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工場の建設をして、1ヶ月ほどたったころ。


「あんちゃん、あんちゃん。」

「ん?なんだルシア?」

「そろそろ行商来る頃かな?」

「そうだな、そろそろ時期だな。」

「何か珍しいものあるかな?あんちゃん。」

「まあ、あのおっさんもいろんな所に行っているからな、珍しいものとまではいかなくても、面白いものは、何か仕入れてるんじゃないかと思うぞ。」

「んふふ、楽しみだね~、あんちゃん。」

「おう、そうだな。今回は、こっちも新しい商品準備しているからな、しっかりと買い取ってもらおうな。それで何か好きなもの買っていいぞ。」

「本当~、いいのあんちゃん、嬉しいな~。」

「母さんにも、そう言っといて。」

「フォル、大丈夫だよ、しっかりと聞かせてもらったさ。」

「どこから聞いていたんだよ。」

「そうだね、ルシアがそろそろ行商来る頃かなって言っていた辺りかね。」

「ほとんど最初からかよ。まあ、いいか。畑で作業してくるから、何かあったら呼んでくれよ。」

「あいよ、そっちこそ手伝いすることあったら呼んどくれ。」


今俺が畑でしているのは、温室造りだ。

この地方は、冬場はしっかりと雪が積もる。

当然農業は、何もできない時期になるのだが、もっと温帯の植物なんかも育ててみたいし、折角の土地がもったいないと思ってさ、作り始めたのだが。

生活の質の改善で、登り窯を作ったので、その中でガラスを作っている。

基本的な作り方は、フロート方式で作っているのだが、そこは魔法の世界、スズ槽がなくとも、水素と窒素を充填した場所を作らぬとも、作れるのだ。

スズ槽の代わりとしては、水魔法で温度も伝わらない、ガラスに影響しない物を出せるし、圧力は、重力を制御すればかけれる。

あとは、如何にガラス量を確保するかだが、これは、近くの川や湖に砂地あって、堆積量もかなりの量があったのでこれを利用している。

家には、すでにガラスを使用して問題がなかったので、温室造りに入ったというわけだ。

温室は、横50メートル、奥行100メートル、高さ7メートルの温室だ。

温度管理は、魔法で行い。常時25程度に保つ予定だ。冷やす必要があれば、いつでも温度変更は可能する。

ただ、今この中で栽培できる種が、パパイアとアボカドだ。

これは、以前いつも来ている行商とは別の人が、持ってきたもので、仕入れてみたけど買い手がなくどうしたものかと思ったが、そのままここまで運んできたものだ。

流石にここまで南国の果物を運んできたので、すでに食べることは出来ない状態になっていた。

そのことを行商に伝えたところ、崩れ落ちてしまったのだが、これは、俺が引き取る代わりに家に泊まっていくという条件で、無料で、譲ってもらったものだ。

勿論食べることが出来ない状態のものだったため、種だけ確保しておいたものだ。


温室も、あと扉をつけて、魔法を付与すれば完成となる。

問題は、アボカドの受粉についてだ。筆を作って人工受粉させれば問題ないのだろうが、農業だけがやりたいわけではない。しかしながら、養蜂をやろうと思っても、この世界の蜂はでかすぎて役にたたない。蜂蜜を取るための養蜂ならば意味があるのだが。

唯一なんとかなりそうなのが、昆虫だ。特に蝶々か蟻。様々なサイズのものがいるのだが、時期を考えなくていいのなら蝶々が1番なのだ。蟻については、果実が出来てからが問題で、果物を食べてしまうのだから、どうにも儘ならない。

温室だから何とか蝶々でいいのかとは考えているのだが、今の季節捕まえてくることも難しい。

冬前のこの季節には、蝶々はほとんど見つからないので、とりあえずは、種蒔きだけして様子を見るしかないだろう。

この世界のアボカドとパパイアが、どのくらいの成長スピードがあるかもわからないし、元の世界のアボカドのように雌花と雄花が同時に咲かない可能性もあるから、様子を見ようと思う。

ただ、魔法による成育促進は使用するので、通常より早くは育てる予定だ。


その日のうちに、温室を作り上げ、種蒔きも終わり、温度設定も順調に働いたことを確認したので、就寝した。


翌日・・・


「フォルさ~ん!居ますか~!」

外から大きな声が聞こえたきた。

「あんちゃん、行商の人来たよ~。」

「おう、今行く。」

「フォルさ~ん!」

((バンッ))

