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覚悟

「「ありがとうございました」」

最後の一冊が唯の手によって男子生徒に手渡され、二人は並んでその背中を見送った。

「やった!全冊配布終了!」

亮が無邪気によろこぶ隣で、唯も浮き足立った様子でうんうんと頷いている。

「帰ってきたら夏帆ちゃんと平野くんにも教えてあげなきゃね」

「うん、絶対二人も驚くはずだよ」

時計をみると、交代までにはまだ三十分程時間がある。

「ちょっと、暇になっちゃったね」

文化祭が終わりに近付くにつれて人数も少なくなっていき、恐らく今のが最後の来客。斜陽が柔らかに照らす教室には、二人を邪魔するものはない。

(いくなら今ーーしかないのか)

誰かが教室に這入ってくるのではないか、上手く口が回らないのではないか。そんな事が気になってしょうがない。

もしこれがアニメやギャルゲーの世界だったら、きっと問題なく二人は結ばれることだろう。

だが、亮は今取り返しの効かない分岐点に立っているのだ。当然、失敗する可能性も必ずついてまわる。

ぬるま湯の関係を抜け出す勇気を、いつかは決めなければならないーーそうだ。

自分が動かなければ、誰も自分の為に動いてくれたりはしないのだ。

「黒田さんーー」


そして。






「僕は君のことがすきだ」


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