第50話 愛馬
リュシオに出された依頼は
突如として顕現した神獣の討伐だった。
とてつもない速さで辺りを駆け抜けると
衝撃波すら起こす霹靂麟を攻略するために
あるものを注文する。
某月某日ギルド本社ビルにて、
季節も移りこの頃には時制も変わりつつあった。
今日も平均株価の指数が目まぐるしく動き始める。
「ディアード、アレの進展はどう?」
「…リュシオか。
ああ、かなり良い進展だよ。
でも君の趣味は意外とアグレッシブなんだね」
「あら、意外?でも好きなのよね。
自分だけの時間って感じがして」
リュシオに出された依頼は
突如目撃された神獣の討伐だった。
神獣の名は霹靂麟という麒麟の一種で、
オーラを発しながら全速力で駆け抜けると
衝撃波が発生し、ミニバンクラスの自動車もぶっ飛ばす
とても危険な個体だ。戦車でようやく耐えうるが、
キック一発で装甲を凹ませる事だってできる。
単独の依頼が来てからどう攻略するのかを
ディアードに相談していたが中々良い案が出ず
八方塞がりになりつつあっていたが、
それでも1番可能性が高かったものに極力投資して
挑戦するのは最優の一手と思わしい。
今日はそれの進歩がどれぐらい進んでいるのかを
確認しに行くために待ち合わせていた。
向かったのはオートサロン。
今回オーダーしたのはバイク。
持ち運びが簡単で2輪走行モードと
4足走行モードの可変する。
馬にもバイクにもなるが、要はどんな道でも
走破できる物にした。こちらの世界では
(オートホース)と呼ばれるマシンである。
「ようこそお越しくださいました。
製品はこちらになります」
「おー…すごいわね、実物で見ると
なんかすごく緊張するわ」
「ここまで手を尽くした訳だから
必ず使いこなして貰うぞ」
「任せて」
ギルド本社ビルの3階層は屋外サーキット付き
オートサロン街だ。自動車免許を取るための市街地から
速さと戦闘を重視したサーキットまである始末。
肝心の車屋は当然秘密裏の契約を結んでいる。
ここで出せる理由を悟られないためのコース設営だが、
正直無理がありすぎて、もはや一般客からは暗黙の了解
のようなものがあった。
「徳川自動車は世界各国共通で最高の品質を提供してくれる。
バイクが1番強いけど、普通自動車もすごく頑丈なのよね」
「違いない。
まあ、下の武装工房に関してもだけど
ここで商売できるのはごく僅かの実力者だけ」
会話をしている案内役の人が出てきた。
見積もり書と合意の契約書への調印。
完了すると試運転に挑戦だ。
バイクに乗るのはいつぶりだろうか。
市街地のコースではルールを再認識しつつ
基礎で慣らせばいよいよサーキット。
ここからが本題だ。
「何キロ出せば良いかしら?」
「スペックとしては350キロだせる。
まずは180出してみせろ」
「わかったわ」
ターゲットの最高速は240キロ。
どれくらい過酷な速さなのかは我々の世界のゲームで
感じることができるだろうけど、
目視で追いつくのが非常に困難な速さである。
慣れるためにも180キロはクリアしなければならない。
スロットルを回すたびに鼓動も早くなる、
轟くエキゾースト、弾けるバーンアウト。
一つ一つが強さの個性で具現していて、
感じるものは一種の恐怖。
「おかえり、レコードは…
うん、171キロか、まあこんなものだろう」
「ごめんなさいね、どうしても出しきれないわ」
「当然だ。だからこそ鍛える必要がある。
今日はこのあと6階のゲーセンでオンライン対戦をしてもらう」
「え、ゲーム?」
「そうだ。
言っておくが、素人が勝てるものじゃない」
すごく億劫になってきた。
これが任務、どうこなすかが鍵になる。
遠回りの正規ルートを最短のルートにするために。
閲覧ありがとうございます
実践における判断力は練習あってのもの。
ゲームから得られる緊張感も要素の一つだと考えています。
次回もお楽しみに♪




