【第1審】~27~
「ジュード様ぁ♪」
屋敷に戻って来たメロディは、スカートを揺らしながらジュードに駆け寄った。
「ご苦労だった。」
「御用の時はいつでも♪」
そう言って古びた金色の鍵をジュードに返す。
ゲンジツへの扉を開ける鍵を丁寧に内ポケットへしまい、
思慮深い執事は言った。
「お前もあちらの世界にとどまってもいいんだぞ。」
それがこの人なりのやさしさであることをメロディは知っていた。
考えるときのクセであるピンクの髪をくるんと指で巻いて
少しだけ言葉を探してみる。
「あたしにとって、ゲンジツの世界でもがいている自分も、
おとぎの国ではしゃいでる自分もどっちも大事なの。
どっちつかずでキモイ存在だけど、
それがあたしだし、
そんなあたしが あたしは好き。」
自分のダメなところもいっぱい知ってる。
他人と比べてヘコむこともいっぱいある。
それでも全部ひっくるめてあたしだから。
「そうか。」
ジュードはそう静かに言っただけだった。
それがここにいていいという意味であることも
メロディは知っていた。
「でも、あの方はどうなのかしら?
本当にゲンジツの世界に行きたいと思ってるのかしら?」
伽相手を満足させ“Killer”の役目を終えることができれば、
おとぎの世界を出てゲンジツの世界へと行くことができる。
他の“Killer”たちとあの人は何か違うとメロディは感じていた。
その問いにジュードが答えることはなかった。




