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おとぎ裁判  作者: 神楽澤小虎
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16/32

【第1審】~14~



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

禁断のマッチの炎(燃やせ 燃やせ 燃やせ…)

(いつわ)りを 焼き()くして

真実(シンジツ)は 依り代(よりしろ)に 託された(イ~ヒヒヒヒ)


本当にいいのかい? 覚悟はいいのかい?

この先はもう 真っ暗闇さ


目を凝らして見なよ 真実の向こう側

何があるのか 残酷の向こう側


マッチの炎 感じる熱さ

おとぎの国の 唯一のリアル


あの日起こったすべてが

(あら)わに 炙り出され

残酷な 真実を ご覧あれ


さぁご覧あれ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「さぁ、ご覧あれ!」

ジュードの声が法廷に高らかに響き渡った。




燃え上がる炎の熱。

すべての(いつわ)りを燃やし尽くす音。

鼻孔をくすぐる煙の香り。


やがてそれらが収まるとふっと身体が軽くなる感覚に襲われた。

アケチが瞼をあげると、そこは灰色に包まれた世界だった。


「ここは…」


辺りをよく見ようと立ち上がるが、

神経が研ぎ澄まされ過ぎるほど張り詰め、耐え難い痛みが頭を締め付ける。


それでもなんとか目を凝らしてみると

どうやら鬱蒼とした森の中のようだった。


樹々が発する独特の湿り気を帯びた土。

ところどころに小さな花が点在している。

それは見間違えようがない。()()()()()()の花だ。


だが、花を掴もうとすると像がボヤけ すぅーっと消えてしまう。


マッチが見せる幻覚(ゲンカク)は随分と不安定な空間のようだ。

「まるで煙だな。」と独り言ちてみる。


歩いてみようとするがフワフワと宙を浮いているといった方が近いかも知れない。

こんなおぼろげな世界で真実(シンジツ)が解明できるのだろうか・・・


そう思った時、ふいに赤ずきんが現れた。

ブルーという依り代の力のせいか、赤ずきんだけはこの中でもくっきりと見える。

なぜだか重そうな麻袋を持って、森の中に入って来た。

次の瞬間、つまずいて大きくバランスを崩す。


「危ない!」と、アケチは咄嗟に駆け寄って抱き止めた……はずだった。

しかし、赤ずきんはアケチの身体を通り抜け、そのまま転んでしまったのだ。


その時、俺はすべてを察した。

赤ずきんからは俺が見えない。触れることもできない。

今目の前にいる小さな少女を、助け起こしてやることすらできないのだ。

自分の非力さを恨めしく思うと同時に身体がふわりと浮いた。


スカートについた泥を手で払っている少女を上から見下ろしていると、

アケチは驚くべき光景を目にすることになった。

麻袋の中身がモコモコと動いているのだ。

「一体何が入って……   え? ウサギ!?」


袋の中からウサギが何匹も這い出してくる。

赤ずきんは残りのウサギも麻袋から出してやるとこう言った。


「さぁ、ここが今日からキミたちの森だよ。」


ウサギたちは思い思いの方向へぴょんぴょんと飛んでいく。





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