さん。地方紙のぺーぺー記者にしとくのはもったいない

紗綾  そりゃどうも

潤  じゃあ僕のプ

紗綾  プロポーズはノーだからね

潤  さ 冴えてるねぇ!くうぅぅ


 潤はカウンター気味に入ったボディブローを食らった表情。ん。ちょっとまてボディブローをカウンターで当てるのは難しくないか。誰が両腕を開いてボディごと突進してくるのか。まあいいけど。潤はボディブローからやや回復したのか。ゆっくりと自信あり気にほそく笑んだ。ニヤリ。こういう時ってなぜ片方の口角が上がるんだろうな。


潤  OK。プロポーズの事はもういいよ

紗綾  そう。じゃあ内容を え?あれ?だってあんなに え?


 紗綾は断わり続けてきたくせに何故か不意打ちを食らっている。潤の口角はさらに上がった。企んでる。企んでるぞ。


潤  この話を受けてくれたら僕らは運命共同体になる

紗綾  運・命・共・同・体


 紗綾は何とも言えない顔をした.


次回は……「第07話後篇 紗綾へのオファー(3)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