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過労死して高校時代に戻った私、『人生計画』を破り捨てた  作者: 朧月 華


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第24話 世界が待つ舞台

グローバル教育連盟からの招待状は、五人の生活を一変させた。パリで開催される国際教育イノベーションサミットでの基調講演と実演——これが彼らの次の舞台となる。


「信じられない」藤原が招待状の重みを感じながら呟く。「あのユネスコの会議で話すなんて」


赤城はスーツのネクダイを締めながら苦笑いしていた。


「オレ、英語で喋れるだろうな…」


森川はカメラのレンズを丁寧に磨きながら、静かにうなずいた。


「私たちの技術を、世界に示すまたとない機会だ」


神崎は早くもプログラムの国際版への対応を始めている。


「感情表現の文化的差異を考慮する必要がある。東アジアと欧米では、感情の表出方法が根本的に違う」


夏希はスケッチブックに、パリの街並みを想像しながら描いていた。エッフェル塔を背景に、五人が立つ姿を。


「私たちの旅路を、すべての人に伝えたい」


準備は困難の連続だった。言語の壁、文化の違い、技術的な課題——それぞれが新たな挑戦となって立ちはだかる。


英語のプレゼン練習では、赤城が苦戦していた。


「“Emotional palette”…もう、舌かみそうだよ!」


藤原が優しく修正する。


「“Emotion”の“e”は、もっと軽く発音して」


神崎は日夜、感情認識の文化的差異に関するデータを収集し、プログラムの改良を進めていた。


「欧米では、表情の動きがよりダイナミックだ。アジアの微妙な表情の変化とは認識方法を変える必要がある」


森川は世界各国の子どもたちの表情を研究し、普遍的な感情表現を探求していた。


「文化が違っても、喜びや悲しみの根本は同じはずだ」


パリ出発の前日、五人は美術室で最後の打ち合わせをしていた。


「プレゼンの流れはこれでいいかな」藤原が資料を配る。


その時、ドアが開き、瀬戸教授と藤原の父親が現れた。


「先生?父さん?」藤原が驚く。


「パリまで同行することになった」瀬戸教授が笑う。「君たちの偉業を、この目で見たいからな」


父親は藤原の肩を叩いた。


「世界に羽ばたく我が子を見届けに行くのは、親として当然だろう」


空港では、小林美桜をはじめとするクラスメートたちも見送りに来ていた。


「頑張ってね! 世界を驚かせてきて!」


飛行機の中、五人はそれぞれ異なる思いを抱えていた。


「あの日、美術室で初めて会った時は」夏希が窓の外の雲を見つめながら呟く。「まさかここまで来るとは思わなかった」


「俺はな」神崎が珍しく口を開く。「お前たちと出会わなければ、今でもあの美術室に閉じこもったままだった」


パリに到着した彼らを、さらなる驚きが待っていた。会場には、世界各国から教育関係者や技術者が詰めかけ、マスコミのカメラがずらりと並んでいる。


「これは…想像以上だ」赤城が緊張で喉を潤す。


控え室で、最後の調整をする五人。突然、ノックの音がした。


「アントワープ・デュボアと申します」


現れたのは、フランス有数の教育テクノロジー企業のCEOだ。


「あなた方の技術に興味があります。共同開発の提案です」


神崎が冷静に答える。


「まずは、私たちのプレゼンをご覧ください」


いよいよ本番。ステージに上がる五人。スポットライトが照らす中、夏希が最初に口を開いた。


「感情は、世界で唯一の普遍言語です」


その言葉を皮切りに、彼らのプレゼンが始まる。藤原が心理学の観点から、森川がアートの視点から、赤城が人間関係の観点から、神崎が技術の観点から——それぞれが自分の専門性を活かして語る。


そして実演。世界各国の子どもたちの感情が、美しい光の芸術としてスクリーンに映し出される。会場からは、感嘆の声が上がった。


しかし、その時、予期せぬことが起きる。神崎のプログラムが、ある子どもの感情を誤認識してしまったのだ。


「しまった」神崎の顔から血の気が引く。


会場がざわめき始める。その時、夏希がステップフォワードに出た。


「これはまさに、私たちが直面している課題です」


彼女の声は冷静で、澄み切っている。


「感情認識技術は完璧ではありません。しかし、不完全さを受け入れ、学び続けること——それこそが、真の理解への第一歩なのです」


その言葉に、会場から拍手が沸き起こる。アントワープ・デュボアが立ち上がり、声をかけた。


「まさに、私たちが追い求めてきたものだ! ぜひ協力したい!」


その夜、パリのホテルで、五人は疲れ果てながらも充実した表情を浮かべていた。


「やったね」赤城がベッドに倒れ込む。「世界が、俺たちを認めてくれた」


藤原は父親からのメッセージを見つめていた。


「『お前の選んだ道は間違っていなかった』…父が、そう言ってくれた」


森川はこの日一日の出来事を写真に収め、神崎は早くも新しいバージョンの開発計画を立て始めていた。


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