表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドライフ〜インベントリって素晴らしい  作者: 清香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/92

89 趣味の世界ですが、立派なお仕事になっています。

 深夜の今。眠り損なった私は一人でアクセサリー作りをしています。基本的にインベントリの材料で作っているので、門外不出な物ばかりになってます(笑) 基本、神様に捧げるアクセサリーを作っているのでそこは気にしてませんが、人目を気にしてはいます。と言う訳でみんなが寝静まったこんな深夜に作っているのでした。


 実は以前、お昼寝タイムに作っていたらジャレットに見られてしまったのですよ。まだ幼児ですから広げていたビーズの違いに気付かれませんでした。………と思います。あの時は作っていた物が新しい工房向けの新作の見本に考えていた物で、基本的に此方のビーズでしたから問題無かったのですが、インベントリのビーズも一緒に並べて考えていたのは少し迂闊でしたね。


 そう言えば、女神様のお陰なのか、神様に直接関係する事柄は子供達の記憶に上がらない様なのです。直接会えば以前お会いした時の記憶は蘇るのですが、その直後でも家族以外の誰かが居ると、不思議に思い出せないみたいなのです。お陰で神様由来のインベントリのビーズは、ジャレットの意識には残らないので安心なのですが、子供達の無意識に負担を掛ける必要は無いので隠せるなら隠しますよ。


 さて、気を取り直してインベントリの材料を見て行きましょう。前世の手芸材料は色合いがどうしても女の子向けが殆どですね。あの頃は男性用のアクセサリーなんて興味無かったのですから仕方ないのですが。カトリーヌに加護を下さった神様も女神様なら良いのですけど。まぁ、素材の使い方次第ではユニセックスにもなるかな〜?


 ダンジョンで集めたミスリルとクリスタルを取り出して机に広げます。錬金でミスリル製の幅広のバングルを数種類作り上げます。飾りに使うのはクリスタルだけなので、色味的に一応、男性向けのアクセサリーに成っていると思います。私の腕には緩い大きさですし、ゴツい迄は行きませんがきっと女性用には見えないと思います。


 あれから何種類か作ってはいますが、コレっと言う物に辿り着きません。やはり、贈る相手の情報が足りな過ぎるのですよ!クリスティとジャレットの誕生祝いに来て下さったフォニウム様を捕まえて、プルメニア国のお話を強請っていた子供達に紛れて、プルメニアの神様のお話をこっそりと聞き出しました。


 『プルメニアは暖か過ぎるのんびりとしたお国で、ペイジングストーク?様という芸術に特化された神様がいらっしゃるそうですよ。我が国の女神様と違って結構お気楽な神様だそうで、現在でも頻繁に優れた芸人にはご加護を与えていらっしゃるそうで、加護を頂いている方も多いそうですよ。』


 と驚く情報を頂いてしまいました。お名前を出されている神様なんていらっしゃるのですね。なんとなく神様はすべからく呼称は神様なんだと思ってました。それに全国民にフレンドリーな神様って、なんとなくハードルが下がりました。でも、呼称が女神様で無いだけで、男性とも言い切れないそうで、性別不明だそうです。


 そう言えば、女神様に私がつい作ってしまった魔石の件で王家に神託をお願いした時も、神託が降りたと国を挙げて驚かれましたね。我が国の女神様は余り国民の前に出ない方のようですね。個人的に頻繁にお会い出来ていたので気付きませんでしたが、本当に私は恵まれています。


 私に加護を下さった女神様の為にも、何時か奉納させて頂く為に、ペイジングストーク神様を喜ばせるアクセサリーを作らねばなりませんね。材料を見つめて悩んでいると、フェンリル母様がハリシエダ様が起きそうだと教えに来てくれました。机の上に並んだいろんな種類のアクセサリーを見て、


 『素材は前世の物も含んでいらっしゃると言う事は、女神様用ですか?でも、此方のアクセサリーは武骨で、女神様には似合わなそうに思えますが?』


 と不思議そうに聞いて来ました。何時も女神様に合わせて、繊細さや華やかさに注目して作っていますからね。


 『これらはカトリーヌがご加護を頂いたペイジングストーク神様に奉納しようと思って、いろんなアクセサリーを作ってみたのです。でも、ご本人の情報がほぼ無いのでどんな物が喜ばれるのか悩んでいるのですよ。』


 としょげていると、


 『モリーノに頼んでプルメリアに転移してみますか?それとも、フェニックス様がチョコレートを買いにいらした際にお会いして、ペイジングストーク神様についてお聞きしてみたら如何でしょうか。』


 おおぅ。流石フェンリル母様。ナイスアイデアですが、お子ちゃまなモリーノに頼んで飛ぶのは、相手の事を考慮しない場合が多過ぎて危険なので、遠慮したいですね。有効な選択肢として、フェニックス様がいらしたら連絡してもらう事にしましょう。


 『ありがとうございます。流石、フェンリル母様ですね。ショコラ工房に連絡を入れておきましょう。フォニウム様よりも詳しいお話が聞けそうですし、もしかしたら、ペイジングストーク神様にご紹介頂けるかもしれませんね。』


 と話しながら机の上を片付け、寝室に戻りました。



 今日は久し振りにクリミアナ義姉様のお茶会に招かれて参加させて頂いてます。今回、招待されるにあたって、ビーズ関係のアクセサリーを含め、私の作る手芸品の展示会を希望されました。


 今回のお茶会のきっかけは、リストランテのビーズ工房にクリミアナ義姉様がいらっしゃるのを狙って、私の作品を此処でも売ってもらえませんかとお願いして来た、カースティン様の声掛けだったそうです。


 実は、ビーズ編み工房を介して商品化された物も有るのですが、キュラスでしか販売されていない為に他領では入手困難な事もあって、クリミアナ義姉様に私を紹介して欲しいとの声が集まったのだそうです。


 そう言えば、王宮へは時々転移でお伺いさせて頂いてますが、基本的に王都のお店へ買い物しに行きませんし、王都のギルドは何方も鬼門系ですから近寄りません。王都で関係する工房はショコラ工房ぐらいですが、あそこはフォニウム様経由でしか交流しない上に、食品しか扱っていませんからね。


 サルカンドとリストランテ以外で工房や商会に交流が有るとすると……直接は無いですね。ビーズも有限ですから、他所に売りに出す程まだ作れませんので、リーバスさんやキエランさん経由で販売先を増やす努力もしていません。ビーズ編みの職人さんもこれから育てて増やさなきゃだし、私、商人としてはダメダメかもしれません。


 クリミアナ義姉様に紹介されたトレミリー伯爵夫人とお話していると、間にグランダイ侯爵領が無ければショコラをもっと頻繁に買いに行けるのにと言う話題になりました。確かにリストランテもヴェルムもサルカンドも、全部、間にグランダイ領を挟んでいますね。………囲んでいるとも言いますが。


 フォニウム様が王都でカカオの輸入代理店を開いてますが、材料を買っても職人が居なければショコラを作れない。と言う話も有りました。代理店では内緒でキュラスの工房のショコラを委託販売していますが、アレは王宮向けの裏取引なので表に出せないのです。教えてあげられなくてごめんなさい。では、話せる情報を少しだけ、


 『私は詳しいお話を聞いていませんが、数年後にはタルピナスでショコラティエの学校を開校するそうです。サリシン義父様達がフォニウム様と計画していると聞いております。

 開校したらキュラスからも指導者の協力をお願いはされていますね。私も同じレベルの職人さんが増えるのを楽しみにしているのですよ。』


 と話していると、他の方も聞き付けて、クリミアナ義姉様にもっと詳しい話が無いのか、尋ねていらっしゃいます。皆様、ショコラには目が無いのかも。


 因みに、ショコラティエの学校が出来る前提で、キュラスとサルカンドのショコラ工房では他所からの職人さんの受け入れを中止しています。元々リストランテの職人さんしか受け入れていませんでしたが、上から目線で威張って乗り込んで来た他領の職人は否定されて当然だと思うのですが。


 キュラスに今いる見習いは2号店を出す為の見習いなので、他所に引き抜きをされない様な契約を多々結んでいます。サルカンドではこれ以上大きくしない方針だそうで、あの工房で必要と認められた職人のみ見習いに受け入れて、工房から知識を漏洩しない契約と勝手に移動出来ない契約をしているそうです。


 内緒ですが、私は初年度を迎える前に講師の方に基本を徹底的に教える約束を、サリシン義父様としています。基本さえ身に付けば応用は各自の好みで広げて行って欲しいのです。その方が個性いろいろなチョコレートが食べられると考えています。いろんな種類があった方が楽しいですよね。


 『此方のブローチや指輪を御息女が作られたとお聞きしておりますが、本当ですか?ミスティーヌ様のお嬢様って、まだ初等学校に上られて無いと思ったのですが。』


 リュムレー子爵家のカースティン様が、ビーズのアクセサリーを手に問い掛けていらっしゃいました。確か、お婿入りしたガスパール様との間にご子息が生まれていた筈。アクセサリーはご自分用に見ていたのでしょうか?


