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おとぎ裁判  作者: 神楽澤小虎
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22/32

【第1審】~20~


オオカミがふらりと立ち上がった。

そこにいる誰もがひどく打ちのめされていると思ったに違いない。

そのままオオカミは赤ずきんの前まで歩み出た。

そして、突然ひざまずいた。


「もう一度君に裏切られてみたかった……。

                君の裏切りは 美しい……。」


熱に浮かされたもの特有の恍惚(こうこつ)とした視線。

赤ずきんはオオカミの顔を身じろぎもせずにじっと見つめ返す。


「ははん、なるほど!」

おっさんが、膝をポンと叩いた。

「いやぁ、結構結構。恋せよ、若者! ハハハハっ!」

大袈裟に拍手までしている。


だが俺は自分でも驚くほど冷静だった。

真実(シンジツ)はもっともっと残酷なのだ。

それを白日のもとにさらさなくては、この事件は本当の意味で解決はしない。


「それだけじゃないはずだ、オオカミ。

 赤ずきんの真相を、お前は見破っていた。

 だから服を脱いで暖炉にくべろと言ったんだ。違うか?」


オオカミは観念した風にアケチの問いに答えた。

「……はい。間違いありません。」


そして、オオカミはコワレモノを扱うように、

そっと赤い頭巾に触れる。

赤ずきんは大きくビクリと一瞬身をすくませたが

抵抗するでもなく、ただぎゅっと強くまぶたを閉じた。


「こんな服、もう脱ぎなよ。

 だって君は・・・・・       男の子 なんだから。」


頭巾とウィッグを脱がされた赤ずきんは、

まぎれもなく少年の姿をしていた。



「そういう……ことでしたか。」

ジュードが思わず感嘆の声をもらす。


オオカミは少年の肩に手を置き、言い聞かせるように言葉を選ぶ。

「親がいなきゃ何もできなかった僕と、親に縛られてた君。

 境遇は全然違うけど、こんな僕だからこそ、

 君にもう一度会って言いたかったんだ。」

「・・・・・・・。」

「僕だけは、絶対に君を裏切ったりしない。約束する。

 だから、これからは僕と一緒に……」


「残念だが、それは無理だな。」

アケチはにべもなく言い放った。




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