竜の卵は出来損ないを運ぶ
冒険者グリューはとことんツイていなかった。簡単なクエストもお粗末なミスで失敗し、今日の食事も、明日の家賃も先が見えないどん底に落とされていた。もう捨てるものなどない無敵な状態であることを理解したグリューは、「運が良ければ生き、運が悪ければ死ぬ」冒険者としての最期を迎えてやろうと竜のねぐらへと足を踏み入れ、一攫千金、その卵を奪うことを考える。竜のねぐらへ共に来ていた者たちは焼かれ死んだ。けれど運良くグリューはその腕に一つの卵を抱え生き残る。やった、俺はツイてる。グリューが運気の向上を実感した瞬間、腕の中で卵にひびが入り、そこから――
不運な冒険者グリューが、幸運に満ちた人生へ辿り着くまでの物語。
不運な冒険者グリューが、幸運に満ちた人生へ辿り着くまでの物語。