相談
『なるほど、それはやっぱ理由があるんだろうな』
亮が一通りの説明を終えるまで、大輝は相槌を交えながら良い聞き役に徹していた。
「俺、黒田さんに何かしたかな…?」
『落ち着け、まだお前が原因と決まったわけじゃないだろ。俺は毎日顔合わせる事だし、それとなく聞いといてやるよ。明日の午前中くらいにLINE送るから、確認しといてくれ』
「助かる!今度何か好きな本持ってってくれよ」
『りょーかい。じゃあ明日な』
(危ねえ危ねえ、女だったら惚れてたぜ)
そう思った矢先、大輝に彼女が居ることを思い出してげんなりする亮だった。
二時間目の終了を告げるチャイムが鳴り響くその時まで、亮は息を潜めて空気と同化することに専念していた。
昨日あれ程悪目立ちしたのだ、これ以上周囲の注目を集めるような真似はできない。
針の筵のような居心地の悪さを感じながら、亮がスマートフォンを操作して時間を潰していた時。画面の上端から、LINEの着信を知らせるアイコンが表示された。
『俺の聞いた感じだと、お前がなんかしたとかじゃないみたいだぜ^ ^』
それをみた亮は、すぐさま返信を打ち込む。
『よかった(-。-;
何て言ってた?』
『部活には今日から行くってさ。俺も顔出すから心配すんな( ´Д`)y━・~~』
『あざっす!じゃまた放課後に』
陰鬱な表情が一転、憑き物が落ちた晴れやかな面持ちで亮はスマートフォンを握りしめていた。




