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不在

それから三日後の放課後。担任教師が教室から去りクラスが同級生達の喧騒につつまれた時、タイミングを図ったように大輝が小走りに近づいてきた。

「お前の担任、話長えな。十分くらい外で待ってたぜ」

「全くだよ」

苦笑を浮かべ、大輝のクレームに首肯する亮。そのまま歩き出した大輝の後に続き、亮は教室を後にする。

「この前女子二人とアニメイツに行ってきたん時なんだけどさ、文研部の顧問に会ったんだよ」

「は?何でそんなとこに先生がいるんだよ?」

「それについては俺が聞きたいぐらいだよ……」

深々と溜息を吐く亮に、大輝は片眉を上げて不思議そうな目線を向けていた。


流石に慣れ親しんできたというべきか、亮は特に室内に声をかけることもなく文研部の部室へと入っていった。

「ちっす」

「大分久しぶりね。教室では毎日顔は合わせているけど」

それに対して、実質活動日数が二日の大輝はまだそこまで気兼ねなく振る舞うほどではないようだ。パソコンに張り付いていた夏帆が視線を上げ、軽く表情を緩める。画面いっぱいに並ぶ文字列を見れば、彼女が少しくらい煮詰まっていてもしょうがないと言える。

そこで、そういえば、と大輝が言葉を続けた。

「今日黒田さんは?」

「まだ顔を出してないわよ。まぁ用事がある時は休む事も少なくないから、今日はもう来ないかもね」

「まぁ幽霊部員の俺が言う事でもねっか!」

頭の後ろで腕を組んで大輝はあっけらかんと笑っているが、それを見遣る亮の表情は浮かないものだった。


それから。

週が明けても、唯が部活に出席することはなかった。


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