攻略対象2人目
ある意味地獄のような授業は、この調子で昼休みまで続いた。
終わった時の解放感が凄まじく、大きなため息をついて机に突っ伏した。
周りの皆がざわざわと席を立ち、食堂や売店へ移動していく中、誰かが私の肩にポンと手を置いた。顔を上げると、愛しい人の笑顔。
「お疲れさん!って俺も真面目に授業受けて疲れてんだけど」
軽い冗談を交えて、席を立つように促してくる。
少し照れくさいような、くすぐったい感情が湧いてきて、うつむきがちに立ち上がる。
やばいな、意識しすぎてる。
そりゃそうだよね、だって好きな人とこんな至近距離で話せて、触れてもらえてるんだから。
誠くんは何かが入ったコンビニのビニール袋を掲げて見せた。
「数量限定の幻のカレーパンを2個入手できたんだ。いっしょに食おうぜ」
今日は天気がいいから屋上で食おーなんて言いながら、さりげなく腕を引かれた。
触られた部分が熱を帯びてる。
うわ、たったこれだけで心臓ドキドキ鳴り出した。朝勢いで告白しようとしたのが嘘みたい。
屋上へ行きながら雑談を交わしてるけど、正直自分が何を喋ってるのかもよくわからない。
今さらだけど、私本当に澪ちゃんになったんだ。この世界の住人になったんだ。
夢みたいな現実を噛み締めながら、屋上への扉を開けた。
正面に見えるフェンスの方へ歩いていく時、視界に先客を捉えた。
瞬間、頭に浮かんだときめろのスチル。
そうだ、ここは…
「ハイ澪!澪もここでランチ?」
攻略対象二人目の…
「ミロ…くん…?」
「ソーだヨ!どー見てもミロくんだヨ!」
異国の王子様、年下でショタキャラの…
ミロ・カオガ・イーイ・ダローくんだ…