「うっせー!聞こえてるっての。」

「やあ、フォルさん。おはようございます。」

「ああ、おはようございます。ってか朝っぱらからうるさいって。」

「それは、すいません。ついさきほど着いたものでしたので、すぐにでもフォルさんに会いたいと思いまして。」

「それは、わかったけど、前も言ったと思うが、ここのドアに呼び鈴があるからそれで呼んでくれたらわかるって。わかった?おっさん。」

「私は、おっさんではありません。まだ25の()()です。」

「俺達からしたら、十分おっさんだと思うが。」

「ぐっ!まあ、年齢差からすれば仕方ないかもしれませんが、せめてアーベルトって名前があるのですから、名前で呼んでください。」

「わかったよ。アーベルトのおっさん。」

「もう、おっさんは余計です。」

「あはは、ごめんよ、アーベルトさん。で、今日は何か面白いものはあるのかな。」

「ええ、色々植物の種を仕入れてきましたよ。」

「おっ!そうか。待ってたよ。早速見せてもらっていいか?」

「ええ、勿論です。どうぞ。」

アーベルトさんは、後ろにある馬車に積んでいた、大樽を俺の前に置いた。

「ちゃんと袋に小分けしてますから。」

「流石だね。それじゃあ、早速見させてもらおうかな。」

「どうぞ、どうぞ。」

俺は、樽の蓋を外し、中から小分けされた袋を取り出し地面に置いていった。

「ねえねえ、アーさん。あんちゃんだけじゃなくて、ルシアにも何かないの?」

「そうですね~、これといってはないんです~・・・、あっ、そういえば大きな鏡を持ってきていますよ。ここまで大きな鏡はそうそうないですよ。」

鏡は、確かに大きいが、しょせん等身大が写る程度の大きさである。ここまで運んできたのだからその努力は、認めるのだが・・・。

「鏡か~、あんちゃんならもう少し大きいの作れそうだよね。」

「そうだなこの鏡は、ガラスの裏に延ばした金属がはりつけてある造りだから、歪んでも見えてるしな。」

「え?フォルさん、これより大きくて綺麗に写る鏡を作れるんですか?」

「まあ、作れるとは思うよ。あそこに新しい建物が見えるだろ、あれ、ガラスを使った温室なんだ。あそこに使ったガラスも自分で作ったからね。」

「そ、そうなんですね。品物を見せてもらってもいいですか?」

「また、鏡は作ってないんだよね、次回楽しみにしてくれ。」

「はあ、そうなんですか、それでは次回楽しみにしています。」

「今回持ってきてくれた種は、全部買うよ。」

「ありがとうございます。」

「今日は、買取りしてもらいたい物があるんだ。」

「なんでしょう?」

「それは、布だ。」

「ぬ、布ですか?」

「ああ、早速見てもらおうと思う。」

「ん?ちょっ、ちょっと待ってください。も、もしかして、今フォルさん達が着ている服は、そ、そ、その・・・。」

「アーベルトさん、落ち着いて。ゆっくり息を吸って。」

「す~~、は~~あ、す~~、は~~あ、すいません、落ち着きました。で、その服は、今から出される布で作った物ですか?」

「ルシアが着ている服はそうだな、でも、俺が着ているのは違うよ。」

「そうですか、で、でもルシアさんが着ている服と同じ布を売ってくれるということでいいのですか?」

「まあ、そういうことだね。」

「その布1枚で、今回持ってきた物を全て買ってもお釣が出ますよ。」

「ん?そうなの?まあ、いいよ。買ってくれる?」

「は、はい、是非とも売ってください。王族くらいしか買えないと思いますが、して何枚ほど?」

「何枚でもいいよ、ざっと200枚ほどあるから。」

「2、200・・・、とりあえず10枚で結構です。お代は、次回でいいですか?」

「アーベルトさんを信頼しているから、それでいいよ。」

「ありがとうございます。」

「ねー、アーさん。ルシアには?」

「すまないね、面白いものはないけど、今都会で流行っているお菓子は幾つかあるから、それでいいかい?」

「まあ、それでルシア我慢する。」

残念そうにルシアは答えたが、毎回ルシアが気に入るものがあるとは限りないのだから、こればかりは仕方がない。


「で、アーベルトさん、今回も泊まっていくだろ?」

「勿論です。お願いします。まずは、村の方に商品を販売してきます。夕飯からお願いしてもいいですか?」

「あいよ、色々準備して待ってるよ。」

「それでは行ってきます。」

アーベルトさんは、村に商品を販売して、家に戻ってきて泊まり、翌日旅立っていった。



評価、感想頂けると嬉しいです。


もしかすると、返事が出来ないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

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