 『ええ。此処にお持ちしたのは私が作った物ですが、ジャレットも私が作っているのを良く見て、いろいろ作りますよ。今日、クリミアナ義姉様が付けていらっしゃるブローチがそうですね。あの子は綺麗な物が大好きでキラキラなビーズ手芸が楽しいらしく、よく作ってますよ。

 鍛治工房に依頼して柔らかいワイヤーが出来たので、アクセサリーの形造りが楽になりました。』


 と話すと、クリミアナ義姉様が、


 『ジャレットちゃんは小さいけど凄いのよ。私も教わって作った事があるわ。ほら、私もビーズ工房を持っているから、ミスティーヌに教わっていろいろ作っているのだけれど、新しい物を考えるのは難しいわね。』


 とクリミアナ義姉様は私の作品を見つめています。


 『今までのアクセサリーは錬金術に頼った物が主流でしたから、素材や作り方が変わると難しく感じるのかもしれませんね。

 私のビーズ編み工房ではヤスミン様は兎も角、他の職人さんは皆若い子ばかりです。今までの作り方や製品を知らない方が柔軟な発想で新しい物を作れるのかもしれませんね。』


 と思い出しながら言うと、クリミアナ義姉様はちょっとプンとした顔付きをなさって、


 『それは私が年寄りで、カッチカチな頭の持ち主って言う事かしら?』


 と睨んで来たので私は焦ってしまいましたが、そんな私の様子を見て笑い出しました。その笑顔に内心ホッとしながらも、不用意な言い方をしてしまったのは反省しました。取り敢えず、


 『そんな筈無いでしょう!クリミアナ義姉様酷いです!私が思ってもみない事を言うなんて、私、クリミアナ義姉様に嫌われたら泣いちゃいますよ。』


 と泣き真似をすると、その場に笑いの渦が産まれました。


 和やかな?流れに戻ったお茶会ですが、最終的にはアクセサリーの予約会に変わっていました。ヤスミン様達が作成するのを待つには時間が掛かり過ぎるので、クリミアナ義姉様様と相談して、今回は私が作ってクリミアナ義姉様経由で、此方の工房にて販売させてもらう事になりました。


 指輪は簡単な作り方なので、クリミアナ義姉様の見ているところで作りましたが、ワイヤーでないと形がしっかりしません。リストランテではビーズ手芸用のワイヤーがまだ出来ないので、鍛治工房を選んで、修行に行かせたい。と頼まれました。


 『ワイヤーを作っている子がまだ若いので、修行に来る職人は見習いを卒業したばかり位の若い子が好ましいですね。手先の器用さがポイントなので、技術力はそれ程必要では無いかもしれません。

 現に、今見習いとしてワイヤーを作っている子は、孤児院出身の成人したばかりの子達です。』


 と伝えると驚かれました。現場を見て知っている私は、銅線を同じ細さに延ばして行くだけの加工なので、器用なのが一番なのを知っていますが、それを知らないクリミアナ義姉様は技術力が無いと細いワイヤーを作れないと考えていた様です。


 『ワイヤーが無い事にはこの指輪を初めとしてビーズアクセサリーは作れないのですから、そこは登録して制限を掛けても良いくらいですよ。ミスティーヌが作り出した蜻蛉玉やビーズはとても注目されているので、真似をして作る者は後を断たない筈。職人の利益もキチンと守ってあげなさいね。』


 と、私が気付かなかった領主夫人としての心構えも諭されました。例え発案が私でも、職人さんの利益を守る事も大切な領主夫人の仕事なんですね。


 『そこはリーバスさんがしっかりと登録していると思います。王都のギルドからもワイヤーのビーズアクセサリーを欲しがられていると言っていましたから。ヴェルムとしての利益?特産品として売り出している物?なんかをいろいろと相談されていましたよ。

 私は各工房に不利益にならなければ口出ししないスタンスでいるので(笑) 商業ギルドにお任せです。』


 しっかり者のギルマスが居る。と威張って言い訳させてもらいました。

ビーズ工房ののマリレーヌと似ているので、リュムレー子爵家の長女の名前をマリーヌからカースティンに変更しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