Lesson14 キモ男とキモ女
みなさんこんにちは! アニメオタク兼アイドルオタク兼ボブオタクの一ノ瀬健介っす!
今日は俺とロリコンエロゲオタクの渡辺とアイドルオタクのメガネ広瀬の三人で秋葉原に来ています。今の時刻は午後四時近くそろそろ今日の後半戦に入りそうです……。
「お、次さスイカブックス行こうぜ!」
「す、スイカブックスと言えばぐへへ新作タマゴちゃんのスクール水着……ぐへへお尻のところにはほくろがあって……」
俺が気を使って提案したら変態が食いついてしまった。
渡辺がニヤニヤとJ◯キャラのグッズについて語り始める。
「き、気持ち悪……一ノ瀬こいつ置いていこうぜ……」
広瀬が目を大きく開き口を歪ませて渡辺から俺を離れさせるように俺の腕を強く引っ張った。いつも穏やかな広瀬からは考えられない行動だった。
「お、おう……とりあえずいこうぜ……」
俺も腕を引っ張られるがまま早歩きで広瀬についていく。
「まっ! まっでででででえええええええ!」
渡辺がにやけた顔のまま迫真の表情をし四つん這いで俺たち二人を追いかけてきた。
「な、なんでこいつ早いんだよ!?」
「一ノ瀬ぇ!!! このままじゃ追いつかれちゃうよ!!!」
「はぁ……はぁ……タマゴチャァァァァァアンンンン!!!!」
渡辺は四つん這いで動いているのに動きは俊敏かつ正確で秋葉原の人混みを華麗に交わし俺たちに着実に近づいていた。その四つん這いで俊敏に動く姿は完全にゲームとか映画に出てくる敵キャラのエイリアンそのものだった。渡辺を見た人たちは「新種のサルか?」「変なプレイでもしてるのか……?」「新しいコンセプトカフェか?」などと考察をし始めていた。
その時だった……
渡辺のスマホが渡辺のズボンのポケット中でブルブルと震えた。
「ん、電話だ……青山……?知らない名前だ」
「「え???」」
渡辺は何事もなかったかのように立ち上がり二足歩行に戻った。周囲の人も何事もなかったかのように前を向いて歩き出していた。東京の人のスルースキルの凄さを身をもって実感した。
「あ、さっきのくじの店員さんか……え? なんで? 合流したい……? え? あ、はい……俺は別にいいけど……」
渡辺が俺たちに許可を確認するように目を見てきた。俺と広瀬は渡辺と目があった瞬間考えもせず咄嗟に頷いてしまった。多分さっき恐怖的体験をしてしまったため、渡辺の意見に反する事がどれだけ危険なのかを体が感じ取っていたのだろう。
そしてその場で待つ事10分、先ほどのくじの店員さんが走りながらやってきた……
「あ、さっきはどうも……」
先程の恐怖のせいかわからないが泣きそうになりながら広瀬が深々とお辞儀をしていた。
「いえいえ……私くじ売ってるだけですからそんな参らなくても……」
くじの店員さんは広瀬の行動に少しだけおどおどしていた。
「あ、あの……でご用は? 僕たち忘れ物でもしましたか?」
俺は彼女がこの場に来た理由がいまいちわからなかったので恐る恐る聞く。
「え? ご主人様と遊びたいからですよ?」
「「「ご、ご主人様……?」」」
想像もしていなかった言葉が放たれ俺たち三人は少し固まってしまった。
「え?渡辺様と一ノ瀬様ですよね……?あれ人違い?」
くじの店員さんは俺たちの固まっている姿を見て首を少しだけ傾げた。
「いや、俺の名は渡辺であってるが……」
「俺も一ノ瀬だけど……」
渡辺は冷や汗をかきながら質問に答えていた。先程四つん這いでエイリアンのような格好をしていた人物とは思えないほど前にいる店員さんにビビり散らかしていた。俺も体中から汗を吹き散らかしていた。
「あ、さっきくじの景品交換の時にLINE交換してたのか……」
広瀬がくじの店員さんと俺たちがなぜ連絡先を交換しているかの謎を一人で解き明かしていた。
「あ、そっか……」
「そういえばそんなのしてたな……」
「ひ、ひどくないですか!?」
店員さんは、店員さんと連絡先を交換したことを完全に忘れていた俺と渡辺を見て少し泣きそうになりながらもどこか嬉しそうな顔をしていた。
「あの……名前なんでしたっけ……?」
少し申し訳なさそうな顔を作り恐る恐る聞く。
「青山です! ネームプレートにもLINEにも書いてありますよ!」
頬をムーっと膨らませ少し怒った様子だった。
「あ、青山さん……それで要件は……?」
俺がそういうと青山さんはグッと俺たち三人の近くに近づいてきた。
「すぅーーーー…………ハァァァァ!!!」
青山さんは深呼吸をし渡辺の方をじーっと見ていた。
そして、土下座をした。
「私を……私を渡辺様の召使いにさせてください!!!!!」
「「「え? 召使い?」」」
召使い。召使いと言ったのかこの人は。彼女や恋人や友達などではなく召使い。俺たち三人の中で召使いという言葉が何度も周り続けた。
「と、とりあえず顔あげて……」
渡辺は俺と広瀬とハモリ終わるといつもの渡辺の面影は一切なくおどおどしながら青山さんに手を伸ばした。
彼女はニヘッと笑い渡辺が伸ばしてきた手を強く掴み離そうとしなかった。
「こ、これで契約完了ですね……ご、ご主人様……この手二度と離しませんよ……」
「ぎょぎょえええええ!?」
「……」
「……」
あまりのキモさに秋葉原四つん這い徘徊男ですら怯えてしまった、渡辺は青山さんに差し伸べた手を掴まれながら白目を剥きアスファルトに倒れ込んだ。
「……もう無理」
そうして俺たちの秋葉原散策の後半戦が始まった。
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