第18話「拡張」
オフィス。
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キーボードの音が、二つ。
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だが――
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「……足りませんね」
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佐伯が画面を見たまま言う。
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「だな」
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北川も同じ結論だった。
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案件は増え続けている。
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質も上がっている。
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単価も上がっている。
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だが――
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(処理が追いつかない)
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二人でも、限界が見え始めていた。
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「増やす」
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北川が言う。
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「はい」
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迷いはない。
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採用ページを更新する。
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条件は一つ。
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“実力”
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応募が来る。
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前回よりも多い。
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会社としての信用が上がっている証拠。
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だが。
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(いらないな)
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ほとんどは通らない。
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「この人、どうですか」
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佐伯が一つの資料を表示する。
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名前。
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「藤原 恒一」
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ロジックが強い。
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無駄がない。
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(使える)
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もう一つ。
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北川の手が止まる。
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「……これだな」
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名前。
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「水瀬 結衣」
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構成は柔らかい。
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だが芯がある。
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伝える力が強い。
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(バランスがいい)
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数日後。
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面談。
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「よろしくお願いします」
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藤原。
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落ち着いている。
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「……よろしくお願いします」
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水瀬。
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静かだが、目はしっかりしている。
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(いいな)
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「課題は見た」
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北川が言う。
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「二人とも、使える」
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即断。
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「採用する」
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一瞬の沈黙。
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「……即決ですか」
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藤原が言う。
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「はい……?」
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水瀬が少し驚く。
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「問題ない」
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それだけ。
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「……よろしくお願いします」
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「よろしくお願いします」
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こうして。
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二人が加わる。
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# ■主人公専用ステータスUI
【ステータス】
名前:北川 聡
年齢:22
役職:代表取締役
性別:男
振り分け可能ポイント:35
判断力 328(+300):S
交渉力 439(+420):S
集中力 354(+323):S
処理力 330(+316):S
資産:2,560,000円
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オフィス。
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キーボードの音が、四つに増える。
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「この案件、自分やります」
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藤原。
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「この構成、私がまとめます」
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水瀬。
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「全体、整えます」
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佐伯。
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(……回るな)
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役割が自然に分かれる。
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無駄がない。
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北川は静かに言う。
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「案件、増やすぞ」
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「はい」
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「了解です」
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「任せてください」
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迷いはない。
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小さな会社は。
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確実に――
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“組織”へと変わった。
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